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石巻日日新聞

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石巻市・東松島市・女川町の話題を掲載している夕刊紙「石巻日日新聞」のnote版マガジンです。とっておきの地域情報と過去記事などのアーカイブ。無料と有料記事があります。ぜひぜひフォ…
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2022年3月の記事一覧

最大被災地の教訓 後世に 震災遺構門脇小で開館式

 石巻市は30日、東日本大震災の遺構として整備した旧門脇小学校を4月3日から一般公開するのを前に、関係者を集めた開館式を開いた。齋藤正美市長は昨年7月に公開を始めた震災遺構大川小学校と共に、最大被災地の責務として記憶と教訓を後世に伝えていく意志を示した。  開館式は復元した校門前であり、学識者や市民、観光関係団体の代表者らが出席。黙とうをささげた後、齋藤市長が「一人でも多くの人が訪れ、自身と大切な人の命が守られるよう有事の迅速な避難行動に役立ててほしい」とあいさつした。

石巻かわみなと大橋開通 旧北上川に新たなシンボル 利便性向上、救援道路にも

 旧北上川河口の日和大橋から上流約500メートルに架かり、石巻市の門脇・南浜地区と湊地区を最短で結ぶ「石巻かわみなと大橋」の開通式が、30日に行われた。これにより、東日本大震災後で被災した河口部の主要な道路網整備が完了。日常的な生活、通勤の利便性が増し、災害時には救助・救援道路として役立てられる。  午後3時の一般開放に先立って午前にあった開通式には、国、県、市の関係者や最寄りの町内会の代表者らが参加。齋藤正美市長は「門脇、湊地区は新たなまちづくりが行われ、大いなる北上川の

運河交流館11年ぶり復活 4月1日開館記念セレモニー 身近に水辺親しむ

 東日本大震災以降休館していた「北上川・運河交流館 水の洞窟」=石巻市水押=のリニューアル工事が完了し、29日に記念セレモニーがあった。11年ぶりとなる開館は4月1日で、展示スペースを新設。管理運営がこれまでの国交省北上川下流河川事務所から市に委託され、以前にも増して市民に親しまれる場にしていく。  セレモニーでは同事務所の小嶋光博副所長が「市が管理運営を行うことで自由度が高まる。川や運河に親しめる水辺になれば」と所長あいさつを代読。菅原秀幸副市長は「市民と一体ですばらしい

まきあーと1周年記念 三代そろい踏み「狂言の世界」 万作、萬斎、裕基さん出演

 マルホンまきあーとテラスの開館1周年記念公演「狂言の世界」が28日、大ホールであり、抽選に当たった約750人が伝統芸能の世界に浸った。出演者は人間国宝の野村万作さん(90)、萬斎さん(55)、裕基さん(22)。昨年3月28日に予定されていたこけら落とし公演が、コロナ禍で延期に。当時、出演予定のなかった萬斎さんの都合がつき、親子三代そろい踏みが実現した。  冒頭、齋藤正美市長は「万作さんは35年前、石巻文化センター開館時もこけら落とし公演をしていただいた。めぐる縁に驚き、深

石巻・まちなか鮮魚店 プロショップまるか31日閉店

佐々木社長「最後までいい魚を」 石巻市中央一丁目で多くの市民に愛されてきた鮮魚店「プロショップまるか」が31日で閉店する。長引くコロナ禍による売り上げ減少や佐々木正彦社長(69)が自らの体力を考慮して決断した。東日本大震災を乗り越えてきたが、惜しまれつつ約50年の歴史に幕を降ろす。  「残念だね」。現在の心境を明かした佐々木社長。閉店を決めたのは、3月に入ってからという。1年ほど前から後継者に店を引き継ぐ計画を進めていたが、コロナ禍による大幅な売り上げ減少が課題となっていた

東京パラ五輪で国家独唱 佐藤ひらりさん 石巻訪問 8月の公演を約束

 昨年8月の東京パラリンピック開会式で国家を独唱した佐藤ひらりさん(20)が18日、石巻市役所で齋藤正美市長と懇談した。全盲のシンガーソングライターとして知られる佐藤さんは、これまでも東日本大震災で被災した人を励ます歌声を届けており、8月には市内で公演を行うことを約束した。  佐藤さんは新潟県三条市出身。5歳から音楽を習い始め、現在は武蔵野音楽大学で作曲を学んでいる。石巻市には小学5年生だった震災翌年の夏に中央の仮設商店街などで弾き語りコンサートを行って以降、たびたび来訪。

門脇流留線が全線開通 石巻、東松島結ぶアクセス道 防災機能持つ高盛土道路

 石巻市と東松島市を結ぶ都市計画道路「門脇流留線」のうち、門脇工区(同4.2キロ)が完成し、24日に開通式が行われた。これにより、東日本大震災後に事業化された同線は石巻市の門脇から魚町までの全7.9キロが通行可能になった。東松島市側では都市計画道路「矢本門脇線」(同3.8キロ)と接続し、平時は2市を結ぶ物流・通勤路、有事では避難・救難ルートとして活用される。  門脇流留線は、総事業費約338億円。県が平成24年に復興交付金を活用して事業に着手した。これまで令和2年9月に魚町

