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想田和弘監督作品「選挙」


2006年の日本映画。
監督、撮影、編集は、想田和弘。
出演は、山内和彦。
その他の出演に、元自民党幹事長、石原伸晃。
元外務大臣、川口順子。元オリンピック選手、現内閣府特命担当大臣、
橋本聖子、オリンピックゴールドメダリスト、元参議院議員、萩原健司、
そして、元内閣総理大臣、元自民党総裁、小泉純一郎。

「選挙」は、2005年10月7日から2週間の間に撮影された物語。
主人公“ 山さん ”こと山内和彦氏と監督、想田和弘は、大学の級友。
2005年10月、監督、想田和弘は、別の題材を撮影するために
準備をしていたが、突然に山さんの立候補を 偶然知ることに。
急遽、山さんと自民党から撮影許可を得て、「選挙」の 撮影を開始。
当然、資金集めの暇もないままに撮影に入ったので、
制作費はすべて監督、想田和弘が自己負担することになった。


“ 山さん ”山内和彦は、気象大学校、信州大を中退して東京大学入学。
東京大学入学時の最初のクラスでのクラスメートが想田和弘。
山内和彦は、卒業後は切手コイン商を営むという一風変わった経歴。
自由奔放な性格で、鉄道と旅と猫が大好き。
座右の銘は「明日は明日の風が吹く」「他力本願」
「たいていの無理は何とかなる」「根拠はないけど大丈夫」。
子供の頃からの趣味だった切手・コイン収集を生業とし、
暇を見つけては世界中を鉄道旅行。
各地の切手や貨幣を買い集めるという気ままな人生を送っていた。


そんな山さんに転機が訪れたのは、2005年の夏。自民党から突然、
「川崎市議会選挙の候補者公募に応募しないか」との誘いを受けた。
その場で決断を迫られた山さんは、「じゃあ応募します」と思わず返事。
山さんは、小泉首相の大ファンだったのだ。
その後の選考過程を無事通過した山さんは、ほとんど成り行きで、
自民党の公認候補として市議会に立候補することになってしまった。
ところが、多額の選挙費用はほとんどが自腹。山さんにとって、
落選すれば借金だけが残る大バクチとなってしまった。
しかも自民党は、日本型組織の代名詞のような大政党。
スーツを一着も持っていなかった自由人の山さんは、伝統としきたりと
上下関係を重んじる党の関係者から、
「何をやっても怒られ、何をやらなくても怒られ」てばかり。
「選挙」は、山さんの、一世一代の奮闘記でもあるのだった。


自分ひとりの力ではなにひとつできない。
他人の良心が鬱陶しい。
人間関係に疲れる。
本心では当てにしてないくせに注文だけは一人前。

それを笑い、こらえ、また傷つく年頃でもない主人公、山内和彦。
そして可笑しいのが、ただひとつの弱点が家内、山内の妻。


映画は、フランク・キャプラの作品群を紙芝居に貶めるほどのリアリズム。
政治とは、ただのほんの些細な椅子取りゲームに過ぎなく、
人間、皆、持ちつ持たれつ生きてあり、
「こちらが利用させてもらうが、向こうにもメリットはある」

そして物語は、
山内和彦のお人よしぶりと、
いい人に見えて実は短絡な野心家ぶりも描かれます。

一癖もふた癖もある支援者たち、
「今回は、17対17、自民党対野党の対決、
 その最後の過半数“ 18番目の席 ”を獲るために応援するが、
 次回は味方しないからね」
「昔から、ずっと自民党、おじいさんの代から、
 次の選挙では、同じ選挙区の石田先生を応援するから来ないわよ」

バラエティ番組では、当時安っぽいタレントだった萩原健司も、
参議院議員としての別面は威風堂々、凄みさえ感じる大物ぶり。

自民党から派遣される百戦錬磨のプロの選挙仕事人。
自民党公認、山内和彦を怒鳴り倒し、握手の仕方を何度も何度も指導する。
しかし、怒鳴り散らすだけあり、その指示、指導は的確、なによりも真剣。

そして登場する内閣総理大臣、当時自民党総裁、小泉純一郎。
山内和彦には見向きもしない川崎市宮前区の住民たちが、
特別な面持ちにて、その登場を待ちわびる。

自民党から派遣されるプロの選挙仕事人たちも
小泉純一郎来訪日は顔が笑顔にほころびる。
山内和彦が
「すごいですね、普通、市議会議員の選挙に総理大臣は来ないですよ」
と言う。
プロの選挙仕事人たちも誇らしげに言う。
「そうだよ、これがみんなの力、自民党の力なんだよ
ただ、その後の言葉に山内和彦は無言になってしまう。
だから造反なんて絶対に許されないんだよ!

車掌五人がかりで押し込められる満員電車。
狂った世の中と言われながらも無邪気で、美しい子供たち。
わずらわしい人間関係。
夫婦喧嘩。
映画「選挙」は、まさしく、日本、日本人を描く。

そしてなによりも勝負に負けるということと、
勝つということの本当の意味が映画のラスト・シーンにて描かれます。

お人よしは押し消され、
組織の中の歯車に過ぎない傀儡の誕生。
まさしく恐ろしい映画なのですが、
それをも凌駕する、組織というものが全力を傾けるその強さ。たくましさ。

それなのに人間という生物には喜びと哀楽がある映画。



■ 2020/2/29 想田和弘監督 ベルリン国際映画祭で最新作が賞を受賞




なんと山さんが!、映画通りの人です

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コメント (2)
全国民がみるべき映画だと思います。山さんと奥さんの夫婦喧嘩のシーンが面白いですよね。
こんばんは。(*´・ω・`)b
名作ですね。
小さな選挙のリアリティと
そこに登場する小泉純一郎総理大臣。
そして、選挙で候補者が語るのは、
名前だけなんですよね。
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