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企画も技術も、次のステップへと進んだ2日間|第1回VTuberハッカソン イベントレポート

2月24日から25日にかけて、PANORAさん主催「第1回VTuberハッカソン」が開催されました。

私はもともと視聴者としてVTuberの動画を見ており、開発側の視点にも興味があったため、今回一般枠でこのイベントに参加しました。余談ですが、イベントを知った時点でチケットが残り1枚だったので、これはもう運命だと思い即申し込みました。

このレポートはいちファンとして、当日見聞きしたことを記録し広めていくことを目的としています(当日参加した人、特に開発側で参加した方にとっては物足りないかも)。

まとめると
・いち視聴者がVTuberハッカソンを見に行ってみた
・注目度も高く、これからの界隈を左右する重要なイベントだったのでは
・個人的には「わかりやすさ」と「そのチャンネルを見る理由づくり」が大切

VTuber(バーチャルYouTuber)とは

そもそも、VTuberという言葉を聞き慣れない方も多いかもしれません。実はその定義は揺れており、今まさに議論されている所でもあります。まずは実際の動画を見ていただくのが早いと思います。こちらはチャンネル登録者数156万人を誇る最大手チャンネル「キズナアイ」さん(なんと4月からBS日テレで冠番組もスタート予定!スゴイ!)。

もともと「VTuber」というと、モーションキャプチャで人間の動きを取り込み、PC上で3Dモデルを動かす(+肉声または変声を当てる)ことで、キャラクターがYouTuberのようなパフォーマンスをしているように撮影・編集した動画を指していました。しかし最近では音声合成ソフトによってセリフを手入力したり、2Dのキャラクターを使用したりといったチャンネルも増え、どこまでをVTuberと呼んで良いのか曖昧になってきているのです。

※VTuberの定義については、こちらが参考になるかと思います。
「そもそもバーチャルYoutuberって何?定義って何?」

他にも「バックの企業はどこか?」「収益の可能性は?」「ブームのきっかけは?」など様々な文脈で語られるVTuber界隈ですが、今回の趣旨はイベントレポートということで、VTuberそれ自体の説明は最小限にしておきます。

なおVTuberに関する多角的な情報としては、木村すらいむさんが自身のブログ「文脈をつなぐ」にて、常に最新に近い情報を発信し続けてくださっています。

★実際のハッカソンは2月25日の17時までで、基本的に一般参加枠にも開放されたのは17時以降のプレゼン、懇親会、結果発表の部分。そのため本レポートでは、プレゼンまでの部分は関連ツイートを参照しながらざっくりと触れる程度に留めます。

★ツイートはtogetterにもまとめられています(1日目はこちら2日目はこちら)。

SVVRさんのyouTubeページから記録動画を見ることができます。

(以下 3月2日 11:00追記)
★ちょうど昨晩(日付的には3月2日の夜)、PANORAさんによる公式詳細レポートが公開されていました!
(追記ここまで)

改めて、イベントの概要を振り返る

開催概要
■開催日時:2018年2月24日(土)09:00 〜 25日(日)21:00
■開催場所:アカツキ オフィス
■ルール
・1人以上のチームを編成する
・オリジナルのCGキャラクターをつくるか、二次創作ではないオリジナルキャラモデルの許諾を権利者に取って利用
・何らかの方法でキャラクターを動かす
・キャラクターにセリフを喋らせる
・その様子を1分30秒の動画として編集して、YouTubeに投稿する
・番組内で使用するすべての素材の権利が問題ない状態にする
・公序良俗に反するコンテンツを開発しない

会場審査員は株式会社エクシヴィ代表取締役社長 近藤 “GOROman” 義仁さん、大人気VTuberねこますさんを発掘したライター、コラムニストのにゃるらさん、VRキャラクター体験コンテンツの定番作「サマーレッスン」のプロデューサー/ディレクターを務める玉置 絢さん。