船越小元児童 拝啓 10年後の自分へ タイムカプセル開封

手紙に「復興の役に立つ」 石巻市雄勝町大浜の葉山神社内で13日、10年前に地元の船越小学校(平成24年度末閉校)の全校児童15人が埋めたタイムカプセルが掘り起こされた。元児童だった若者9人と保護者、当時の教諭が参加。カプセルには学校生活の中で撮られた写真や10年後の自分に宛てた手紙などが入っており、若者たちは懐かしさに浸りながら思い出を語り合った。  船越小は東日本大震災で校舎3階まで津波が襲い全壊。児童は裏山に逃げ全員無事だったが自宅が流失した子が多く、転校などで児童数は

次代への軌跡「新文化創造」 ⑤提言 面と点でつながりを

 音楽、演劇、創作など多岐の文化を集約するには、石巻市が「マンガの街」であることが前提になる。石ノ森萬画館から周辺の中心市街地を一つの拠点として考えたい。その上で、複合施設の「マルホンまきあーとテラス」も拠点に、この2カ所を有効に活用していく可能性を探りたい。  まちなかには、すでにアートを扱う施設や演劇などを行う小規模スペースが点在し、これから新しい施設も整備されていく。震災後に発展してきた文化をしっかりと根付かせるためにも、現在ある演劇祭や音楽祭、創作家による個展、さま

次代への軌跡「新文化創造」 ④展望 広がる趣味と活動

 石巻市では平成29年から、現代アートと音楽、食の総合芸術祭「リボーンアート・フェスティバル」が始まった。その後、隔年で開かれ、今夏が3回目の後半会期となる。国内外の芸術家の作品が市街地や牡鹿半島に展示される。  石巻市内には「石巻のキワマリ荘」「アートドラッグセンター」などのギャラリーも誕生し、若手芸術家が創作活動に打ち込む。仕事の傍らで創作を行う人も多く、同市内で活動するいぼくまさん(35)もその一人。  2人組のユニット「KUMAKAN」として都内で活動していたが、

石巻地方震度6弱観測

東松島で建物、道路損壊 16日午後11時36分ごろ、福島県沖を震源とする地震があり、石巻市と東松島市で震度6弱、女川町で5強と広範囲で強く揺れた。沿岸部に津波注意報が出され、石巻港で最大30cmの津波を観測。午前5時に解除された。石巻地方では建物損壊や漏水、地盤沈下や火災など一部で被害が見られた。震度6弱の観測は昨年2月13日以来1年1カ月ぶり。気象庁は「約1週間は震度6強程度の地震に注意を」と呼び掛けている。 気象庁「1週間は注意を」  気象庁によると震源の深さは約57

次代への軌跡「新文化創造」②現状 演劇を市民の娯楽に

 石巻市内で活動する市民劇団「スイミーはまだ旅の途中」は、平成26年に行われた公演がきっかけとなり、27年1月に発足した。現在は30人ほどが所属する。代表の町屋知子さん(30)は、22年に青森県から石巻市に移住した。被災後も趣味で演劇を続けている。  町屋さんは「演劇が週末に見られるというような気軽に芸術文化を楽しめる街になってくれれば」と話す。稽古場とするのは、地域の公民館や集会所、市かわまち交流センターなど、安価で使える場所を使う。  市内には複数の市民劇団があり、2

次代への軌跡「新文化創造」 ①課題 巨大文化施設の活用

 東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市は、石巻文化センターなどの文化施設も被災した。復旧までは市民の文化活動も停滞気味だったが、復興事業が進み、新たな街並みが生まれるにつれ、徐々に活動の再開と広がりにつながってきた。  震災後、移住などで人の動きが大きく変わり、ボランティアなどで訪れていた人たちが定住するなど、震災前とは違う表情が形作られている。昨年開設した石巻市開成の複合文化施設「マルホンまきあーとテラス」は、かつての石巻文化センター、市民会館の機能を集約している。

責任感じて今も飼えず 守れなかったペットの命石巻市築山 高橋京子さん

 石巻信用金庫鹿島台支店で支店長代理を務めていた高橋さん。揺れが収まると、付けたラジオから「大津波警報」「8㍍の津波」など想像もつかない情報が流れてきた。  内陸の鹿島台で津波の心配をすることはなかったが、石巻市築山の自宅に残してきた愛犬リュウと愛猫ミケの安否が気になった。店内を片付け、翌日、再度集合することを確認後、自宅に向けて車を走らせた。  時刻は午後4時ごろ。車中では「予報は8㍍と伝えられていたが、実際はどうなっているのか」「本当ならリュウやミケはダメかもしれない