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石巻圏摂食嚥下研究会「食べる輪」presents 食べる喜び いつまでも

多職種連携で広げる輪 新聞紙上で勉強会

 皆様はじめまして、私石巻圏摂食嚥下研究会「食べる輪」の代表をしております河瀬聡一朗と申します。職種は歯科医師です。現在石巻市雄勝歯科診療所と、石巻市歯科医師会 石巻障がい児・者歯科診療所、いしのまき訪問歯科クリニックで診療をしております。

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「食べる輪」代表 河瀬聡一朗先生

 んだっちゃ!9月号では「食べる輪」を巻頭特集で取り上げてくださり、大きな反響をいただきました。この「食べる輪」ですが、様々な職種(多職種)が1つになり、地域でいつまでも食べられる環境を整えるきっかけ作りをしたいと思い、仲間と2015年に立ち上げました。主な活動は、多職種で集う勉強会を年に5回程度、市民公開講座を年に1回程度開催してまいりました。

 内容は口から食べる事の素晴らしさと同時に重要性や、食事が上手く取れなくなってしまった方(摂食嚥下障害者)への対応法等についてです。実習や症例検討等を行い簡単に、明日から実践できる内容の勉強会を続けてきました。

 しかし、新型コロナウイルスの感染予防の観点から大規模な会の開催が難しい状況になってしまいました。しかし、高齢化が進む石巻圏において摂食嚥下障害の患者さんは増加傾向にあります。そこで、石巻日日新聞さんに全面協力をいただき、「食べる輪」の勉強会会場を紙面に移し、皆様に情報を提供できればと考えております。

 石巻圏で仕事をしている歯科医師、歯科衛生士、薬剤師、言語聴覚士、管理栄養士等が毎月簡単に“食べる”に関連する事を書かせていただきます。もし参考になることがございましたら、切り抜いて貼っておいてください。どうぞよろしくお願いいたします。

余命にもかかわる オーラルフレイル

 早速講義をしていきたいと思います。先ずは、皆さまに質問です。口をあけて笑えない、食べられない、話せない、噛めない、食べ物が美味しくない、食事が面倒、軟らかいものを食べてしまう、食事のバランスが悪くなった、口が臭うという症状はありますでしょうか?もしこれらの症状がある場合、オーラルフレイルという状態の可能性があります。突然難しい言葉が出てきてしまいましたが、オーラルは(口)、フレイルは(虚弱)という意味です。つまり口の機能が低下を意味します。

 続けて質問をさせていただきます。雄勝町や、牡鹿半島には歯科医はそれぞれ1人ずつしかおりません。絶滅危惧種ですので、保護してもらわないといけない状態ですが、鹿は駆除しないといけないくらい沢山います。いつも口をもぐもぐしている鹿を想像してください。鹿の様な野生動物の歯が無くなったら鹿はどのような状態になるでしょうか?

オーラルフレイル_チェック表

引用:日本歯科医師会 オーラルフレイル

 実は、歯が無くなることは死を意味します。なぜかと言いますと、鹿が歯科を受診し、入れ歯を入れることもできませんし、インプラント治療もできません。エサの草を柔らかくし、食べ易くすることもできません。食べる事が困難になり、栄養状態が悪化します。栄養状態が悪化すると体力が低下します。体力が低下すると動くことも辛くなります。動かなくなると、お腹も減りません。エサを食べず、更に栄養状態が悪化します。負の連鎖となり、最終的に死に至ります。

 人間もオーラルフレイルが始まると、徐々にではありますが体力が低下し、寝たきり状態、そして最悪の場合には死という転帰をむかえてしまします。人間はオーラルフレイルになっても回復することができます。その救世主は歯科です。実際に歯科に定期的に受診している人と、していない人では余命に差が出るという研究結果もあります。

 上記のチェックシートを参考にしていただき、必要に応じて歯科を受診してください。「口は命の入り口、心の出口」いつまでも健口を保ちましょう!

毎日コツコツ! 無理せず取り組む
嚥下リハビリ体操

 “ゴクン”っと食べ物を飲みこむ(=嚥下)時には、必ずのどを使います。飲みこむ力を鍛えるためには、“のどを鍛える”ことが大切です。簡単にできる体操をいくつかご紹介します。毎日コツコツ取り組むことで、飲みこみの力がついてきます。好きなものを美味しく食べ続けるために、ぜひやってみましょう。

その1. 嚥下おでこ体操

◎効果…のど仏を上下させる筋肉を鍛えて咽頭残留(のどに食べ物が残ること)を少なくする。

【方法】
 ①おでこに片方の手を当てて押す
②頭はヘソをのぞき込むように強く下を向くようにする
③5秒数えたら、力を抜いて10秒くらい休む
④①~③を3回繰り返す

嚥下リハビリ体操_説明


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(株)石巻日日新聞社 摂食嚥下障害質問係 メール media@hibishinbun.com 


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