098 健康保険料が引かれる引かれないのポイントは「月末時点」
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098 健康保険料が引かれる引かれないのポイントは「月末時点」

向 雄一@駆け出したい社労士

一般の被保険者の保険料は「労使で折半負担」するのが原則です。

ただし、健康保険組合の場合は、事業主の負担割合を増加させることができます。一方、任意継続被保険者の保険料は「本人が全額負担」となります。

また、一般の被保険者の保険料は、服役中や育児休業期間中、産前産後休業期間中においては、免除される扱いになっています。

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▼ 保険料の負担
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◆ 保険料の負担
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➊ 保険料負担の原則

・ 労使折半(保険料2分の1づつ)
・ 任意継続においては全額被保険者負担

➋ 健康保険組合の特例

健康保険組合は、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額負担の割合を増加させることができます。

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◆ 保険料の免除
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➊ 少年院等に収容等の場合

・ 前月から引き続いて一般の被保険者である者の場合はその月以降
・ 一般の被保険者の資格取得をした月に該当した場合はその翌月以降

👉 少年院その他準ずる施設に収容されたとき
👉 刑事施設、労役場その他準ずる施設に拘禁されたとき

該当しなくなった月の前月までの期間、保険料は徴収されません。

該当しなくなった月から保険料が徴収されます。

➋ 育児休業期間中の場合

育児休業等をしている一般の被保険者が使用される事業所の事業主が、保険者等に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料は徴収されません。

育児休業等により保険料の徴収をおこなわない被保険者を使用する事業主は、当該被保険者が育児休業等終了予定日を変更したとき、又は育児休業終了予定日の前日までに育児休業等を終了したときは、速やかに、厚生労働大臣(機構)又は健康保険組合に届け出なければなりません。

ただし、当該被保険者が育児休業等終了予定日の前日までに保険料免除の適用を受ける産前産後休業を開始したことにより、育児休業等を終了したときは、この限りではありません

育児休業等の対象となる子が3歳に達する日以後の休業について、労使協定で定められている場合であっても、本制度は3歳未満の子を養育するための育児休業等に限って適用するものです。

➌ 産前産後休業期間中の場合

産前産後休業をしている一般の被保険者が使用される事業所の事業主が、保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料は徴収されません

保険料の免除においては、事業主負担分と被保険者負担分の両方が免除されます。また、任意継続被保険者(特例退職被保険者)は、保険料を免除されません。

産前産後休業により保険料の徴収を行わない被保険者を使用する事業主は、産前産後休業期間中の保険料免除の申出に係る届出事項に変更があったとき、又は産前産後休業終了予定日の前日までに産前産後休業を終了したときは、速やかに、厚生労働大臣(機構)又は健康保険組合に届け出なければなりません。

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▼ 保険料の納付
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◆ 保険料の納付義務者
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事業主はその使用する一般の被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負います。一方、任意継続被保険者は、自己の負担する保険料を納付する義務を負います

事業主は被保険者に支払う報酬から控除した被保険者が負担する保険料のいかんにかかわらず、保険料全額の納付義務があります。

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▼ 保険料の控除
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事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができます。

また事業主は被保険者に対し、通貨をもって賞与を支払う場合においても、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができます。

※ 資格取得手当が遅延したことにより、2ヶ月分の標準報酬月額に係る保険料をまとめて納付する場合であっても、その月の報酬から前月の標準報酬月額にかかる保険料しか源泉控除できず、残りの1ヵ月分は別途被保険者から直接徴収しなければなりません。(⇒年末調整するから一緒じゃね?って思うんだが・・・そうらしい)

事業主は被保険者に対して、通貨を持って報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができます。

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◆ 保険料の納付期日
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➊ 納付期日

一般の被保険者に関する毎月の保険料は、事業主が翌月末日までに納付しなければなりません。

一方、任意継続被保険者に関する保険料は、本人が、その月の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までに納付しなければなりません。