そして(文字通り?)バーチャル審査員を務めるのはシロさん(@SIROyoutuber)、ミライアカリさん(@MiraiAkari_prj)、ねこますさん(@kemomimi_oukoku)、輝夜月さん(@Luna_Kaguya_)。いずれも界隈のトップに君臨する超大手チャンネルの主たちです。なお私はねこますさんと輝夜月さんを積極的に推しています。

この4名はYouTubeに投稿された作品を後日遠隔で視聴し、審査します。ちなみに3月1日PM23:00現在、その結果はまだ公表されていません。

当日を迎えるまでに、すでにTwitterは大盛り上がり


当日までにTwitterで仲間を探す方も多く見受けました!1日目はこんな感じだったようです↓ 食料&レッドブルタワーがすごい……!

2/25(日)17時  ハッカソン終了、そして……

ここからようやくレポート本編(?)です。一般参加者は17時が入場開始でした。

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いざ、アカツキオフィスへ。2日間のハッカソンを終えたばかりのそこは、互いを労う声やプレゼンに向け最終打ち合わせを行う声でざわざわしています。

「とにかく長く発展していってほしい」 視聴者たちが界隈に対して思うこと

20名(予定)の一般参加者の方々は最初こそ所在なさげにキョロキョロしていましたが、そこはそれ、皆「VTuberが好き」という共通意識のもと集まっているので、自然と会話が生まれました。

まさかリアルでVTuberについて語りあう日が来るとは……。職業も年齢も様々な方が集まっていましたが、どの方も結構冷静に界隈を見ていた印象です。今年に入ってとにかくチャンネルが増えてきていて、見る側としては正直追いきれないし選別も難しい。そんな中で他チャンネルと何で差別化するのか、VTuber界隈は2度目の過渡期を迎えているように感じました。

話をさせていただいた参加者さんに共通していたのは、業界の長い存続と発展を望んでいること。発展の波が早すぎて、ともすれば早期に飽和してしまうのではないかという不安を感じている人もいました。「YouTuberは見ていてヒヤヒヤする部分もあってハマれなかったけど、キャラクターを用いたVTuberなら安心して見られる」という人がいたように、もはやVTuberをYouTuberの派生のように捉えるのはナンセンス。1つの固有のジャンルとして大切に育てていくべきだと思います。

あ、でも一般参加は見た限り女性一人だった……。なんで……(´・ω・`)

