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映画

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2020年10月の記事一覧

監督との最良の出会いで、佐藤健は変わり続ける  #シネピック映画コラム

マガジン「映画のはなし シネピック」では、映画に造詣の深い書き手による深掘りコラムをお届け。今回は映画ライターのSYOさんが「佐藤健×実力派監督」をテーマに、その“進化”を紐解くコラムです。 文=SYO @SyoCinema  近年ますます覚醒した感がある、人気実力派俳優・佐藤健。映画・ドラマ・CMはもちろん、YouTubeや公式LINEなどなど、多方面に活躍の幅を広げている。自身の代表シリーズである「るろうに剣心」最終章の公開は、新型コロナウイルスの影響で2021年に持

アボカドの固さの感想(ネタバレあり)

出町座で鑑賞。 主演の前原さんと監督の舞台挨拶付きで観たけど、前原さんがマジでスクリーンからそのまま飛び出してきた様な存在感で笑ってしまった。 美しい恋愛映画みたいなポスターと、タイトルのお洒落な感じもあり、なんとなく小奇麗なイメージで観始めたら、ビックリした。 ちょっとおかしい人が彼女にフラれ、更にどんどんおかしくなっていく様子をこちらの感情移入を許さない突き放したトーンで撮っている。 ゲスな性欲含め自らの恋愛体験を赤裸々に作品にしているという意味でこないだ観た「喜劇愛

異色の骨太映画、『異端の鳥』がヤバかった

映画館で何気に手にしたチラシを見たときから気になってしょうがなかった作品、『異端の鳥』。 首まで土に埋まった少年とカラスが向き合うモノクロのポスター。 この異様ともいえるビジュアルながら美しさのあるクリエイティブにグッときてしまった。 今回はこの異色の問題作『異端の鳥』を紹介していきたいと思います。 『異端の鳥』 (The Painted Bird)2019年 チェコ・スロバキア・ウクライナ合作 169分 原作:イェジー・コシンスキ 監督:バーツラフ・マルホウル 出演:

三十四丁目の奇蹟

鑑賞時の感想ツイートはこちら。 1947年のアメリカ映画。クリスマスの季節を迎えるニューヨークで、自らをサンタクロースの別名「クリス・クリングル」と名乗るサンタそっくりな老人。彼の姿を通して、“信じること” の素晴らしさを描いた心温まる作品です。 彼の行動は、デパートのクリスマス商戦や、サンタの存在を信じない現実主義の母娘にも変化をもたらします。果ては市民や裁判所まで巻き込んで「サンタはいるのか?」という論争に――。原題 "Miracle on 34th Street"。

メランコリック

あらすじ:名門大学を卒業したがさえない毎日を過ごしていた和彦は、ある夜偶然訪れた銭湯で高校の同級生・百合と再会する。そこでアルバイトを始めた和彦は、その銭湯が営業を終えた後、深夜に風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る 深夜の銭湯が人を殺す場所だったら?という発想が面白いし、同僚が人を殺す請負人であり主人公はその異常な状況に巻き込まれてゆくという内容に期待した私がバカだった・・・・今作品のジャンルはサイココメディなので『冷たい熱帯魚』のでんでんのようなキャラ

カレー映画ナイトに行ってきた。

10月1日から10月18日まで開催していた『下北沢カレーフェスティバル』。これは年に1度、下北沢で開催しているカレーのお祭りイベントらしく、今年で9回目の開催になるらしい。(詳しくは下記リンク先参照) 筆者もこのイベントに参加するのは今回が初。今回参加したのは、フェス中に開催されてた『カレー映画ナイト』だ。これは、映画『スタンリーのお弁当箱』を鑑賞しながら、映画用に作られた限定カレーを食べるイベントだ。インド映画を観ながらカレーを食べる…これは映画好きの筆者にとっては、非常

『異端の鳥』 - paint or aware -

先週、映画『異端の鳥』(原題"The painted bird")を観に行った。 上映時間が3時間という長さだからではなく、3時間を超える映画なんて別に珍しいものでもなく、長さにではなく、疲れ果てた。目に残る残像と頭の中を渦巻く言語になる前の感情のイメージその大きさ、口の中いっぱいに泥を詰め込まれそれを必死で吐き出しているような感覚とともに私は帰路に着いた。 一週間が経った。ようやく泥は言語になってここに書けるような気がする。 以下、ネタバレがあります。 『異端の鳥』

