海外大学院に向けての勉強法1-1『何故編:概論、「学生じゃなくなってしばらくしてから、海外進学を目指して勉強するってどんな事か」』


こんにちは。

前回の予告からは少し遅れましたが今回は『1-1 何故編:概論、「学生じゃなくなってしばらくしてから、海外進学を目指して勉強するってどんな事か」』について書いていきます。

長いので最初に一言でまとめると「志望動機: でも単に志望動機を書く…だけじゃなくその先を見据えると後から得をする(経験則)」というお話です。

1 :そもそもの話自分の中での志望動機:そもそも、何故進学を?しかも海外で?

そもそもの話ですが、何故大学院への進学を(Q1)、しかも海外でしよう(Q2)と思いましたか?色々理由はあると思いますが、自分のケースを元に少し分解して考えてみましょう。

Q1:独学 or 進学→進学
大学院である必然性のある理由
- 高等教育分野について、独学ではなく専門家によるフォーマルな教育を受けたい。
自分の仕事に関わる分野(高等教育の国際化、留学派遣)について独学で勉強はしてましたが、自分の理解が妥当なのかを測るためのフィードバックや、興味ある分野をより深めるための専門家からの助言が欲しかった。
- ちゃんとした学位も欲しい(キャリアへの足しとして)
履修証明(Certificate)のコースや、オンラインのコースもあるが、キャリアの足しとして説得力のある学位(修士号)が欲しかった。(学位授与が出来るのは大学だけ☆)
副次的な理由
- ちゃんとした学位も欲しい(移住に関わって)
行き先やその他に移住も視野に入れるとなると、国際通用力のある学位があった方が良い。
- 学生やりたい!
…そもそもお勉強が好きなので。お仕事はもう十分…。

Q2:国内 or 海外→海外
海外である必然性のある理由
- 最終的には移住目的:日本社会が色々と合わないし、愛着も無い
関連するが副次的な理由
- 日本の高等教育のプログラムのある大学院で修士号を得て、その先のキャリアパスとしては普通の「国内で大学職員を続ける事」に疑問があった。(人口減少してる時点で、業界全体ははっきり言って先行きが明るくない。)

Q3:進学以外の渡航 or 進学による渡航 → 進学による渡航
必然性のある理由
- 身分の手堅さ!!「ちゃんとした大学の学生」という現地社会での高い身分的・制度的安定性が2年程度手に入ります。
→ワーホリとは比べものにならない制度的優遇(期間、保険、移民申請の優遇、就職、大学からの支援、ネットワーキング…)が得られます。…その分結構な金額の学費払うけど。(※カナダでも学費の安い所や、他に無償の国もあります。)
- 就職による渡航は既に余程の専門家ならまだしも、何も無しで仕事探すには難易度が…。

…と、言うわけで、特にQ1・2は海外で進学を、と思われている方は考えた方が良いかと思います。必然性の無い事に憧れや妄想だけで進めるには費やす
・お金(約800万)、
・労力(英語は十分出来てたし、学力的に内容の理解に苦しむ事は無いものの、延々読んで書いてに追われて現地生活のキラキラ要素無し)、
・時間(構想と蓄財9年、準備は実質3年)
からすると、それを使って他に出来る事や、移住を視野にして外国に行くにしても効率的な手段(職場での海外拠点への異動とか、国内で求人してる海外ポストとか、ワーホリとか…)があるかもしれませんので…。

2 制度から考える

さて、個々人の自分の中での志望動機が見えていざ実際に海外大学院進学、と考える時には、その出願制度を理解する必要があります。日本の大半や他国だと確かロシアを除いて、大学院への進学方法は入学試験ではなく、日本で言う書類選考を通して行います。しかし「入学試験」ではない選考でも、その目的は同様に当人のプログラムのマッチング(学力、本人の研究や学習の方向性とプログラムの提供内容)です。日本の院試だとペーパーテストで専門課程の基礎知識があるかどうかで学力を測り、面接で素養と研究への姿勢を見ますが、書類選考の場合はそれを基本的には全て書面上で行います。

博士課程の書類選考では「研究出来るか」がポイントになりますが、修士の場合、特にProfessional degree(過去の投稿参照)だと「当人の描くキャリアプランにそのプログラムがどう貢献出来るか(そして追々は本人が成功して寄付やプログラムの名声があがるか)を見る」ため、本人とプログラムの相性が重要になります。

…って言われても、相性なんかパッと見分からんですよね。。。既にその分野と先生の研究に日々触れている学部生や、当該分野に有名な先生が居て仕事でも出てくる程なら「〇〇大学の行くかぁ」となりますが、実務やっててそんなに分かるかと言われると…。ここについては4でもう少し詳しく触れるとして、出願・選考の制度的には応募書類が以下の意味合いを持ってきます。
・大学の成績→試験をしない分の学力の判断材料(どこの大学で、どういう特に専攻と関わる内容の科目をとり、どの程度の成績か)
・志望動機→面接をしない分の志望理由、人となりと、それを踏まえた相性の判断材料
・推薦状→そういう当人についての専門家の評価(本人こう言ってますけど、実際どう?)
そしてこれらを通して「ポテンシャルはあって、相性も良い」人は誰かが選考されます。

【とても重要な脱線】:推薦状ですが、働き出してから数年経ってると、大学の先生も下手したら退職してる可能性があるので要注意です。成績は依頼するだけ、志望動機は自力の範囲ですが、推薦状だけは先生にお願いする他に無いので…。私の場合はゼミの先生は昔からペーパーワーク嫌いで「面倒臭ぇ」と中々難渋し、3通必要な所へは別のお世話になった先生(とはいえそこまで接点は無い)にお願いする事になり、ほぼはじめましてに近い所から関係を10年ぶりに説明する事になり…。卒業後しばらく経って進学を考えた場合「まず先生は現役か」を確認しましょう!!

