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石巻日日新聞

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石巻市・東松島市・女川町の話題を掲載している夕刊紙「石巻日日新聞」のnote版マガジンです。とっておきの地域情報と過去記事などのアーカイブ。無料と有料記事があります。ぜひぜひフォ…
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#農業

野蒜の被災元地を活用 あそら農園がオープン イチゴ狩りで地域活性化

 東日本大震災の津波被害を受けた東松島市野蒜地区の被災元地を活用したイチゴ園「あそら農園」が11日、オープンした。6月初旬までイチゴ狩り(45分間食べ放題)を楽しむことができ、早くも地域内外から多くの親子が足を運び、甘くジューシーな粒を堪能していた。圃場責任者の鈴木隆介さん(41)は「野蒜地区を一大観光地にし、地域活性化に貢献したい」と語っていた。  農園は、地区内の観光施設「奥松島クラブハウス」を運営するアークリンク(株)=東京都=のグループ会社、農業生産法人(株)アソラ

石巻 ・ソーシオ農園が開発 北限のオリーブほうじ茶 美容、健康で特産化へ

 石巻市井内の農業法人(株)ソーシオ農園(阿部栄三郎社長)は、女川町御前浜で自社栽培している「北限のオリーブ」を使った「オリーブほうじ茶」を開発した。手摘みした葉を特殊加工した後、甘茶をブレンドして乾燥、焙煎させて粉茶にした。美容、健康効果の高いポリフェノールをたっぷり含んでいるのが特長だ。同社や道の駅上品の郷で販売しており、石巻市、女川町のふるさと納税の返礼品としても準備を進めている。  ソーシオは、震災で被災した女川町内の民有地を賃借してオリーブを栽培しており、5千平方

管楽器似の芋収穫が縁 練習重ねサックス披露桃生町の若山さん 自然薯は食品サンプルに

 昨年12月、自宅の畑から管楽器のサクソフォン(サックス)によく似た自然薯(ジネンジョ)が収穫されたことで話題となった石巻市桃生町津山の土地家屋調査士若山智彦さん(64)。収穫を契機にサックスに興味を持ち、1年が経過した18日に地元で腕前を初披露した。プロサックス奏者安田智彦さん(65)のクリスマスミニコンサートにゲスト出演。これまでの自然薯エピソードを交えつつ、クリスマスソングを奏でた。  若山さんは、以前からとろろ芋などの栽培を行っており、親戚に種芋を譲り受けた3年前か

駆けて踏んで一石二鳥 ベガルタサッカー教室 野蒜の麦畑で日本初?

 東松島市野蒜の農業生産法人(有)アグリードなるせ(尾形和利社長)の麦畑で10日、「日本初?東松島ベガルタ麦踏みサッカー教室」が開かれた。〝麦踏み〟は麦が強く育つために欠かせない作業。地域内外から小学生を中心に17組40人の親子が集い、麦の成長を願いながら駆け、入念に畑を踏み回った。尾形社長は「皆の協力のおかげで来春は立派な麦ができるだろう」と笑顔で語っていた。  同社は震災後、被災した野蒜の農地約100ヘクタールで「ニューサチホゴールデン」という品種の大麦を栽培。これをま

石巻地方でも大量発生 農家に深刻な影響 温度差ストレス?柿が変形

 秋を代表する味覚の柿(カキ)の実。石巻地方の農家も収穫や出荷を進めているが、今年は柿の形に異変が見られている。一つのヘタから実が2個、3個と分かれたものや突起物があるなど変形した柿の大量発生に農家は頭を抱えている。県園芸推進課は夏の高温による影響を指摘しているが、詳しい原因は不明。病気によるものではないため、品質に問題はない。石巻地方でも民家の軒先に柿の木を植えているところが多く、今年は形の異常な実がそこかしこで発見されている。 病気でなく品質問題なし 石巻市飯野の「あか

JAいしのまき 飼料用トウモロコシ初収穫 輸入高騰で国産に期待

 飼料用で需要があるトウモロコシの収穫作業が21日、石巻市桃生町内で行われた。2つの農業法人が5月に栽培を開始し、石巻市では初の試み。飼料用トウモロコシは大部分が輸入だが、国際情勢の変化で価格は上昇しており、国内生産の自給肥料として注目され始めている。JAいしのまきでは、大豆や小麦などの転作作物の一つとして活用を期待しており、管内での生産拡大を目指している。  トウモロコシは大部分が米国の輸入に依存しており、農林水産省によると、飼料全体の自給率は平成29年度で約26%。農水

どでカボチャ ゴロゴロ 過去最高93キロお目見え JAいしのまき桃生

 JAいしのまき桃生地区運営委員会の「第4回ジャンボかぼちゃコンテスト」が6日にあり、13個人、3団体が巨大なカボチャを出品。石巻市桃生町永井表の農業、遠山えみ子さん(69)が過去最高となる93キロのカボチャを持ち込み、優勝を手にした。コンテストに出品した計16個は、16日までJAいしのまき桃生中央支店=石巻市桃生町中津山=で展示されている。午前8時半―午後5時。  同コンテストは平成30年から開催され、今年も同中央支店で催された。毎年、桃生地区内の農家や保育所、小学校など

