見出し画像

「食旅脳内メモリーズ」函館編


旅が好きで、特に自分の生まれ育った文化とは異なる文化に触れるのが楽しくて、時間や条件が整えば海外へ足を運んだ。

時が経ち、自分がこれまでに行った国々で感じた、味わった文化を日本のここ函館で、自分というフィルターを通したお店という形でアウトプットし始めた。

画像1


観光地である函館にはここ数年確実にグローバルな来訪者が増えていた。

日本全土だけでなく恐らく世界規模で、自由に人や物や情報が飛び交う時代に突入していっていたのだと思う。

画像2


紙媒体の旅情報だけでなく、インターネットを通じて、旅の情報は気軽に受け取れるようになり、航空券の予約なども一昔前は、何度も旅行代理店に足を運んで時間をかけて手に入れる物だったのに、今ではインターネットでポチッと手に入るものになっていた。

画像3


気軽に旅がし易くなった世の中で、世界中の人たちが大都市だけでなく、小さな街を訪れることも珍しくなくなった昨今。


自分のお店に日に日にグローバルなお客様が来店してくれることが増えたことをとても歓迎していたし、どこかで、ここにいながら色々な国の人たちの文化に触れられる機会を得て、旅をしている気分にすらなっていた。

画像4


日常が旅のごとく。長い年月をかけて作られて来ていたそんな目の前の現象は、2020年冬の終わりに突如として現れたウィルスによって、あっという間に崩壊した。


外国からのお客様どころか、日本国内を旅する日本人のお客様もいない。


観光客のいない観光地。

画像5


旅する機会を失った旅人たち。

当たり前のような毎日や日々積み重なられた毎日、それは明日も同じように来るとは限らない特別なものだと気づかされる。

画像6


そして、今考え、足掻き、見つけようとしているもの。


それによって明日はきっと作られる。

画像7


予想通りにいかないけれども、やっぱり今日作って食べたごはんで、明日の自分の体は作られ、明日をその身体で生きる。


グローバルだったこれまでから感じ取ってきたものを胸に、今日からは身近な自分や家族、小さな環から見つめ直す。

画像8


きっときっと、またその環は広がり、いつしかまた新しい形でグローバルな、旅する時間が訪れるはずだから。

(季刊誌@h 2020年夏号掲載予定でしたが未発行)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?