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そもそも 1on1 はなぜやるの? 『ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法』

1 on 1 について向き合うお年頃になってくると、最初に手に取るのがこちらでしょう。

読んで参考になったかな、という感情・体験を「書評を書く」という行為を通じて、深化させていこう。

本書を手にとった背景

1 on 1 について、受ける側を4年間ぐらい続けているわけですが、それぞれ様々な雰囲気がありました。

成長の差分を言語化して確認する時間にしてもらうような時間、現在の進捗状況を確認するような時間、これからの組織とかをどうしていくかといった未来の打ち手を考える時間、評価を一方的に受けるようなつらい30分(これは現職ではない)。

なにやらいろいろな目的観があるのだけど、なんで 1 on 1 なんだっけ?を立ち返りたくなった。身近で Engineering Manager と呼ばれる人は 1 on 1をやっているようだけど、なんで仕事のリズムにその子が紐づくのだっけ?

ヤフーの 1 on 1 の目的

1 on 1 の目的は一般的にいくつかあるようですが、ヤフーさんの中では、「社員の経験学習を促進するため」であることを中心に添えてらっしゃる。くわえて、ヤフーさんの人材育成の基本方針である「社員の才能と情熱を解き放つ」ための手段の一つとされている。

この経験学習とは、デービット・コルブの「経験学習モデル」を背景理論としている。

人は実際の経験を通し、それを省察することでより深く学べるという考え方を、人材育成の領域では「経験学習」と呼びます。

経験→省察→概念化→実践のループを回していくというこの概念は、学習にたいしてなんらか言語化を図ろうとした際によく引き合いに出される理論。

また、個人の暗黙知から組織の共有知へと変換していくプロセスを、SECIモデルなんていったりします。

「共同化」(Socialization)→「表出化」(Externalization)→「連結化」(Combination)→「内面化」(Internalization)

また、この 1 on 1 の捉え方は、スクラム開発のリズムの中で行われるレトロスペクティブ(回顧)の目的観にも通ずるものが有ると感じた。みんな思うことは同じかな?とおもったので調べると、同じようなことを感じた方のブログエントリーがありました。

4つの要素

1 on 1 には4つの要素があるとしていた。現状把握・コーチング・ティーチング・フィードバック。過去、自分が行われた 1 on 1 を振り返ると、現状把握だけにとどまるものもあれば、すべての要素にあまねく必要十分にアクセスされていたと感じるものもあれば、フィードバック面談のようなものもあった。

どれが正解というわけではないが、適切に手札として出せないといけないのだろう。

今起こっている上司の考える課題をとうとうと聞くみたいな時間もあった気がする。自分が話してる時間が30分中の5分くらいみたいな感覚になると、「まぁえっかな...」ってなんか言いたいことあった気がするけど、また押し入れに戻す、みたいな時間になると、微妙なので自分が主催するとしたら気をつけたい。

「今日は何を話そうか」

「今日は何を話そうか」と極力相手にテーマを決めてもらって、テーマがなければこちらからテーマだしするようなことを推奨している。あくまで上司-部下であれば、部下の時間である、という意識付けだろう。

役割の違いくらいに感じるので「上司」-「部下」という言葉はあまり好きではないが、「部下」側の人間として、「今日は何を話そうか」と言われたときに「なにもないかなぁ」ってなることが有る(というかだいたいなっている)。

でも、思えば、1 on 1がうまいなぁと思っているEMの方とかだと、「こういうことがあった、経験をしたからその話を特に理由はないけどしたい」みたいな入りになったりする。

「なんでこういう気持ちになれたのかな?」って考えると、その場でしゃべるとしっかり傾聴して聞いてくれて、話していると自然と次はこうしようってアクションにつながったり次の言語化になりそう、な時間に自然となっていた。

「いい 1 on 1 は自分ひとりで考えるような錯覚になる」っていう表現が本書であったけど、いい表現だなぁ。

コーチングの定義を本書の対談の中で、「相手本位の立場で、相手がどのようなものを目指すのかを、折に触れて思い出させたり、振り返らせたり、新たなアクションプランを作ったりするお手伝いをすること」としていた。それが実現できている感覚というのはそういうことなんだろうな。

1 on 1 の姿勢 アクティブリスニング・レコグニション

1 on 1 の姿勢として、アクティブリスニングとレコグニションという2つがあるようだ。

アクティブリスニングは、いわば積極的傾聴と訳されるもの。実際の行動としては、頷き・相槌・相手のキーワードの繰り返し、等が挙げられる。恋愛のテクニックみたいなラインナップ。

アクティブリスニングは、相手の話を受動的に聞き流すのではなく、会話のなかから事実や話者の感情を主体的に把握することで話の本質を明確にしていきます。

レコグニションは、文字通りの解釈では「相手が存在することを認める」というもの。一般的なウェブサイトを見ると人事制度として表彰したり評価・承認したり、みたいなものが多かったが、本書が紹介しているのはちょっと違う。

カウンセリングの世界では、無条件の肯定的配慮という概念で、クライアントの考え・感情のすべてを受け入れることで、学びの深まりを促す基本的な態度。

これら2つを信頼関係を構築するための手段として紹介されている。

フィードバック

フィードバックは苦手だが、そもそもフィードバックをするということは、なんらか「当人が行なっている仕事」と「高い評価を受ける」という間に架け橋ができていない状態なのだろう。

あるいは、さらにレベルアップした役割を組織貢献上求めたい、といった場合に、そこの役割に目を向けるように仕向けるという話か。

目をむいていたとしたらアシスト・後押しをどうするか、という話なのであとは前向きな話し合いだけれども、そうではない場合は難しい仕事。

本書に登場する 東京大学大学総合教育研究センター准教授 中原 淳さんの次の書籍が、とてもベストな参考書らしい。

しゅっと電子版を買って目を通したが、Managementの定義を、Getting things done through others と定義する解説とかが、そもそもManagerって何者なんだ己は?と言語化に至れていない自分には良い書籍な気配が有るので、併せて読んでみよう。

おわりに

これまでの 1 on 1 クライアントの経験から照らし合わせながら本書を読んだが、 1 on 1 サーバーの役割をもしするのであれば、「なぜこの時間を行うのか」についてこちらの意図・目的を、相手のためになる形を探りながら定義して、やっていければよいのだろう。

と言語化が進んだ書籍だった。

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