「新規就農と施設園芸」 ⑤提言 新技術で省力化推進

 施設園芸は、ICT(情報通信技術)の発展で機械による栽培管理が広がり、中には土壌や太陽光といった自然環境を使わない手法も登場している。光源にLED(発光ダイオード)を使い、土の代わりに培養液を採用。隔離空間で温度や湿度などを完全に管理する栽培方法があり、外部から病原菌や害虫が入らない利点がある。  スマート農業の一つの到達点であるこの「植物工場」は、今後も増えていくだろう。今はまだ技術が追い付かず採算のとれる作物は限られているが、地球規模で気候変動が起きている現代、環境に

「新規就農と施設園芸」 ④展望 スマート農業の可能性

 発展目覚ましい情報通信技術を使った「スマート農業」も進んでいる。石巻市北上町で次世代施設園芸に取り組む㈱デ・リーフデ北上、東松島市赤井でイチゴなどを栽培する㈱イグナルファームなど大規模な施設園芸で活用され、ハウスの温度や湿度など環境を自動制御するシステムで省力化を図っている。  同市赤井では、産業用太陽光発電などを手掛ける企業が震災後の耕作放棄地にハウスを建て、メロンの水耕栽培に挑戦しており、施設園芸は異業種から農業へ参加しようという動きも見られている。  個人でスマー

「新規就農と施設園芸」 ③対応 世襲する農業

 新しく農業に挑戦する若者とともに、代々続いてきた農業を受け受け継ぐ若者も少なくない。多くの農家が子世代への引継ぎを諦めて廃業していく中、石巻市桃生町でスリムねぎ農家を営む佐々木拓郎さん(36)は、代々農家の家系だ。  元々は保育士という夢があったが、佐々木家の長男として家業を継ぐことにし、20歳でこの世界に飛び込んだ。「当初はそこまで農業にやる気があるわけではなかった」と話す。数年間は淡々と仕事をしてきたが、自身で農業のやり方を模索。あまり作られることのなくなった旧世代の

「新規就農と施設園芸」 ②現状 受け継がれる農業

 高齢化などで農業者の減少が続く中、逆にチャンスと捉えて飛び込む若者もいる。    一般社団法人イシノマキ・ファームの石牧紘汰さん(28)は、今年から石巻市北上町の畑でカボチャの栽培を始めた。元々農業に興味があり、平成31年に横浜市から移住。土地を借りて一歩を踏み出した。  都市部から農村に移住し、農業を始めるモデル作りも兼ねており、2月に定植したカボチャは7月に収穫を迎えた。石牧さんは「自ら挑戦することで得られるものも大きい。今年は4月末の降雪や大雨でなかなか思うように育て

「新規就農と施設園芸」 ①課題 後継ぎ不足や農業離れ

 豊かな大地で営まれる農業は、石巻地方を支える大きな産業。比較的温暖な気象条件と豊富なかんがい用水で、県内でも有数の農業地帯であり、稲作を始め、生産される作物は多種多様。地域の食卓を支えているが、高齢化による跡継ぎ不足や農業離れなどで、その数は年々減り続けている。  県の調べでは、管内の総農家数を平成22年と同29年で比較すると約3割減。これは23年の東日本大震災による農地の津波被害で離農が加速したことなどが要因だが、震災後は10ヘクタール以上を扱う農家数が増加し、農地集積

新手法「採りっきり栽培」拡大 東松島産アスパラガス 挑戦3年目 産地化前進

 高収益作物として知られるアスパラガスの栽培が、東松島市を中心に広がりを見せている。通常は収穫まで2―3年かかり、病害虫対策など手間もかかるが、明治大学が開発した1年で収穫する新しい手法「採りっきり栽培」を広げるため、県ではアスパラガス研究会を立ち上げ、東松島市で農業者を対象にした栽培講習会を開いている。産地化に向けた取り組みは3年目を迎えており、地域の新しい特産品として期待されている。  アスパラガスは北海道が一大産地で、4月初めから8月ごろまでが市場に最も出回る時期。県

就農第一歩は体験から 担い手センター・石巻百姓塾 男女5人特産セリ収穫

 石巻市農業担い手センターは29―30日、農業者の担い手確保に向け、北上町の同センターで「石巻百姓塾」を開いた。県内外から就農希望者や農業に興味を持つ人が集まり、旬を迎えたセリの収穫体験や農業者を交えたセミナーに参加した。同センターは農業者や関係機関との連携で、これまでも農産物の収穫や地域文化、暮らしを体験するイベントなどを催し、就農情報を提供しながら、アプローチしている。【渡邊裕紀】  同センターは一般社団法人イシノマキ・ファームが運営。石巻市は農業者の高齢化による担い手