3 志望動機

この「書類としての志望動機」、これが今の自分でどうにか出来るほぼ全てです。(※:そもそもの成績が出願要件に満たない場合は大学時代の自分を呪うしか無いです。私はアメリカ時分の成績がギリギリ下限である3.0以上(3.04)だったので10年前めげずにやってた自分に感謝しました。)そして、直近まで勉強してる学部生の書くそれと、働いてる人が働いてる分野に関連して出すそれ(関連して無くても?)は違う。学生は恐らく学生であるが故に日々理論に触れているけど適用出来る経験が無いのに対し、仕事してからの進学は理論は遠ざかってるかもしれないですが、学んだ事を適用可能な経験(事例のストック)は有るので、「私は、学んで、コレがしたい!」とより具体的に書く事が出来る最大のアピールポイントなのです。

さて、アピールするにせよ判断材料は相性だけじゃなく学力的なポテンシャルもあり、ここでやっと本題の「海外進学を目指して勉強するってどんな事か」が発生します。単にアピールするにしても「私こんなに凄いんです!」と実際に関連した経歴をそこで書き、成績も推薦者の評価も良く、英語も出来ますよとなっても、「そこで私は何がしたいのか」、志望動機の核となる部分が弱いとあまり響く内容にはなりません。ここに説得力を持たせるにはもう少し詳しく「自分がそのプログラムで『特に何を』学び、どう自分や社会に生かしていくか」訴える事になりますが、この『特に何を』という選択のためにそれを選ぶ元になる「分野の基礎知識」が必要になります。(「どんな事か」の一つ目の答え:志望動機に説得力を持たせるための基礎知識を学ぶ)

※:「で、私の場合それを踏まえて何を勉強したのか」はこのシリーズ3回目に載せます。

4 …のその先?

志望動機でポテンシャルを示す、自分のテーマを経歴と分野の研究とそのプログラムとの相性を踏まえて説明出来るように勉強するのはとても重要ですが、これはあくまで通過点で本当のゴールはその先の「現地で修了すること」にあります。(そりゃそうだ。)そこを見据えると、出願時の準備は「プログラム開始までに知識の貯金を作っておく」という意味を帯びてきます。

実際、私もプログラムが始まり2−3コマ履修するとそのリーディングに合わせるので手一杯で、その分野の古典や論文を読む余裕なんて無く、始まってから「あ〜、名前聞いた事あるから暇なうちに読んどきゃ良かった…。」と思う事が多々ありました。一方で、国際化の授業の時はいくつか読んでいるものもあったので、その週の授業や課題は昔読んだ時に付けていたノートでささっと終わらせたり、期末レポートのお題を考える軸に使ったりと、余裕を持って対応する事が出来ました。(何せ日々時間との闘いで、英語はそれなりに出来るとは言え、ネイティヴではない人が次回までに「授業に積極的に参加出来る程度に読んで理解する」となると結構な労力なので、2−3リーディングの本数が減るだけでも結構な心の余裕に…。)社会科学系であれば新しい論文は授業の課題として読む事が多いと思うので、基礎的なものはサラッとでも準備段階に触れて貯金を作っておく、というのがこの「どんな事か」の二つ目の答えです。

ただしこの「何を、どの程度読んでおくか」は、「志望先がどんな(社会科学系の)プログラムか」で前提が異なると思われます。私のM.Ed. (Higher Education)のプログラムは
・Professional degree、学生はほぼUofTの教職員+近隣大学の職員で働く部署も、卒業した学部もバラバラ
・分野は〇〇 logy(〇〇学)という意味で専門化されておらず、〇〇 study(〇〇論)という対象として扱う様々な〇〇学の理論(社会学、心理学、行政学等々)を分野であるため、全体を扱うような定番の教科書や古典が無い(国際化についてはまとまった本はあるが、そこに関わる様々な側面が1冊にまとまっている、という内容で全巻通して"国際化の理論"ではない)
・そもそも学部レベルでHigher Educationを専門にする人なんて居るのか、という分野
なので、「これをやっておけば大丈夫!」というのがありませんでした。幸いにも、国際化の分野については業界団体の「高等教育の国際化に関わる人向け必読リスト!」があったので、そこから手を付けた所しっかりハマりましたが、こういう一応の枠組みが緩い・広い分野と、専門化が深い分野だと「流石にこれ読んでないと話にならない必読の理論書」というものがあるかと思います。

はい、長くなりましたが「学生じゃなくなってしばらくしてから、海外進学を目指して勉強するってどんな事か」というお話でした。ポイントは「勉強するのはさしあたりは経歴とプログラムと分野の研究を踏まえた、ポテンシャルを示す説得力のある志望動機を書くためだけども、単に志望動機を書くだけじゃなく、その先の修了を見据えてその分の貯金として、何を読むか考えながらやっておくと後から得をしますよ(経験則)」という事です。

次回は『1-2 中身編:何を・どの様に・どの程度、スケジュールから考えてみる』の予定で、5月の半ばぐらいに出したいと思っています。予告しておりました様に、格安でも有料にするかもしれません。内容書き出してから考えます。

ではまた。

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