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電子マネー界のレジェンドは『火の鳥』の如くカンボジアで復活を遂げる

カンボジアは中銀デジタル通貨(CBDC)の導入で世界をリードする。新通貨『バコン』を実現させた立役者は、電子マネー界の伝説的人物だった。火の鳥のように復活を遂げた日本人技術者の姿を記事に見た。


電子マネーの歴史は宮沢さんの歴史

日本における電子マネーの歴史は、宮沢和正さんの歩んできた歴史とほぼ一致する。そんな宮沢さんはいま、ブロックチェーン企業の代表としてカンボジアの新通貨導入を支援している。

宮沢さんのインタビュー記事からは、ただならぬ熱意が伝わってくる。

ブロックチェーン(分散型台帳)技術を持つソラミツに入社した17年にカンボジア中央銀行から「デジタル通貨導入のため協力してほしい」というメッセージが届いた。半信半疑ながら1週間後に首都プノンペンを訪れた。


なぜカンボジアなのか

なぜカンボジアなのかと、意外に思われることもあろう。だが、リブラのようなグローバル・ステーブル・コインが登場すると、通貨の信認が中程度以下の国では、通貨の独立を保つことが難しくなる。

リブラ構想が実現しなくとも、同じようなグローバル・ステーブル・コインがいつ登場するかもわからない。パンドラの匣は開かれたのである。

そんな変化に対応する様子が、世界から伝わってくる。

日銀や欧州中央銀行(ECB)がデジタル通貨の共同研究に乗り出す中、新興国の中央銀行が相次ぎデジタル通貨の発行に動き出している。カンボジアでは実用段階に入ったほか、カリブ諸国などでも計画が進む。


銀行に口座がない

新興国においては、銀行に口座を持たないアンバンクドと呼ばれる人々がまだ多数残されている。だが、こうした人たちもスマートフォンは一人一台以上の割合で保有している。

遅れてきたプレーヤーが、先を行くプレーヤーを三段跳びで超えていく。そんな変化が目の前で起きようとしている。

新興国でスマートフォンを使った金融サービスが急速に広がっている。スマホが財布の代わりになり、送金や投資もアプリひとつで完結する。(中略)銀行は世界で日常のお金のやり取りを支え、経済成長のけん引役にもなってきたが、その銀行に「さらば」を告げ、一生かかわらない人が増えて...


「日本発」に着目した背景

宮沢さんのインタビュー記事にもあるように、カンボジアの中央銀行は早い時期からデジタル通貨の発行を計画していて、日本の技術に着目していた。その事実は比較的に早い時期から公表されていて、記事にもなっていた。

こうした記事は、検討をはじめたことを伝えたきり、続報が届かないことも多いが、カンボジア中銀のバコンが、年月をかけて完成にまで至ったことは喜ばしい。

カンボジアの中央銀行は仮想通貨技術「ブロックチェーン」を使った新しい決済手段を開発する。(中略)海外の中銀が日本企業のブロックチェーン技術を採用するのは初めてとみられる。


なぜブロックチェーンなのか

ところで、中央銀行がデジタル通貨を発行することの是非もさることながら、なぜブロックチェーンという新技術を使う必要があるのかを疑問に感じ方も多いだろう。

発注元であるカンボジアの中央銀行の真意は図りかねるが、合理的な理由を推し量ることはできる。筆者は、近著『リブラ―可能性・脅威・信認』を執筆していた際に、幸運にも宮沢さんのお話を伺う機会を得た。

そこでお聞きしたのは、なぜブロックチェーンを使うことがカンボジアの要求に見合うのか、それがカンボジアの『通貨の信認』を対外的に守るためにどのように役立つのかを語る宮沢さんの熱意であった。

その様子を記したメモがこちらである。

メモの最後では、電子マネー時代の活躍を語った宮沢さんのご著書『かくして電子マネー革命はソニーから楽天に引き継がれた』の感想を6回にわたって記した連載メモをご紹介している。下記にリンクを再掲する。

電子マネーの創世記からデジタル通貨の新時代までの歴史を辿る道しるべとなる、第一級の資料である。異世界に転生する電子マネー業界の『火の鳥』といっても過言ではなかろう。

願わくば、バコンの登場までの歴史についても、前作に続く『ブロックチェーン編』として著してくださることを、読者の一人として待ちわびている。

Photo by H.Okada


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決定版ビットコイン&ブロックチェーン(東洋経済新報社) https://www.amazon.co.jp/dp/B07B9WJBJR/