※ 一般の被保険者の保険料は納入告知書で納付し、任意継続被保険者の保険料は納付書で納付する。

➋ 保険料の繰上充当

保険者等は、次の場合には、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その告知又は納付の日の翌日から6ヵ月以内の期日に納付すべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができます。

① 被保険者に関する保険料の納入の告知をした後に告知をした保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき。

② 納付した被保険者に関する保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき

※ 保険者等は、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、その旨を当該納付義務者に通知しなければならないとされています。

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◆ 任意継続被保険者の保険料の前納
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➊ 保険料の前納制度

任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができます。

また前納する保険料の額からは、年4分の利率による利息相当額が控除(割引)されます。

➋ 保険料の前納期間

保険料の前納は、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの6カ月間又は4月から翌年3月までの12ヵ月間を単位として行うものとさています。

ただし、当該6ヵ月又は12ヵ月の間において、任意継続被保険者の資格を取得した者又はその資格を喪失することが明らかである者については、当該6ヶ月間又は12ヶ月間のうち、その資格を取得した日の属する月の翌月以降の期間又はその資格を喪失する日の属する月の前月までの期間の保険料について前納を行うことができます。

<例示>
5月に任意継続被保険者の資格を取得した場合であれば、6月から9月までの期間又は6月から翌年3月までの期間について前納することができます。また、資格喪失時期が明らかな場合には、6月から喪失月の前月までの期間について前納することもできます

➌ 前納保険料の納付時期

前納された保険料については、前納に係る期間の各月の初日が到来したときに、それぞれの月の保険料が納付されたものとみなされます。

保険料を前納しようとする者は、前納しようとする額を当該前納に係る期間の初月の前月末日までに払い込まなければなりません。

※ 前納された保険料は、前納に係る期間の「各月が経過した際」にそれぞれの月の保険料が納付されたものとみなされるのではありません。

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◆ 口座振替による納付
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厚生労働大臣は、納付義務者から、預金又は貯金払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があっつた場合においては、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができます。

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▼ 調整保険料
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◆ 健康保険組合間の財政調整
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組合管掌健康保険の医療に関する給付などに要する費用の財源の不均衡を調整するため、健康保険組合連合会は、会員である健康保険組合に対する交付金の交付の事業を行っています。

※ 医療に関する給付、保険事業及び福祉事業の実施又は健康保険組合に係る前期高齢者納付金等、後期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等、日雇拠出金若しくは介護納付金の納付を「医療に関する給付など」にあたります。

健康保険組合は、当該交付事業に要する費用に充てるため、健康保険組合連合会に対し、拠出金は拠出するものとされ、当該拠出金の拠出に要する費用に充てるために、調整保険料を徴収しています。

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◆ 調整保険料の額
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調整保険料額は、各月につき、各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ調整保険料率を乗じて得た額となります。また、調整保険料率は、交付金の交付に要する費用並びに健康保険組合の組合員である被保険者の数及び標準報酬を基礎として、政令で定められています。

※ 調整保険料率は、基本調整保険料率修正率を乗じて算出されます。基本調整保険料率は、交付金総額に見込額を全組合の標準報酬月額の総額の及び標準賞与額の合算額の見込額で除して得た率として厚生労働大臣が定めます。また、修正率は、各組合の見込所要保険料率の全組合の平均の見込所要保険料率に対する比率を基準として、健康保険組合連合会が定める。

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▼ 滞納に対する措置等
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健康保険法では、「強制執行」を受けるなど、納付義務者が保険料の納付に関して危機的な状況にある場合には、「納期前」であってもすべての保険料を徴収することがでい、これを「繰上徴収」といいます。

また保険料等の滞納があった場合は、「徴収法」の場合と同様に、「督促」「延滞金徴収」並びに「滞納処分」の対象となります。

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◆ 保険料の繰上徴収
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保険料は次の場合には、納期前であってもすべて徴収することができます。

