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「政治参加」 ⑤提言 それとない接点と地域の愛着

 石巻市の投票率は近年、どの選挙も50%前後となっており、特に若い世代の投票率が低い。インターネットやSNSで近所よりも遠く離れた人とつながる時代であり、すぐに市政の関心を高めるのは難しい。投票や政治参加が当たり前になるよう、子どものころから家庭や学校、地域でそれとなく接点を増やし、地元に興味や愛着を持てるようにすることも必要だろう。

 なぜ、若者の政治参加が少ないのか。投票率向上に向けた石巻専修大学有志の座談会メンバーだった佐藤香伽さん(25)は「国や社会に問題意識を持たなくても学校を卒業できる恵まれた状況にあるから」と指摘。「何も考えていないわけではない」とし、若い世代がざっくばらんに話す場や政治家が耳を傾けてくれる機会を望んだ。

 ただ、「自分たちの意見が市政に十分届いていない」という若者は多い。先の市議選では、石巻市内の中高生や大学生、子ども・子育て支援者が立候補者に送付する意見書を作成するワークショップを開催。若い世代がまちづくりや選挙に参画する仕組みづくりなどを求めた。

 企画したNPO法人代表の吉川恭平さん(33)は、若者の政治参加へ「子どもの時からまちに関わること、投票して変わっていく成功経験を積み重ねることが必要」と話す。さらに「自発的に生まれる地域への愛着や郷土愛が、投票率を高めるのも定住にもつながっていくのではないか」と展望。子どもを取り巻く学校、家庭、地域での役割が大事といえる。

 前述の佐藤さんは「身近な親や先生が当然のように投票に行く。普段から身近な所で議員の活動が見られるということが暮らしになじんでいけばいい」と大人や議員の行動を求める。さらに「問題意識が政治の始まり」と佐藤さん。「問題意識を発信し、それに行政や政治家が敏感になることで政治が進むと思う」と語った。

 市内は人口減少が進み、将来も持続可能な街づくりが求められる。ここに住みたいという人を増やしていくためにも、多様な意見を反映させながら、一つ一つ地域の課題を解決していかなければならない。

 少しでも「街をよくしたい」と思うなら、それは地域への愛着や郷土愛が原動力になる。市で解決が無理なら県政、国政に訴える必要があり、選挙は大事だ。「投票率が上がらないのは候補者が悪い」と聞くこともあるが、志があれば、自ら立候補してもいいはずだ。




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