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映画

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#note映画部

映画「アンジェラの灰」 (アイルランド・アメリカ映画)アイルランド🇮🇪🇺🇸

その昔アイルランドはイギリスの圧政により農地が私物化され、その結果、働き口を失った人々が祖国を後にすることになりました。 ある者はアメリカへ、ある者はスペインへ・・ そんな過渡期にあったアイルランドの町がこの映画の舞台です。 ここで見ることのできる日常は、 おそらく、当時の日常そのままなんだと思います。 貧しい暮らし、粗末な住居、ささやかな食事・・・ みているだけでつらくなってしまいました。 一家をささえるお母さんの大変さといったら・・ こういった状況を打破するた

スーツ

21世紀になったばかりのインターネットが世界を無駄に結びつける前夜。 世界中で携帯電話が一人一台の時代に、アマゾンの奥地よりもド田舎の世界の果ての街。 ──ウラジーミル・プーチンが侵攻する以前のクリミア半島。 海のリゾートとして有名な(当時のロシア・ウクライナ間で)クリミア半島。北側には海岸を一望できる風光明媚な場所があり、シティルの母親はそこにやって来る観光客相手に粗末な屋台でチェブレキを売っている。高級店が立ち並ぶ海沿いの街と比べては売り上げは少ないであろう。本当は竪琴

『語り出したら止まらない』そんな映画を、君はいくつ持っているか。

「いい映画」に出会ってしまう、ということは、すごく幸福で、そして、時として、すごく怖い。 TOHOシネマズで映画を観るのに必要な映画鑑賞料が、2,000円に値上がりしてから初めて映画館で2,000円を支払って映画を観た。 『怪物』という作品だった。 映画館で映画を観ることの愛おしさが渦巻いて、涙が出た。はじまりの回を観て、次の回も観て、レイトショーでも観た。次の日も、観に行った。 止まらなかった。 感情の渦が、うごめいて、止まらなかった。 “映画観で観るべき映画”

映画館が舞台な最近の良作、3選!

2023年も前半から良作多いです。 観るのに忙しくてなかなかnote書けてないのですが、映画館を舞台にした良作を鑑賞できたので、今回まとめて紹介できればと思います! 『エンパイア・オブ・ライト』(2/23公開)これはしみじみ良かったです。 映画館が舞台になっているだけでもう贔屓目で見ちゃうんですが、そんな映画館ファンには染み入る作品となってます。 オープン前の映画館に入って一つひとつライトをつけていく、映画館の徐々に火が灯されていくオープニングがもう秀逸! それだけで大満

2022年、映画ベスト10(日本映画編)

2022年に劇場公開された新作映画の中からベスト10を選びました。 今聞かれたらまた順位変わるんじゃないかくらい順位つけるのって大変ですが、何とか絞りました。 先日は、「外国映画編」を発表してますのでそちらも併せてご覧ください。 それではいってみたいと思います。 10位 『さがす』いやー、面白かった。 脚本が練り込まれていてとても良くできてました。 それに俳優陣もみんな良くって見応えバッチリです。 さすが、ポン・ジュノの元で助監督をしていた片山慎三監督。 骨太ながら先の

2022年、映画ベスト10【外国映画編】 

あけましておめでとうございます。 2022年も映画をたくさん観ましたがそこからベスト10を年末に決めました。 (毎年、年末にベスト10発表会してます) いつも外国映画と日本映画に分けてそれぞれ出してますので、まずは外国映画編からいってみたいと思います! 10位 『コーダ あいのうた』これはシンプルにいい映画でした。 重めのテーマを扱っているけどすごくポップにアップテンポなノリで作られているのでエンタメとして楽しくて、かつしっかりと考えさせられる作品となってます。 家族の

映画2022年の振り返り「女性の立場を見つめ直す作品たち」

2022年も早いものでもう終わり。 今年もたくさんの映画を観ましたが、総括してみて気付く"映画の傾向"があったりします。 ちょうど、2022年の映画を振り返る執筆依頼をいただいたので、映画サイト「OSANAI」にて記事を書かせていただきました。 テーマは、「女性の立場を見つめ直す作品たち」。 ▼サイトはコチラ ↓ 先日、「映画に見る女性の妊娠・中絶のリアル」という記事をnoteに書いたのですが、その大きな系譜にあたるかなと思います。 2022年公開の作品を中心に10作品

Amazonプライムビデオでもう観られる!2022年公開の傑作7選!

