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個人の生活と「地球」の間を行ったり来たりする、つんく♂式ドローン話法のすごさ。

7月5日(日)は2020年東京都知事選挙の投票日ですね。

選挙前になると、モーニング娘。『ザ☆ピ〜ス!』の「選挙の日ってウチじゃなぜか 投票行って外食するんだ」のフレーズが注目されます。でも、他にも選挙前にこそ聴いていただきたい、素敵な楽曲があるんですよ。

モーニング娘。『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』

まずは歌い出しから歌詞を追ってみましょう。

「試験勉強してても『昨日寝ちゃった』と言っちゃおう」
「影で努力してても何食わぬ顔で生きちゃおう」

うんうん、わかる。わかるよ。懐かしいな、この気持ち。このやりとり、大学で死ぬほどあったな。みんな努力隠しがち。やばいやばい言いがち。でも、勉強するのがダサい認定されたり「何頑張っちゃってるの?」なんて言われるの、おかしいよね。で、次のフレーズがこれです。

「この地球の平和を 本気で願ってる」

どうした!? 急に話飛んだね!? スケールでかいね!? ドローン、教室からグィイイイーーーンって大気圏外まで一気に飛んだけど操縦大丈夫!? ってなりますよね。

半径5mの世界と地球をいったりきたりするつんく♂式ドローン話法

つんく♂さんの歌詞には、唐突に「地球」というパワーワードが出てきます。それまでは普通の10代の女の子の生活を描いていたのに、急に話が飛躍する。その逆もある。「私」を中心とした「半径5mの世界」と「地球」、なんなら「宇宙」をいったりきたりする。

これを私は勝手につんく♂式ドローン話法と呼んでいます。彼の作品において、多用されている手法です。

「青春の1ページって、地球の歴史からすると、どれくらいなんだろう? あー、愛しいあの人、お昼ごはん、なに食べたんだろう?」(モーニング娘。『ザ☆ピ〜ス!』より)
「宇宙のどこにも見当たらないような 約束の口づけを原宿でしよう」(モーニング娘。『Do it! Now』より)
「でっかいでっかい宇宙にある まーるいまーるい地球で ちっちゃなちっちゃな思いやりが でっかなでっかな愛となる」(モーニング娘。『でっかい宇宙に愛がある』より)

これは編集者としても参考になるテクニック。まずは自分ごとから始めて、社会への問題提起へと繋げていく。その逆も然りです。大きなトピックから、読者の生活に落とし込む。WEBのニュース記事でも多く見られる構文ですよね。

さて、『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』に話を戻しましょう。

「ガキ扱いNo Thank You  私の人生 誰かがどして 邪魔をするのよ」
「さあ行け未来は渡さない 愛の力愛の叫び」
「さあ行け 心は変えられる 夢を抱け 諦めるな」

いいフレーズだなー。選挙前に聴いています。どこにでもいる普通の女の子も、地球の一員で、すべてはゆるやかに繋がってる。これをさらっと伝えられるの、すごい。それも全然押し付けがましくないし、どれもポジティブにまとまっています。

つんく♂さんは、「どこにでもいる普通の女の子」の描写を通して、地球平和へのメッセージをさらっと発信しています。

芸能人が政治色の強い発言をしたら叩かれてしまうようなこの日本で、モーニング娘。は2001年から「選挙の日ってウチじゃなぜか 投票行って外食するんだ」と歌い続けている。Twitter上でも、つぶやいている人多いですよね。「選挙」「投票」を、J-POPを通してお茶の間に届けた。これはすごいことです。

自分の生活第一でいい ちょっと視座と視点を変えてみよう

モーニング娘。『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』は「何気なく教室で友達とのんびり雑談する半径5mの世界は、日本・地球・宇宙と続いているんだよな〜」という大切かつあたりまえのことを再確認させてくれます。戦争起きたら学校どころじゃないですしね。

まずは、自分主義でいい。みんなが社会貢献とか考えて最初から動いてるわけじゃないし、常に政治のこと考えて、毎日ニュース読まなくてもいい。そりゃ考えたほうがいいし、読んで欲しいけど、「本気で考えている人だけ参加してください!」っていう競技じゃないからね、選挙ってのは。都合がいいときだけ、ワーッと集まってくれたらそれでいいんじゃないかな。

世界に羽ばたかなくても、グローバル人材にならなくても、まずはそれぞれが今いる場所を大切にしたらいい。ただ、ちょっと視座を変えることが大事。心のドローンをビューンと上空に飛ばしてみませんか。知識がなくても「日本の未来が明るくなったらうれしいな〜」って気持ちがちょっとでもあればいいし、最悪なくてもいい。

選挙が近づくたびに、若年層の投票率の低さが毎回報じられます。総務省の調査によると、平成28年7月に行われた第24回参議院議員通常選挙の投票率は、10代が46.78%、20代が35.60%、30代が44.24%。全年代を通じた投票率は54.70%ですから、やっぱり低い。

じゃあ私が学生の頃は投票してたの? というと……恥ずかしながら、毎回投票に行くようになったのは、社会人になってからです。身の回りで、政治の話を本気でしている人はあんまりいなかった。「えっ、やたら投票すすめてくるとか、何かの勧誘かな? 怖い……」という感覚も正直ありました。でも、一人暮らしをしている学生だと、住民票が実家のままでそもそも投票できない! とか、いろいろ面倒なこともあるし、投票に行かない若者を責めることはできません。

一児の母になった今は、子育てやセーフティーネットに関する政策に興味津々です。でも、政策が実現するまで結構時間かかる。自分が当事者になってから投票したんじゃ、遅いんですよね。

自分が考えるちょっと先の未来をどうしたい? それぞれ考えながら、みんな今週末は投票行って外食しよう。

TOP画像は「みずしな孝之」先生による、つんく♂さん公式LINEスタンプです。

おまけ:ハロヲタ歴22年、小沢のハロプロ仕事を一部紹介

自己紹介的なエッセイです。「モーニング娘。になれなかった女」たちからDMが届いたり、熱いコメントが届いたりしました。

モーニング娘。OG、小川麻琴さんとフリーランス女性対談しました。

こんなnoteも。ハッシュタグ、盛り上がりました!


その他も、多数メンバーの魅力を引き出すコンテンツを多数制作しています。ハロプロ関連のお仕事、ぜひぜひです。

現場からは、以上です。

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