マガジンのカバー画像

石巻日日新聞

1,788
石巻市・東松島市・女川町の話題を掲載している夕刊紙「石巻日日新聞」のnote版マガジンです。とっておきの地域情報と過去記事などのアーカイブ。無料と有料記事があります。ぜひぜひフォ…
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

暮れゆく令和4年 あすへ延びる〝命の道〟 「ありがとう」があふれる社会に

 東日本大震災では被災各地で交通渋滞が起き、車列ごと津波に流され、たくさんの尊い命が奪われた。車社会を襲った国内初の大津波災害だった。一方、脇道を抜け、勾配によって救われた命もあった。道路1本を隔てて運命が分かれた箇所がいつくも存在した。  復興が進む中、高盛土構造の道路が被災地を縫うように延び、堤防の役割を持たせる多重防御が整った。いつしか、こうした復興道路は「命の道」と呼ばれるようになった。今年3月、石巻市の沿岸部を通る都市計画道路の門脇流留線が全線開通し、南光湊線の一

戦時の「短冊門松」特別展示 私設資料館開設の佐々木さん 平穏に新年迎える尊さ伝え

 石巻市北村の自宅に私設平和資料館を開く佐々木慶一郎さん(75)は、85年前の戦時中、門松の代わりに配布された「短冊門松」を特別展示している。当時は戦争拡大へ傾いた時代であり、東北は冷害で大凶作。現代に残る資料は、何事もなく新年を迎えられることの貴さを伝える。  同一の短冊が5枚展示され、1枚縦36センチ、横9センチ。若松の枝のほか、夫婦岩の間の水平線から昇る太陽と共に「昭和十三年」「賀 戦勝新年」「武運長久 国威宣揚」の文字が描かれている。戦争資料を集める佐々木さんが昭和

カフェ芸人がメニュー開発 伊達の旨塩レモンスカッシュ キネマティカの看板商品

 「第3回笑いで石巻を盛り上げるお笑いマスター決定戦」のピン芸人部門で優勝したセキ・ア・ラ・モードさんが、複合エンタメ施設「シアターキネマティカ」=石巻市中央=内のカフェで出される新メニューを開発した。  セキさんはカフェで働きながらメニューを考え、18日のお笑いライブで完成した「伊達の旨塩レモンスカッシュ」(600円)を披露。キネマティカの看板メニューとして提供していく。  セキさんは仙台市出身。元々は衣料品メーカーに勤務し、少年期からの夢を捨てきれず25歳でお笑い芸人

和紅茶で心も体も〝ホッと〟 就労事業所に「キタハ」贈る

 日本茶専門店のお茶のあさひ園=石巻市旭町=を運営する㈲ファーム・ソレイユ東北(日野雅晴社長)は22日、市内に21ある就労継続支援B型事業所に、看板商品の一つである和紅茶「kitaha(キタハ)」を贈った。贈呈式は市社会福祉協議会生活支援センターこむこむ=開成=であり、サンタにふんした日野社長が手渡した。  あさひ園は昭和47年に創業。平成15年に法人化。キタハは桃生産の茶葉を用いて29年に商品化された東北初の和紅茶だ。過去には新東北みやげコンテストで入賞したほか、令和元年

管楽器似の芋収穫が縁 練習重ねサックス披露桃生町の若山さん 自然薯は食品サンプルに

 昨年12月、自宅の畑から管楽器のサクソフォン(サックス)によく似た自然薯(ジネンジョ)が収穫されたことで話題となった石巻市桃生町津山の土地家屋調査士若山智彦さん(64)。収穫を契機にサックスに興味を持ち、1年が経過した18日に地元で腕前を初披露した。プロサックス奏者安田智彦さん(65)のクリスマスミニコンサートにゲスト出演。これまでの自然薯エピソードを交えつつ、クリスマスソングを奏でた。  若山さんは、以前からとろろ芋などの栽培を行っており、親戚に種芋を譲り受けた3年前か

前夜祭含め3日間で 来夏の第100回川開き 記念事業検討委が提言書

 来夏の「石巻川開き祭り」第100回大会に向けた記念事業検討委員会(松本鉄幹委員長)は、前夜祭を含めた3日間の開催とするなどの提言書をまとめ、19日に祭実行委員会会長の青木八州石巻商工会議所会頭に提出した。  検討委は官民の25人。9月28日に委嘱を受け、事務局会議や正副委員長会議を含め計10回の打ち合わせを行ってきた。  会議所で提言書を出した松本委員長は「提言は多岐であり、100%といかなくても可能なものを実現してほしい」と述べ、青木会長は「委員の熱いが思い込められて

「石巻駅110年の軌跡」石巻日日新聞 年末特別紙面

日本に鉄道が誕生したのは明治5年。江戸時代の街道と舟運から一気に近代化を遂げた。それから遅れること40年。石巻駅が大正元年(1912年)10月に開業すると、地域全体が発展に向けて走り出した~紙面本文より抜粋~ ※2022年に開業110周年を迎えた石巻駅。古くから地域の玄関口として、石巻地方のさまざまなシーンの舞台となってきました。年末特別企画として、新聞に掲載した紙面内容をそのまま「石巻Days」にもアップいたします。記事下広告部分を含め、掲載内容は2022年12月17日現