もう今年も12月に突入し師走となってきましたが、この2022年に劇場公開された新作映画が続々とAmazonプライムビデオでも見放題の配信が始まってます。 アマプラに入っていても何を選んでいいか分からないし、どれが新作なのかもよく分からないし、観たかった新作がやってるかもマメにチェックしてないとなかなか分からないものです。 そこで今回は、2022年に公開された新作映画の中から特に面白かった作品で、Amazonプライムビデオの見放題で配信が始まっているおすすめ7本を紹介してい

沖田修一監督の推薦図書『哀愁の町に霧が降るのだ』

読書の秋、ということでnoteの投稿企画でお題に出されていた推薦図書を読んでみました。 https://note.com/contest/%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E3%81%AE%E7%A7%8B2022?f=trend 選んだ本は、『哀愁の町に霧が降るのだ』。 理由は、選書をしたクリエイターに映画監督の沖田修一がいたから。 映画関連では唯一だったので迷わず選びました。 沖田修一推薦図書ということで選んだ書籍 映画監督が選んだ本ということで映画関連かと思

ガーンジー島の読書会の秘密

──ぼくはガーンジー島のドーシー・アダムズです ──戦時中にチャールズ・ラムの随筆集を手にしました ──本にあなたの住所が、 ──占領下の生活に、ラムは笑いを与えてくれました、 ──とくにローストピッグのくだり ──ぼくの所属する読書とポテトピールパイの会もドイツ軍から   豚肉を隠すために誕生しました ──わたしの本があなたに行きついて嬉しいです ──資金不足で泣く泣く手放した本なの ──本には帰巣本能があって、ふさわしい読者に行きつくのかしら? ──ドイツ軍の占領は終

映画『アフター・ヤン』とコゴナダ監督

コゴナダ監督、待望の新作が公開! その『アフター・ヤン』が素晴らしかったです。 なかなか簡単に感想を言うのが難しいタイプの作品ではあるのですが、色々とポイントはありますので、note書いてみたいと思います。 監督二作目にしてこの安定感、出来上がってる感があるココナダ監督を掘り下げてみたいと思います。 『アフター・ヤン』<あらすじ> テクノと呼ばれるAIロボットが家族の一員となっている近未来。中国系の養女ミカは、ロボットのヤンを兄のように慕っていたがある日ヤンが故障で動かな

メリーバッドエンドの物語「星の子」を観て、映画を観る意味を考えた。

映画『星の子』を観た。 2020年に大森立嗣監督によって映画化された、芦田愛菜主演・今村夏子原作の、宗教二世のお話である。 『もし、自分が物心ついた時に、両親が宗教信者だと分かったら』 この映画を観るまで、私は、この状況を想定したことが一度もなかった。宗教二世問題が、旧統一協会の騒動で明るみになる前の鑑賞だった。自分の周りにも、親が宗教に熱心だと漏らす友人はいなかった。 もし、映画・星の子を、あの騒動の後に知って観ていたら、得た感想は、異なっていたのだろうか。ネットの

パラダイム

ロサンゼルスのダウンタウンにある閉ざされたままの教会。 その扉を開けた老司教(ドナルド・プレザンス)は、 そこで不思議な緑色の液体が入った透明な柩を発見する。 彼は理論物理学と超常現象のバイラック教授(ヴィクター・ウォン)に相談し、キャサリン、ブライアン、ケリー、ウォルター、スーザンらの研究生や専門家と共に教会に泊まり込み、徹底的な分析を始めた。 しかし、その頃教会の回りには浮浪者らが集まり、さらにはおびただしい数の虫が地中から這い出して来ていた。 教授たちがコンピュータに

ロスト・バケーション

亡き母が教えてくれた秘密のビーチ。医学生のナンシーは休暇を利用してついにそのビーチを訪れる。母に先立たれた父と幼い妹の世話、医師となる為の勉強漬けの日々から解放されるナンシー。そんな彼女の最高の休暇は──。 海外でただ一人だけのビーチを見つけ、ただ一人で満喫する──。 ナンシーは、サーフィンを満喫し、いい波に乗るために沖へとこぎ出だす。 しかし、沖に浮かぶ、大きな鯨の死体を見つける。 なにかが迫る。──それはイルカだった。が、もう一体いた。 もう一体に襲われ、ナンシー