① 納付義務者が次のいずれかに該当する場合
 ⅰ)国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき
 ⅱ)強制執行を受けるとき
 ⅲ)破産手続開始の決定を受けたとき
 ⅳ)企業担保権の実行手続の開始があったとき
 ⅴ)競売の開始があったとき

② 法人である納付義務者が解散した場合

③ 被保険者(日雇特例被保険者を含む)の使用される事業所が、廃止された場合

※ 単に滞納によって督促を受けたことのみでは繰上徴収することはできません

※ 適用事業所が任意適用事業所の適用取消しにより適用事業所でなくなった場合に繰上徴収できるわけではない。

※ 繰上徴収を行う場合であっても納入の告知はしなければなりません。

※「事業所が廃止された場合」には、工場又は事業場の譲渡等により、事業主に変更があった場合も含まれます。

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◆ 督促
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保険料その他健康保険法に規定する徴収金(以下「保険料等」)を滞納する者(以下「滞納者」)があるときは、保険者等は保険料を繰上徴収する場合を除き、期限を指定して督促しなければなりません。

督促をしようとするときは、保険者等は納付義務者に対して督促状を発しますが、督促状により指定する期限は、保険料の繰上徴収事由に該当する場合を除き、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければなりません。

※ 繰上徴収事由に該当している場合であっても、すでに納期を過ぎた分の保険料については、督促しなければなりません

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◆ 延滞金の徴収
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➊ 延滞金の額

督促したときは、保険者等は、原則として徴収金額(1,000円未満の端数は切捨てます)に、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差し押さえの日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該督促が保険料に係るものであるときは、納期限の翌日から3月を経過する日までの期間については、年7.3%の割合を乗じて計算した延滞金(100円未満の端数は切捨て)を徴収します。

なお、当分の間、核燃の延滞税特例基準割合が年7.3%の割合に満たない場合には、その年中においては、年14.6%の割合については当該延滞税特例基準割合に年7.3%の割合を加算した割合とし、年7.3%の割合については当該延滞税特例基準割合に年1%の割合を加算した割合(当該加算した割合が7.3%の割合を超える場合には年7.3%の割合)とすることとされています。

➋ 延滞金が徴収されない場合

督促したときであっても、次の場合には延滞金は徴収されません。

① 督促に指定した期限までに徴収金を完納したとき
② 徴収金額が1,000円未満であるとき
③ 計算した延滞金が100円未満であるとき
④ 納期を繰り上げて徴収するとき
⑤ 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がいずれも明らかでないため、公示送達の方法によって督促をしたとき
⑥ 滞納についてやむを得ない事情があると認められるとき

※ 徴収金の徴収について、保険料等は健康保険法の別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収します。

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◆ 滞納処分
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➊ 滞納処分

保険者等は次のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができます。

① 督促を受けた者が、その指定の期限までに保険料等を納付しないとき
② 保険料の繰上徴収による保険料納入の告知を受けた者が、その指定の期限までに保険料を納付しないとき

市町村は、当該処分の請求を受けたときは、市町村の例によってこれを処分することができますが、この場合においては、保険者は、徴収金の100分4相当する額を当該市町村に交付しなければなりません。

➋ 国税滞納処分の例による処分に係る認可等

滞納処分に関する厚生労働大臣の権限に係る事務機構に委任されていますが、機構が国税滞納処分の例による処分を行う場合には、あらかじめ厚生労働大臣の認可を受けるとともに、機構が定め厚生労働大臣に認可を受けた滞納処分実施規定に従い、厚生労働大臣の認可を受けて機構の理事長が任命した徴収職員に行わせなければなりません。

また、厚生労働大臣は、機構からの求めがあったときはなどには、自ら滞納処分を行うことができるほか、滞納者が悪質な場合には、当該権限を財務大臣を通じて国税大臣を通じて国税庁長官に委任することができます

なお、協会健康保険組合国税滞納処分の例により処分を行う場合においても、厚生労働大臣の認可を受ける必要があります。

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向 雄一@駆け出したい社労士
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