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レッドブル

1988年、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のアメリカ映画です。
共演は、ジェームズ・ベルーシ、ローレンス・フィッシュバーン、
ジーナ・ガーション。
監督は、アクション映画の名手、ウォルター・ヒル。
音楽は、ジェームズ・ホーナー。



ソビエト連邦という国は、
1922年から1991年に世界最初の社会主義国家として存在し、
そして、その存在感は確固たるものとしてありました。

映画の中でのソビエト連邦というものは、
独裁国家ではないだけの北朝鮮というイメージで、
閉鎖的な軍事大国というものでした。
とくに、1980年代のアメリカ映画などでは、「トップガン」を筆頭に、
ソビエト連邦は、無条件に悪の枢軸の大国でした。

「レッドブル」は、そんな冷戦真っ只中に製作された映画です。


イワン・ダンコ大尉は、ソビエト連邦から、アメリカ、
シカゴの刑務所にいる犯罪者の身柄引き取りのためにやって来くる。
彼を出迎えたのは、シカゴ市警のリジック刑事、
規則をものともせず強引な捜査をし、その罰として、
今回のソビエト連邦警察のエスコートを命令されていた。

無口でなにも喋らない静かで無表情なイワン・ダンコ大尉を、
雪と氷と熊のソビエト連邦のイメージそのままに、
アーノルド・シュワルツェネッガーが演じます。
テレビを観て、たまに口を開いた言葉が「資本主義者どもめ」です。

シカゴ市警察の署長が趣味の熱帯魚と音楽を自慢し、
「大尉、これは好奇心から聞くのだが、警察の仕事は世界中どこも同じだ、
 ソ連では仕事上のストレスをどうやって解消しているのかね?」と聞く。
イワン・ダンコ大尉は、「ウォッカだ」と答える。

わかりやすいくらいお調子者で、好き勝手で、明るく皮肉屋の
アメリカ人刑事、リジック刑事を、ジェームズ・ベルーシが演じる。

「ПИПИПИПИПИПИПИ──」
「なんだそれは?」
「時計だ、モスクワ時間のままだった」
「肉の配給時間か?」
「インコに餌をやる時間だ」
「ロシアにもインコなんているのかよ、・・・あ、いるみたいだな」
「インコを飼って悪いか」
「いやー、誰も悪いなんて言やしねえだろ俺の妹もインコを飼ってた、
 飼うのは自由さ、好きにしろよ」
「インコは女の趣味だというのか?」
「誰がそんなこと言った、そんなこと言ってねえよ、
 男でも女でも関係ねえよ、いい趣味だよ」
「ありがとう」
「いーえ」

無口な人、楽しい人という取り合わせは、非常に映画に相性がよく、
“ 普通の刑事 ”を体格上演じることのできないA・シュワルツェネッガーが、
無口で、冷徹なソビエト連邦警察官を演じることにより、
“ 普通のソビエト連邦警察官 ”を見事に演じています。

「おい!、気をつけて運転しろ!、
 始末書書きで余生を送りたかーねーからな!」
「車の運転には自信がある」
「えーえー、そーだろーとも、
 おおかたそいつもキエフの学校で習ったんだろ!?、
 ついでに事故の処置と保険の交渉も習ったか!?」
「社会主義国家では保健なんてものは必要ない、国がすべて払ってくれる」

映画のラスト・シーン、ようやく世間話ができるようになった、
イワン・ダンコ刑事とリジック刑事、
最後にイワン・ダンコ大尉が笑うシーンは、
なんの特別な演技や演出もしていないにもかかわらず、いい笑顔です。

物語

モスクワ警察特捜部の中でも、頑強な体力と冷静に徹底した捜査を行なう、イワン・ダンコ(アーノルド・シュワルツェネッガー)大尉。ある雪の日、ダンコ大尉は仲間と共に、米ソにまたがる麻薬密売ルートの大ボス、グルジア人のヴィクトル・ロッサ(エド・オーロス)を追いつめていた。