大旗白河越え石巻入り 仙台育英優勝の巡回展 あすは女川町役場で

 仙台育英学園高校硬式野球部が「第104回全国高校野球選手権大会」で初優勝したことを記念した巡回企画展が17日、石巻グランドホテルで開かれた。東北の悲願だった深紅の大優勝旗をはじめ、育英ナインの激闘を振り返るパネル写真が展示された。  企画展(県高野連など主催)は、東北初の甲子園優勝の喜びを東日本大震災被災地で共有するもの。登米市での展示を終え、石巻市での開催となった。  会場には決勝七回裏の満塁本塁打後、ベンチ前で選手と抱き合う須江航監督の様子など各試合の名場面を厳選し

銘菓「かきあめ」の歴史掘り起こす 昭和時代の高級贈答品か 蔵から半世紀前の化粧箱

 カキ殻を模した形状で大正時代に生み出され、石巻市で長年愛される「かきあめ」。昭和期に使われていた化粧箱が発見され、当時を懐かしむ声が広がっている。震災で一旦途絶えた「かきあめ」はコーヒー販売の(株)いしかわ(石川光晴社長)=石巻市北村=が商標を譲り受けて平成30年に復活、販売。半世紀以上前の化粧箱に石川さんも「石巻の歴史を感じる貴重な資料」と語り、これを生かした新しいパッケージの開発に取り組む考えだ。  かきあめは、大正時代に市内の「福田屋製菓店」で福田淳七さんが開発した

深谷からし巻き ピリッと痛快 冬の味 生産ピーク お茶請けに

 石巻市の河南地区で愛されている「からし巻き」の生産がピークを迎えている。地区の生産者ら約10人が手作りし、この時期しかないピリッと辛い特産品を食卓に届けている。  からし巻きは40年以上前から地元の特産品として生産され、県内外にファンを持つ唯一無二の味。原料の大根やシソは地元産で、漬け込む作業から全て手作業で行っている。  同市広渕のJAいしのまき河南食品加工部会(黒沼次子部会長)では「深谷からし巻き」として特産化し、今年も11月16日から生産を始めた。漬け込んだ大根に

「海斗」劇中主題歌も担当 漫画のまちに追悼広がる アニソンの帝王・水木一郎さん死去

 アニメソングの草分けでもある歌手、水木一郎(本名早川俊夫)さんが6日、肺がんで亡くなった。74歳。所属事務所が12日に公表した。石ノ森章太郎氏の作品とも縁が深く、石巻市のヒーロー「シージェッター海斗」の劇中主題歌も担当。何度も足を運んで歌を届けてきただけに、市内からも追悼の思いが広がった。  東京都出身の水木さんは、昭和43年に歌手デビュー。アニメ、特撮作品の主題歌や挿入歌を歌ってきた。その数は1千曲を超え「アニソンの帝王」として足跡を残してきた。  平成23年の復興応

野蒜ケ丘の眺望 四大観に匹敵 医療法人理事長・森さん 展望台整備し一般開放

 東日本大震災後の新市街地である東松島市野蒜ケ丘に、松島湾や整然と並んだ住宅地を眼下に収める展望台が完成した。団地西側の森さい生医院から続く階段状の遊歩道を10分ほど行った先にあり、同医院と石巻市新橋の森消化器内科外科を運営する医療法人済生の森理事長の森芳正さん(72)が整備。「松島四大観に匹敵する」という眺望を多くの人と分かち合うため、一般に開放している。  野蒜ケ丘展望台と名付けた場所は標高60メートル余りの丘の上。一度に15人ほど利用可能な3.25メートル×3.7メー

進路選択 教えて先輩 石巻商業1年生 若手講師22人が車座で

 石巻商業高校(齋藤文弘校長・生徒363人)で8日、地域で活躍する若手社会人の講話を聞く「ミライブラリー」が行われた。金融、市役所、マスコミなど21事業所から同校卒業生を含む22人が講師として来校。1年生133人を対象に、自身の進路決定や就職活動、就業後のやりがいと苦労などを伝えた。  石巻地域産業人材育成プラットフォームと(一財)まちと人と=石巻市中央=が共催したキャリア教育プログラムの一環。講師との対話を通し、生徒に進路や将来について考えてもらうことが狙い。  生徒た

駆けて踏んで一石二鳥 ベガルタサッカー教室 野蒜の麦畑で日本初?

 東松島市野蒜の農業生産法人(有)アグリードなるせ(尾形和利社長)の麦畑で10日、「日本初?東松島ベガルタ麦踏みサッカー教室」が開かれた。〝麦踏み〟は麦が強く育つために欠かせない作業。地域内外から小学生を中心に17組40人の親子が集い、麦の成長を願いながら駆け、入念に畑を踏み回った。尾形社長は「皆の協力のおかげで来春は立派な麦ができるだろう」と笑顔で語っていた。  同社は震災後、被災した野蒜の農地約100ヘクタールで「ニューサチホゴールデン」という品種の大麦を栽培。これをま