『ネット・ダイバー』
「先輩、ターゲットを発見したそうです」
「分かった。URLを送ってもらえ……」
(htttttps://net.mu//new//world)
「先輩これって……」
「……深いな。第五階層だ。ヤバくなったら強制終了するからな」
「りょ…了解」
//Enter//
「ここは……」
「依頼人の家だ。田中、建物には触るなよ!」
「いた⁉︎ 先輩ターゲットを発見。え⁉︎」
「どうした、田中?」
「3人います。ターゲットの妻と子供が……」
「彼らの子供は半年前に事故で死んでいる」
「これって……」
「ネットワールドが作り出したAIだな。ターゲットの脳内にある記憶から、家や家族の記憶を取り出して構築された疑似空間だ」
「先輩、ターゲットを出す方法は?」
「ない」
「そんなのダメです!」
ドン‼
「バカ、建物に触れるな!」
「渡辺さん、聞こえますか? 私は公安局電脳課の者です!」
「くそ! 空間が崩れてきた! 諦めろターゲットはもう救えない!」
「渡辺さん、現実世界で奥さんが待っています! 戻るんです……リアルに‼︎」
「ターゲットがこっちを……」
「まだ、自我がある! 渡辺さん、こっちへ‼︎」
「ダメだ、もう限界だ!」
「待ってください、先輩! 彼はまだ生きてる! まだ間に合う! 渡辺さん早くガラス扉を開けてこっちに! 早くッ‼︎」
(あ・り・が・と・う)
「限界だ、戻るぞ‼︎」
//強制終了//
「大丈夫か?」
「先輩……すみませんでした。勝手な行動を」
「無事に戻れたんだ。気にするな!」
「最後、ターゲットが『ありがとう』って……」
バシ⁉
「痛った⁉︎ 何するんですか先輩!」
「考えすぎなんだよお前は! 俺が最初に教えたことは?」
「『広く・浅く・潜れ』です」
「忘れてなきゃそれでいい。次の仕事だ、いけるか?」
「はい」
「次のターゲットは子供だ。第一階層内にあるショッピングモールで姿を消したらしい。まずは、聞き込みからだな」
「了解」
//Enter//
【続く】
読んでいただいてありがとうございます。面白い作品を作ってお返ししていきたいと考えています。それまで応援していただけると嬉しいです。