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石巻日日新聞

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石巻市・東松島市・女川町の話題を掲載している夕刊紙「石巻日日新聞」のnote版マガジンです。とっておきの地域情報と過去記事などのアーカイブ。無料と有料記事があります。ぜひぜひフォ… もっと読む
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2021年3月の記事一覧

話せなかった福島の出来事 石巻市泉町・清水葉月さん(27)

 石巻市泉町の清水葉月さんは、福島県浪江町の出身。福島第一原発事故で長期の避難生活を余儀なくされた町だ。石巻市を拠点に東日本大震災の伝承に取り組む公益社団法人3・11みらいサポートに勤めており、自身の体験を次世代に生かそうとしている。  清水さんは震災当時、浪江町から電車で20分の富岡町の高校に通う2年生。授業中、同級生の携帯電話から緊急地震速報が流れた。誘導されて避難した校庭で身を寄せ合い、泣く生徒もいた。  丘の上の高校は周囲を木に囲まれ、街の様子は見えない。「駅が流

新任教諭が伝える2度の震災 石巻市あゆみ野・熊谷拓哉さん(22)

 石巻専修大学人間学部人間教育学科4年の熊谷拓哉さんは、東日本大震災で石巻市釜地区の自宅が全壊。その後、父親の転勤で移り住んだ熊本県でも熊本地震(平成28年)に遭うなど、10年間で2度の大災害を経験した。熊谷さんは本年度宮城県教員採用試験に合格し、今春から小学校の教壇に立つ。「2度の大震災に遭ったからこそ語れる経験や防災がある。命の大切さを子どもたちに伝えられる教諭になる」と決意を語った。  あの日、釜小6年で卒業を間近に控えていた熊谷さんは、4階の教室で担任やクラスメート

桜すくすく満開楽しみ 石巻市 日和山公園

 石巻市の桜の名所で知られる日和山公園=同市日和が丘=でソメイヨシノの開花が始まり、今週末が見頃となりそうだ。30日も公園に市民が足を運び、春を探して木を眺める姿があった。 公園内のソメイヨシノが咲き始めた  同市門脇の佐藤隆治さん(36)は、長女ももちゃん(9)、長男柚希君(7)の3人で公園を散策。隆治さんは「先週つぼみだった桜がついに咲いた。満開になるのが楽しみ」と話していた。  石巻市は感染対策でライトアップは昨年に続いて行わないが、4月3日―11日を観桜期間とし

震災の記憶と記録いつまでも 南浜復興祈念公園が開園 広場で献花 海に黙とう

 東日本大震災の犠牲者を追悼し、災害の記憶と教訓を伝える「石巻南浜津波復興祈念公園」が28日、開園を迎えた。被災3県で整備されている国営追悼・祈念施設を備えた復興祈念公園のうち、全面供用開始は宮城県が初。新型コロナウイルスの感染拡大による県独自の緊急事態宣言下に伴い、この日は式典を取りやめ、展示施設の「みやぎ東日本大震災津波伝承館」も同宣言明けまで開館は見送った。一般開放された公園内では「祈りの場」で市民が献花し、周辺を散策する姿も見られた。【横井康彦】  築山からは公園内

密環境で教員6人感染 蛇田中クラスター 東松島市職員も陽性

 県内では27―28日にかけ、計263人が新型コロナウイルスに感染した。石巻地方では27日に石巻市7人、東松島市1人。28日に石巻市1人、東松島市2人が感染。教職員計6人が感染した蛇田中学校について、県はクラスター(感染者集団)と認定した。陽性者累計は石巻市211人、東松島市59人。県内では5637人。  蛇田中では25日に東松島市の男性、27日に石巻市の30代と50代男性、50代女性、東松島市の50代男性、登米市の20代男性のいずれも教職員計6人の感染が分かった。県による

「知恵とアイデアが重要」 渥美氏が事務所開き 元地利用と道の駅促進

 任期満了に伴う東松島市長選(4月18日告示・25日投開票)に無所属で立候補を予定する現職の渥美巖氏(73)は28日、同赤井の自宅敷地内に後援会事務所を設けた。渥美氏は支持者を前に「告示日には全力を掲げて市民に訴える」と語った。【横井康彦】  渥美氏は同市赤井出身。平成7年から県議6期を務め、副議長などの要職を務めた。29年の市長選で初当選後、復興完結や人口減少対策などに注力。県議時代に培った国、県とのパイプも生かして復興を進めた。 支持者を前に2期目の抱負を訴えた  

人生変わるも夢を達成 石巻市新館・鈴木拓也さん(35)

 東日本大震災で人生が大きく変わった人は多い。石巻市新館の鈴木拓也さん(35)は自宅が全壊し、仕事も失った。それからさまざまな仕事を経験し、昨年7月に同市雄勝町の観光交流施設内で喫茶店を始めた。高品質な自家焙煎コーヒーは地域の人たちや観光で訪れる人のみならず、多くのコーヒー通をうならせる。また、若者たちが雄勝の未来を語る場にもなっている。【渡邊裕紀】  当時働いていた水産加工会社が被災し、鈴木さんは失職。両親と仮設住宅に暮らし、がれき処理の選別作業の仕事に就いた。その後は復

