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ことばに頼りすぎていやしないか。言葉があるから我々は同胞にさえ身構える

ことばで傷ついたことのない人はきっとこの場にはいないだろう。

言葉とは服装なようなもので、人々はよく厚く着込んで本性を偽装する。

しかし言葉の性質を深く知る人は服の上からでもその素性を知る事ができよう。凡そよく着込む人ほどその素性は煩雑でみにくものだ。また場合によってはあまりに薄着で、赤裸々で目のやり場に困ってしまうこともある。

文化との結びつきもまた強く、文明の衝突やイデオロギーの対立など、言葉の利用によって生じた諍いは枚挙に暇がない。彼らが一時でも言葉を離れて、裸の心で純粋に向き合い、本能的に行動できようものなら世の中は幾分か安らぐだろうに。

言葉なくして、分かり合えないということはあり得ない。
「分かり合う」ことすらも言葉だから。

言葉があるから我々は同胞にさえ互いに身構えるのだ。


動物的野蛮さには際限があるが、
理知的鋭利さには際限がないように思う。

(2020.08.24加筆)



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