みんな言ってる、『みんな』って誰だ

前の会社で契約社員として働き出して3ヶ月ほど経ったある日、たまたまと女性の先輩(Aさん)と会議室で二人になった。Aさんは私に言った。
「ハルさんさ、B君への態度が良くないよ、みんなそう言ってるから気をつけたほうがいい」


当時私は22歳、若かった。
Bさんは若い女子に甘い30代前半の男性で、甘やかされた私がAさんの目についたらしい。

18歳の時に初めて就職した会社で、Aさんと同年代の女性上司と合わず嫌な思いをして辞めた私はすごく焦った。当時一番仲良くしてくれていた先輩に相談してみたが、その先輩も転職してきたばかりでAさんのことをどうすることもできない。まだ社歴が浅いので他の先輩たちとはあまり親しくない。


Aさんに長文の謝罪メールを送り、Bさん本人にも無礼な態度を取ったことを謝りに行った。

Bさんは少し驚いて、「そんなこと言われたの?俺気にしてないけど」と言っていた。

Aさんは確かメールの返事をくれたはずなのだが、なんて書いてあったか忘れた。今思えばAさんに謝る必要があったのだろうか。


私はAさんの『みんな』に怯えていた。私、あの界隈のお姉さんたちに嫌われちゃったのかな。この職場でこれからやっていけるのかな。また社内ニートになっちゃうのかな。(初めの会社では、あなたのことが信用できないから任せられる仕事がないと言われていたのだが今回この話は割愛)

その後私が職場に馴染み、仕事をそれなりにこなして正社員になるとAさんは何も言ってこなくなった。むしろ仲良くしてくれたと思う。

そして気付く。あの時言っていた「みんな」は存在していないということを。

例えばAさんが「あの子調子乗ってるよね」と言ったとして、それを聞いた他の人が一人でも「そうだね」と言ったら『みんな』だ。
「そうだね」が、心からの同意だろうが適当に話を合わせた相槌だろうが彼女にとっては「みんな」だ。


「みんな言ってるよ」タイプの人間と上手に付き合うには本気で取り合わないことが一番なんだろうと思う。ただ新しい環境では、その人の立ち位置が分からない。もしみんな言ってるよタイプの人がかなり力を持っていて、後から人間関係が拗れたら面倒だ。仕事なんだからと割り切ってほぼ付き合いをしない同僚もいたが、私はやはり1日の中で一番長く一緒に過ごす同僚とは仲良くしたい。揉めずに平和に過ごしたい。


当人同士が問題なくても周りが不快に思うことがある。このとき学んだことだが、いったいどれだけ周りの目を気にしなければならないのだろう。人付き合いは苦手だ。


ちなみに私は別に調子に乗っていたわけではなく、からかい口調で話しかけてくるBさんに対してノリを合わせていたのだが、その馴れ馴れしさがお姉様は気に入らなかったようだ。Aさんは私の後に入った後輩たちにも思うところがあったようだが、私は「本人同士が良ければいいんじゃないですか」で貫き倒した。


年齢は平等なんだから若いうちは大いに甘やかされれば良い!私も甘やかしてあげよう!

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