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シンデレラとケネス・ブラナー #2020年秋の美術・芸術 非参加記事


2010年頃から、ハリウッドの若手女優主演で、
有名童話をコンピューター・グラフィックで映像化する作品が相次ぐ。

ミア・ワシコウスカ主演「アリス・イン・ワンダーランド」
アマンダ・セイフライド主演「赤ずきん」
クリステン・スチュワート主演「スノーホワイト」
リリー・コリンズ主演「白雪姫と鏡の女王」

そして、2015年、 リリー・ジェームズ主演「シンデレラ」で
監督に起用されたのは、シェイクスピア俳優でもあるケネス・ブラナー。

幼くして母(ヘイリー・アトウェル)を亡くしたエラ(リリー・ジェームズ)は、悲しみにくれながらも母の「辛いことがあっても勇気と優しさを忘れないで」という教えを守り、純真な心を持つ女性へと成長していた。
ある日、仕事で家を留守にすることが多い貿易商の父(ベン・チャップリン)はエラのためを思い再婚を決意。エラは継母(ケイト・ブランシェット)とその連れ子の娘、ドリゼラ(ソフィー・マクシェラ)とアナスタシア(ホリデイ・グレインジャー)を快く迎え入れる。だが継母は夫がエラにかける愛情に嫉妬し、不愉快に思っていた。そんな折、エラの父が事故で突然帰らぬ人となる。
継母と娘姉妹は召使いを解雇し、エラに山のように家事を命じ、屋根裏部屋に追いやられたエラは召使い同然の扱いを受ける。寒さに耐えきれず居間の暖炉の前で眠り、翌朝、顔に灰をつけたまま働くエラを姉妹は“ 灰まみれのエラ=シンデレラ ”と呼んで大笑い。それまでじっと耐えてきたエラは悔しさを抑えきれず、家を飛び出し、森へと馬を走らせる。そんなエラに声をかけたのは“ キット ”と名乗る青年(リチャード・マッデン)だった。城で働いているという彼と話すうちにエラはいつのまにか笑顔を取り戻し、初めて自分を理解してくれる人に出会えたエラはキットに好意を抱く。
一方、国王(デレク・ジャコビ)は城で息子のキットを待ち構えていた。国と息子の将来を案じた王は政略結婚を勧めるが、キットはエラのことが忘れられない。そこでエラを探すために国中のあらゆる未婚女性を招待して舞踏会を開き、そこから妃を選ぶことを約束する。招待状はエラの家にも届き、ドリゼラとアナスタシアは有頂天。エラは、亡き母のドレスを着て自分も連れて行ってほしいと頼むが、継母はエラのドレスを引きちぎり、エラを置いて舞踏会へ出かけていく。
「薄汚いシンデレラ!、あなたは来なくていい!、これからもずっと!」
エラが希望を捨てたその時、みすぼらしい身なりをした老女が現れ、なにか食べさせてほしいと頼んだ。エラは優しくミルクを差し出した。

「これくらいしかできないけど、、」
「優しいんだね、それで十分だよ」

すると老女は妖精に姿を変える。彼女は夢を叶えてくれるフェアリー・ゴッドマザー(ヘレナ・ボナム=カーター)だった。魔法の杖を振るいカボチャを馬車に、鼠を馬に、トカゲを御者に仕立て、エラの破れたドレスを青いドレス変え、光り輝くガラスの靴を与える。
「魔法が続くのは12時まで。さぁ、楽しんできて」

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城に到着したエラは、そこで初めてキットが王子であることを知る。
二人はダンスを踊り、夢のようなひとときを過ごす。

互いの気持ちを確かめ合う二人。
だが、その時12時を告げる鐘の音が鳴る──。
エラは、急いで馬車に乗り込み魔法が解ける前に、城を飛び出す。ただ、その時、ガラスの靴を片方残してしまう。魔法が解ける前に無事に家に帰りついたエラ。エラは、今日の素晴らしい出来事を父や母に話すように、日記に書いた。
そして、王子は残されたガラスの靴が合う女性を求め、国中を捜し始める。
エラは、再び下働きの毎日だった。
「わたしはあなたに優しく接したのに、なんでひどいことをするの・・」
「あなたが若くて美しいからよ!」
そのさなか、継母はガラスの靴の持ち主がエラだということを知る。

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「ガラスの靴を見つけました大公様」
「そうか、謎のプリンセスはただの村娘か、、
 我が国が恥をかくところだった、その娘をそのまま屋根裏部屋に」
「わかりました」
「それで見返りは?」
「公爵夫人にしていただきたく存じます、二人の娘にも貴族との結婚を」

童話で知る意地悪で間抜けな継母と違い、
映画「シンデレラ」に登場する継母は狡猾で感情的。
これでは物語が無事に終わるのか?、と不安も感じる。

しかし、その最後はシェイクスピア劇の演出が、
監督、ケネス・ブラナーにより施される。

王子と大公は、継母の家を訪れる。
継母は「ここにいるのはわたしの二人の娘だけです」と言う。
大公は「謎のプリンセスは見つかりませんな、では行きましょう」と言う。

その時、屋根裏からエラの歌声が聞こえた。

「美しい歌声だ、もう少し聴いていよう」
王子は確認し、家来を連れて、屋根裏へと向かう。
それを継母が止める。
家来が言う。
「王子の命令に逆らうのか?、お前は女王か?神か?聖人か?」
継母が言う。
「あの子の母です!」
最後に王子とエラは再会し、抱き合う。
エラは、妃として宮殿に行くことになる。
そして、最終場面。
今まで非道の限りを尽くしてきた継母に、エラが最後の言葉を投げかける。
それは、「あなたを許します」

言葉により、緊張と感傷を生成し、
最後の言葉で物語に厚みと感動をもたらす。
ケネス・ブラナー演出のシェイクスピア劇調「シンデレラ」。



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