16のノミネート作品と受賞結果

さて、17時の開場からややあってプレゼンの時間となりました。ノミネートは全部で16作品(タイトルから動画に飛べます)。

・No.1 「Ultra Vibes Japan」←VIVE賞
タイトル:「お兄ちゃん系モンスターYoutuber バートン誕生!」

・No.2 「VTuber うさぎさんチーム」
タイトル:「VTuberハッカソン特別編 バーチャル魔法兎少女YouTuberドコカノうさぎ」

・No.3 「ソロチーム目玉」
タイトル:「屋台ごめす開店」

・No.4 「スプリンパンチーム(松)」←Xenoma賞
タイトル:「バイオリンを演奏するスプリンパン♪」

・No.5 「スプリンパンチーム(竹)」
タイトル:「誕生!VTuberなスプリンパン♪」

・No.6 「ゆるUnity電子工作部(梅)」
タイトル:「「もっと世知辛いおじさん」のシステムを作ってみた」

・No.7 「チームひとり」
作品タイトル:「デリバリーVTuber」
※動画なし

・No.8 「マッスルラビット」←GOROman賞
タイトル:「【Vtuberハッカソン】マッスルラビット「逆さ吊り腹筋」by栗坂こなべ」

・No.9 「豊」←にゃるら賞
タイトル:「幼馴染を女の子にしてみた。」

・No.10 「Team TMCITXR」←AITalk賞
作品タイトル:「世界初のMR YouTuber 茜ちゃん!!!」

・No.11 「ザバイオーネ」←Psychic VR Lab賞
タイトル:「#1 二人羽織琴葉姉妹日記」

・No.12 「坪倉輝明」←ユーザーローカル バーチャルYouTuberランキング賞
タイトル:「「おうち de VTuber」in VRChat」

・No.13 「野田悟」
タイトル:「 iPhone X Face Trackingでモーキャプしてみた」

・No.14 「肉1.5倍」←玉置賞、NOITOM賞、CGCGスタジオ賞
作品タイトル:「水無月ライムの散歩」

・No.15 「チンアナゴYouTuber」
作品タイトル:「😇」

・No.16 「KAKUNI」←最優秀賞、ツクモ賞、AVA賞
作品タイトル:「【#01バッハちゃんねる】音楽室の偉人がVTuberになってみた!」

各作品の詳細はPANORAさんの速報記事をご覧ください。こちらにプレゼン発表資料も公開されています。

全て触れていくと大変なので、いち視聴者の私が特に気になった作品だけ取り上げていきます(何様だ)。まずはNo.9 チーム 「豊」さんの「幼馴染を女の子にしてみた。」。魅力を感じたのは、「動画外にストーリーがある」という点です。ストーリー付けのおかげで、見始める段階ですでに他と差別化されていて、「見る理由」を作ってくれています。特に程よく「中の人」の存在が見えるストーリーは、共感しやすかったですね(ねこますさんとリンクする部分があるかも)。

VTuberを始める動機として「美少女になりたい」という意見はよく聞きますが、それをいっそストーリー化してコンテンツに組み込んでしまうのが新しいなと。

次はNo.16 チーム「KAKUNI」さんの「【#01バッハちゃんねる】音楽室の偉人がVTuberになってみた!」。これは会場審査の最優秀賞にも選ばれていましたが、やはり「見る側にとってわかりやすい」という所が強かったですね……。偉人をVtuberに、さらに美少女に、という2段階の発想転換。一見飛躍しすぎているように思えますが、台本のクオリティが高いおかげでしっかり収まるべき形に収まっているように見えました。つまる所、視聴者が「置いてけぼり」にされていないんです。純粋にpart2、part3と見続けていたいと思わされました。

最後に、No.12 「坪倉輝明」さんの「「おうち de VTuber」in VRChat」。VRの中で撮影スタジオを作り、動画を撮ったり更衣室でアバターを着替えたりできる。映画「サマーウォーズ」の仮想世界“オズ”を思い出したんですけど、着想のヒントにあったりするのかな。いずれにせよ、VTuberのハードルを下げられるよう「プラットフォームから作ろう」という発想を尊敬します。うまく機能すれば業界全体の活性化に繋がるかも、ととてもワクワクしました。

↓プレゼン中の様子(No.1 チーム「Ultra Vibes Japan」さん)

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↓試遊会中の様子(No.4 「スプリンパンチーム(松)」チームさんのブース)

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懇親会の様子↓

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(何の役にも立たずただ見に来ただけの一般参加者にもお酒を飲む権利を与えられた ごちそうさまです)

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嬉しいサプライズも!

最後に粋な演出が……みんな大好き・ねこますさんからのサプライズムービーが届いていたのです!これは嬉しい。来てよかった。会場も一気に盛り上がっていましたね。


最後に

いかがでしたでしょうか。VTuberについてはまだまだ専門知識が足りず、読む方によっては物足りない内容になってしまったかもしれませんが、一方で視聴者の目線でのレポートが書けたかなと思っています(開き直る)。

実はハッカソン自体見学するのは初めてだったんですが、これは頼み込んででも1日目からお邪魔すればよかった……。ハッカソンって終始開発しているイメージだったのですが、全然違いました。綿密な企画・設計あっての開発ですね。ぜひスタートから見届け、勉強させていただきたかったです。

文字通り走りきった開発者の方々は、皆達成感に包まれた表情をしていました。本当にお疲れ様でした。界隈の最先端を覗き見させていただいた感覚で、とてもとてもアツかったです!



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