これだから、この界隈はエキサイティングなのだ。

仕事の帰り道、とあるライブレポートを読んだ。

After the Rainというユニットの富士急ハイランド公演。彼らについて語り始めるとそれこそ何記事分にもなるし、今回の主題ではないので割愛する。半端ないパワーを持ったアーティストなので、この記事を読み終わったらすぐに彼らの音楽を聴きに行ってください…。

冒頭のレポートを読んで、正直心が震えた。愛にあふれていて、1つ1つの描写が丁寧で、でも無駄がない。たくさんたくさん悩んだ文章だ。私もライブレポを書く人間だから、わかる。

ライターは、満島エリオさんという方だ。

このツイートをした後、満島さんのnoteを片っ端から読んだ。中には、読むのが怖いものもあった。そりゃそうだ、近しいことを仕事にしているんだから。彼女の素晴らしい文章を読むことは、同時に自分のなけなしの自信や自尊心を次々と打ち砕いていくことを指す。それでも読みたかったから、読んだ。乾ききった喉に、よく冷えた麦茶を流し込むようにゴクゴク読んだ。

私が行ったあのライブにも、あのライブにも、彼女は足を運んでいた。私が、後でレポを書くつもりでメモをとって、いざパソコンに向かったら怖くて手が震えて書けなかったライブのレポも、彼女はちゃんと書いていた。私がしなかった努力を、アウトプットを、彼女はし続けていた。

そして、この記事を読んだら、もうグッシャグシャに泣いてしまった。

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ちょっと自分語りいいですか。

私は中学・高校の頃、ボカロや歌い手ばかりを聴いていた。高校は趣味の合う子とばかりいたから比較的居心地よかったけど、中学は本当に「オタクキモイ、ボカロキモイ」がマジョリティ。私はあんまり好きなものを好きと言わなくなり、その代わり家に帰ってからはニコニコ動画ばかり見ていた。

大学では置かれている環境が大きく変わったことで、界隈から少し離れてしまっていた。そして就職したのは、始発帰りや会社泊が横行するめちゃめちゃ忙しい職場。身も心もボロボロになった中で、ふと、高校時代を思い返してまたボカロや歌い手を聴くようになった。4年を経た界隈は、大きく様変わりしていた。夜な夜な生放送をしていた彼らが、動画サイトの中だけだと思っていた彼らが、当たり前のようにCDを出して、大きな会場でライブをして。

すごいことが起こりつつある。というか、もう起こっている。そう思った。

一度、生のステージを見に行かなきゃ。そうして足を運んだのが2017年のひきフェスでした。ツイート、まだあった…。

(※界隈を知ってた友人と一緒に行きました)

その後完全に界隈にハマり直して、なんとか休みを作ってあちこちのライブに足を運びつつ仕事を頑張っていたけど、半年ぐらいして、結局体を壊しかけて退職した。急な退職だったから、次の職場なんて探してない。でも、もともと何年か勤めたらフリーライターになりたいとは思っていたから、切り替えは割と早かった。とりあえず名刺を作って、実績もないのにライターを名乗った。

そしてそのとき、いくつかの夢を持ちました。そう、ここに登録してある仕事はぜんぶ、1年半前は夢物語だったんです。

当時、爆発的に界隈の知名度が上がっていく中で、それこそ私が中学生のときに感じていた偏見や窮屈さがまだ残っていたり、表面的な情報ばかりが切り取られてシェアされたりしていた。このままではせっかく世の中に浸透し始めた新しい音楽が、カルチャーが、地に足の着いていない宙ぶらりんなコンテンツになってしまう。実際界隈の活動者が何かで取り上げられると、「なんだか不安」「有名にならないでほしい」という声が上がるのも見ていた。1人のファンとして界隈を追っていた時期があるからこそ、リスクを最小限に抑え、リスナーのみなさんが安心して読める記事が書けるんじゃないか。そこに、確信めいたものがあった。

最初は、孤独だった。手を動かすことでしか「進んでる」と安心できないから、片っ端から提案して、サンプル記事を送って。その中の一部が通って、でもいろんな理由で案件ごとなくなっちゃったりもして。ちょうどその頃今の会社に入ったので、会社員として編集者・ライターもしつつ、ひたすらチャンスを探す日々。

当時はボカロ・歌い手界隈を専門にしてるライターや編集さんの存在を知らなかったし、身の回りに参考にできる人もいなかったから、霧の中をあてもなく進むような道のりで。今仕事をくれている編集さんに出会ってからは、伴走してくれる人がいるっていうだけで本当に幸せだった。

そして何より、経験の浅い自分がほとんど愛だけでなんとか書いたものを、たくさんのリスナーさんが読んでくれて、感想をくれる。ことこの界隈に関してはSNSでの発信が盛んだから、記事が出るごとにたくさんの反応を見られた。嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。絶対に誰の期待も裏切りたくないから、執筆期間中は夜な夜な推敲を繰り返す。

もちろん、まだ叶っていない夢も、やりたいことも、たくさんたくさんあります。思いつく限りの手を尽くしてる。でも、いまだに道筋すら見えない。笑っちゃうくらい見えない。でも諦めたくはない。そんな日々の面白さに気付かせてくれたのも、この界隈です。

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こういうテーマもいつか書きたいと思って、実は何度か手をつけていた。でも書きあげられなかった。「裏方の自分がこういうパーソナルな考えを発信したら、夢が遠のくかもしれない」って怖かった。なのに、さっき満島さんの文章を読んだら、あれやこれやが全部全部どうでも良くなっちゃった。とにかくいろんな感情があふれ出して、書かずにはいられなかったんだ。めっちゃ気持ち悪いのはわかってる。でも、書き手が誰かの文章に惚れるって、そういうことじゃないでしょうか…。

満島さん、あのレポートを書いてくれて、そしてあのレポを書くチャンスを掴んでくれて、そしてそのための努力を続けてくれて、ありがとうございます。「いや、誰?」って感じだと思うけど、私はあなたの、今日なったばかりのファンです。これからも文章楽しみにしています。そして、いつか現場が重なったら、どうか直接挨拶させてください。


(※勢いで乱雑に書いてしまった所があったので、公開後、より誤解を生まない内容に調整しました。読み返して思ったけど、ほぼ私信ですね…)

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