幸福度が仕事に与える影響とは?
私たちは日々、仕事を通して様々な経験や感情に触れていますが、「幸福度」と仕事の関係に注目すると、非常に興味深い事実が浮かび上がります。幸福度が高い従業員はそうでない人に比べて、営業成績が37%高く、会社全体の生産性を31%も向上させるというデータがあります。なぜこのような違いが生まれるのか、具体的な例とともに見ていきましょう。
幸福度が高い従業員が持つ力とは?
幸福度が高い従業員にはいくつかの共通した特徴があります。まず、彼らは人間関係が良好で、職場に信頼と協力の文化を築いています。これは私たちが掲げている「“幸せ力”を構成する8つの要素」の中の「思いやり力」や「対人感謝力」に関係しています。たとえば、ある営業チームで幸福度向上プログラムを実施したところ、メンバー同士の会話が活発化し、業務の中で助け合う場面が増えました。その結果、個々の営業目標が達成されやすくなり、チーム全体の成績も向上したのです。
こうした幸福度向上の背景には、心理学の「拡張・形成理論」があります。幸福感は脳の「A10神経」を活性化し、創造力を高めたり新しいアイデアを生み出す力を育むとされています。職場で幸福度が高い従業員が、プロジェクトで新しい方法を提案したり、困難な問題に対して積極的に解決策を出すのは、この脳の働きが影響しているのかもしれません。
幸福度の高い企業文化がもたらすもの
幸福度が高い従業員を持つ組織では、自然と企業文化も変わってきます。従業員の幸福度の高い企業のことを、私たちは「幸せ循環企業」と呼んでいます。従業員の幸福度の向上を起点に、ロイヤルティと生産性の向上、顧客満足度の向上、ひいては業績の拡大にまでつながっていきます。たとえば、アメリカの大手ホテルチェーンでは「幸せな従業員が顧客を幸せにする」という信念をもとに、従業員の幸福度向上に取り組んでいます。実際に、従業員が満足している職場では、顧客との対話が自然と増え、リピーター率も向上したといいます。
日本でも同様の効果が見られ、幸福度向上に取り組んだ企業では、従業員のモチベーションが60%以上向上しただけでなく、新しいアイデアが出やすくなるといった創造的な成果も生まれています。特に優秀な人材を引きつけ、離職率が低下することは企業にとっても大きなメリットです。
幸福度向上が企業全体にもたらす未来
幸福度の向上は、単に従業員個人の満足度を高めるだけではありません。個人の幸福度が高まることで、従業員一人ひとりの生産性が向上し、最終的には企業全体の利益にも直結します。「幸せはなるものではなく感じ取るもの」という考え方に基づき、幸せを自分から意識的に見つけられるようになることが、企業文化として浸透すれば、ますます強い組織が生まれるでしょう。
幸福度向上の取り組みはまだ新しい分野ではありますが、社員が「幸せに働ける」環境を整えることは、今後の企業の成功において重要なカギとなるでしょう。