『スタンド・バイ・ミー』

お久しぶりです。こねこです。 現在短編集を執筆中で、そのうち公開いたしますのでその際はどうぞよしなに。 さて、タイトルにもあるように、名画と有名なロブ・ライナー監督の『スタンド・バイ・ミー』を昨日鑑賞したため、その感想を書こうと思い立ち、現在文章を認めております。 ⚠️この先ネタバレがあるかもしれません。まだご視聴でない方は自己責任でご覧ください。 この映画はホラー作家として名を馳せたスティーヴン・キングの短編集『恐怖の四季節』の秋編が原作だそうです。鑑賞中はホラーな感

「悪意」という名の地獄を巡る旅『異端の鳥』

10月9日に公開された『異端の鳥』。ベネチア映画祭で途中退場者が続出しながらも、10分以上のスタンディングオベーションを受け、ユニセフ賞も受賞した話題の本作。 昨年の東京国際映画祭で見逃して以来、筆者も公開を心待ちにしていただけに公開週の土曜、10月10日にTOHOシネマズ川崎で鑑賞してきた。ちなみに公開週、加えて1日2回という上映回数の少なさというのもあるのだろうが、筆者が観た回は満席になるという盛況っぷりだったぞ。 事前情報で、残虐描写がキツくヘヴィな内容だと聞いていた

彼女は心も美しい

最初は、普通にアメリカの映画だと思って観ていたけれど、実はインド映画だった!・・・・というオチ。いや、オチでもなんでもないんだけれどね、ただの勘違いです(*^▽^*) まぁ映画全部がね「全米」なんとかじゃないことは解っていても、ついつい思い込んでしまうっていう素人のあれ、ね でもインド映画って、その距離で聞こえるの?ってくらいの田んぼの端と端から歌いながら出会うまでになん十分とかける映像…みたいな思い込みがあったから、この映画にはそこまでのインドは強調されていない、という点で

未明と呼ぶには深すぎる / 20201020

夏の終わりから夕食という概念と行為にも嫌悪と拒否感を覚えるようになっていたけれど、それでもやっぱり、食べなければならないのかもしれないと母から届いた物資の数々を眺めながら思う。この日記は時に私の拒食記録の様相を呈するが、それもまた私の生活であり、夜である。 試しに、お湯で解凍するタイプの帆立粥を食べた。茶碗一つで済む分量に、母も薄々分かっているのだろうと思う。私がこれ以上の量を食べようとはしないであろうと。お粥は美味しかった。 腹痛で夜中の2時に起こされてからろくに眠れない

クレアモントホテル

鑑賞時の感想ツイートはこちら。 2005年のイギリス/アメリカ映画。ロンドンの長期滞在型ホテルで暮らす老婦人を主人公に、偶然ひとりの青年と出逢い、交流を深めてゆく姿を描いた心あたたまるヒューマン・ドラマ作品です。 原作は、イギリスの作家エリザベス・テイラー(往年の大女優「リズ」とは別人)の同名小説。あまりメジャーではないけれど、隠れた良作です。原題 "Mrs. Palfrey at the Claremont"。 優しい、現代の「おとぎ話」♩ 主な登場人物 〇 サラ・

映画で知るリアム・ギャラガーの"いま"とAmazonプライムで観られる傑作音楽ドキュメンタリー映画

『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』が、やっぱり良かったです。 なんやかんややっぱり観ちゃいました。 オアシス好きは必見だと思います。 映画に感化されてしまったので、映画『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』の紹介とAmazonプライムの見放題で観ることができるオススメ音楽ドキュメンタリーを3本紹介したいと思います! 『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』 2019年 イギリス 85分 監督:ギャビン・フィッツジェラルド、チャーリー・ライトニング 出演:リ

さつまいもの味 / 20201018

先日から舌の奥、左側が痛い。さてはまた口内炎をやらかしたようだ。2年ほど前に、何を食べるにも痛すぎて涙が出てくるほどにひどい口内炎を舌に起こしてから、どうも癖になっているような気がする。しかも舌、それも奥なので、塗り薬はすぐに飲み込まれていくだろうしトラフル錠も残念なことにストックがない。これも季節の移ろいが私に置いていく体の変化のひとつになっている。季節が移ろうたびに私は咳を出し、鼻炎を起こし、口内炎を起こす。先週台風が通り過ぎてから、秋は早足になるばかり。生き急ぐように、