復興に尽力 感謝の辞令 石巻市 派遣元に戻る応援職員に

 東日本大震災の応援で石巻市役所などに勤め、新年度から派遣元の自治体に戻る職員への辞令交付式が26日にあり、亀山紘市長が復興への尽力に最大限の感謝の言葉を贈った。【熊谷利勝】  辞令交付式は市役所で行われた。新型コロナウイルス対策で時間を短縮し、一人一人の名前が読み上げられた上で、代表者が辞令書を受け取った。亀山市長はコロナ禍で十分なもてなしができなかったことを詫び、「慣れない言葉と土地で業務遂行していただいた。おかげをもって復興は総仕上げの段階に来た」と感謝し、派遣職員と

車で流され「まるで洗濯機の中」 石巻市のぞみ野・佐々木蘭さん(29)

 あの日、大きな揺れの後、十分な情報がない中で「すぐ家に戻って」という父親の出先からの電話に従い、買い物途中の石巻市中里から南浜町四丁目の自宅に車を走らせた。わずか10分ほどで到着。周囲の人たちは津波に備えて避難したらしく、シーンと静まり返っていた。  当時、石巻専修大1年生だった佐々木蘭さんは母親とほぼ同時に家に着いた。それから30分後、どこからか「ゴーッ」という聞いたことのない不気味な音が聞こえ、次第に大きくなった。  ふと見ると、100メートルほど先に黒い水の塊が。

一様にコロナ対策重視 石巻市長選 投票まで1カ月 4新人が立候補表明

 任期満了に伴う石巻市長選(4月18日告示・25日投開票)の投票日まであと1カ月となった。現在まで立候補を表明したのはいずれも無所属で市議の阿部和芳氏(61)、元衆院議員の勝沼栄明氏(46)、元県議の齋藤正美氏(66)、元石巻市・市立病院職員の長純一氏(54)の4人。現職の亀山紘氏(78)が4選不出馬を決め、16年ぶりに新人同士の戦いとなる。少子高齢化と人口減少が進む中、市政は10年の東日本大震災復興期間終了後も持続可能な行財政運営が課題。市民の安心安全の担保も求められ、一様

医師の長氏が立候補表明 石巻市長選 日本一の在宅医療目指す

 石巻市と市立病院の元職員で、震災後の医療復興や地域包括ケアシステムの構築に貢献してきた医師の長純一氏(54)が18日、任期満了に伴う石巻市長選(4月18日告示、25日投開票)に無所属で立候補することを表明した。立候補表明は4人目で、1カ月後の選挙戦を争う顔ぶれがほぼ固まった。【熊谷利勝】 石巻市役所で会見する長純一氏  長氏は会見で「かけがえのない命を守り、育み、未来につなぐ、輝く石巻を目指す」と表明。臨床医と医療政策を担った経験から「市立病院改革と地域包括ケアにより日

漁業用かご10年ぶりに戻る 女川町「おかせい」 1500キロ先 徳之島に漂着

 東日本大震災で流出した漁業用のかご(通称アワビかご)が10年の時を経て、約1500キロメートル先の南の島から女川町に戻った。震災をめぐるドラマのような奇跡が、また一つ―。【本庄雅之】  女川町の鮮魚店「おかせい」=(株)岡清=の関連会社に10日、「震災で流されたお宅のかごでは」と電子メールが送られてきた。差出は鹿児島県の離島、徳之島の人からだった。添付された写真を確認すると、「女川岡清」の文字がはっきり見える。流出した養殖用の数百個の一つに間違いなかった。 10年ぶりに

宮城県地価公示 上昇幅小、下落幅大 コロナの影響色濃く

 国土交通省は23日、土地取引の基準となる令和3年公示地価(1月1日現在)を発表した。県全体の平均変動率は1.1%と9年連続で上昇し、1平方メートルの平均価格は14万2300円(3700円増)。地域別では、仙台市の平均変動率が2.3%で9年連続、同市周辺市町村が1.3%と8年連続で上昇した一方、新型コロナ禍に伴う影響から上昇幅は縮小傾向に。また、他市町も1.3%減と6年連続で下落し、下落率も前年より拡大した。【横井康彦】 仙台市国分町5.1%減 石巻地方は下落続く 県内の調

「市民と共に課題突破」 齋藤氏が事務所開き 経済立て直しへ支援強化

 任期満了に伴う石巻市長選(4月18日告示・25日投開票)に立候補を予定している元県議の齋藤正美氏(66)は24日、大街道西に開設した後援会事務所の開所式に臨んだ。齋藤氏は「課題を一つ一つ解決するため市民と共に突破。これを共に成し遂げたい」と声を大にした。【熊谷利勝】  蛇田出身の齋藤氏は29歳で石巻市議に初当選し、1期目途中で県議に転身。国政挑戦を経て平成23年11月の選挙で県議に復帰した。7期目の今期は副議長にあったが、市民有志の団体から要請を受けて市長選出馬を決め、今