「世の中悪くなるばかりだな、10年前は麻薬なんて遠い国のことだった」

だが一瞬の隙にヴィクトルはダンコ大尉の相棒を殺して逃亡する。半年後、ヴィクトルがシカゴの刑務所にいるとの情報が入り、身柄引き取りのため、
ダンコはひとりで西側諸国最大の犯罪都市アメリカ、シカゴへと向かった。

「ヴィクトルを連れ戻し、ユーリを殺した償いをさせろ、
 さもないと西側諸国の垂れ流す梅毒から我が国の若者を守れない」
「お任せください同志」

ダンコを迎えたのは、面倒な規則などものともしない、シカゴ市警のはみだし刑事アート・リジック(ジェームズ・ベルーシ)。ダンコがヴィクトルを連れ、早々とモスクワに帰ろうとしたその時、ガードマンに変装した一団に急襲され、ヴィクトルは所持品の鍵を1つを残してあっという間に連れ去られてしまった。失敗をおかしたダンコは、モスクワからの帰国命令を無視し、ヴィクトルを再び捕えるまでシカゴに残ることを決意した。リジックは上司から煙たがられるダンコの世話をまかされる。

「てめえでヴィクトルを見つけるそうだ」
「そいつはいい、大尉から目を離すな、
 これは命令だ、あとの指示は署長と相談する」
「なんで、俺がこんなののお守りを!」
「お前にお似合いだからだ!」
「わたしと来るのか?、え?」
「今の聞いたろ!、命令だとよ!」

初めは絶えず衝突する2人だったが、いつしか友情らしきものが芽生えた。

「そんな目で見るな、
 お前に銃を渡したらここぞとばかりに署長に飛びつかれる、
 あきらめなよ、──早く車に乗れ、送ってやるよ」
「ソ連の社会にも署長のような奴がたくさんいる、だからよくわかるよ、
 KGBそっくりだ」
「・・わかったよチキショー、おたくには借りがある、今夜命を救われた、
 ──持ってけ、ダンコ大尉、おたくが今手にしているのは世界一の銃だ」
「ソ連製の9.2オートマが世界一強力なピストルだ」
「ばか言え、世界一強力なのは44マグナムと決まってるんだ、
 ダーティハリーも使ってるんだ」
「ダーティハリー?、だれだそいつ」

やがて、金のために請われてヴィクトルと結婚したというキャット(ジーナ・ガーション)の協力もあって、ヴィクトルと犯罪シンジケートの関係が明らかになってきた。だがダンコが持っていた鍵は、ダンコの部屋を襲ったシンジケート一味との銃撃戦の隙にヴィクトルに奪われてしまう。さらにヴィクトルは、シンジケートも裏切り、麻薬と金を一人占めにした。

ダンコとリジックは鍵の形状からバスのコインロッカーと判断し、バスターミナルでヴィクトルを追いつめた。ヴィクトルはモントリオール行きのバスを奪って逃げ、ダンコとリジックもバスで追った。2台のバスは向き合い、お互いに正面激突に向かって走り出す。バスとバスとのチキンレース。2台のバスは、正面から衝突する。が、ダンコの握るハンドルをリジックが切って、ダンコのバスは横転。ヴィクトルのバスは列車に激突し、炎上した。そこから抜け出したヴィクトルに向けて、リジックから借りたダンコのマグナム44が火を吹いた。

空港。テレビでは大リーグ中継が放送されている。

「ソビエトも今野球が流行っている」
「ほんとかよ?、対戦できりゃほんとうのワールドシリーズだな!」
「その時は負けない」
「へへ、」
「リジック、我々は政治家とは違う、友情があってもいいはずだ」

ようやくヴィクトルを倒したダンコは、今や真の友となったリジックに見送られて、モクスワへの帰途についた。



おもしろい映画です。




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■ダーティハリー


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普段は会社員をしています。映画のコラムみたいなもの、素人小説などを書いてみます。

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