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15. 直し直され上手くなる

気付かない内に、間違って覚えてしまっていることって、英語に限らず、意外に多いのではないかと思います。
自分だけの思い込みや勘違いなど、誰にでもあると思います。

特に英語は、母国語では無いだけに、相手に伝わらない理由が、自分の発音が悪いからなのか、単語が間違っているからなのか、単語の使い方が不自然だからなのかなど、いろいろと考えられ、自分で間違いに気付くのは至難のわざです。
また、間違いに気付いてくれた相手も、言葉の壁があるだけに、気まずい雰囲気を作らずに間違いを直す自信が無くて、直すことを躊躇してしまう場合もあるようです。

以前、ステイしていた家のオーナーに、ある日、私の英語の間違いを直してもらったことがあります。
数ヶ月もその家で暮らした後のことです。
彼女は、ずっと気になっていたけれど、直すきっかけを見つけることが出来なくてと言いながら、私の勘違いを直してくれました

その家には、裏庭に広い子供の遊び場があって、スパもあり、裏庭が会話に出てくることも多かったんです。
これを私は、後ろ側にあることから、"backside"と表現していました。例えば、犬を見かけた?とか、娘はどこにいるかしら?と聞かれた時に、"backside"にいるのを見かけたわよと答えていました。
裏庭に通じるドアのことも、"backside door"(通常はback door)と言ったりもしていました。

ご存知の方も多いかも知れませんが、"backside"は、通常「お尻」を意味します。物や人の後部という意味もありますが、「お尻」のイメージの方が強いようです。裏庭を意味するのなら、"backyard"又は、"back"(at the back)を使うようにと、その時に教えてもらいました。

今まで、私が"backside"という度に、聞いている人の頭の中には「お尻」のイメージが浮かんでいたのかと思うと、恥ずかしくなったと同時に、間違いを直してくれた彼女にとても感謝しました。
それからは、裏庭が会話に出てくる度に、思い出し笑いをしながらも、教えてもらった通りに、正しい単語を使うようになりました。
こうやって直してもらった場面と一緒に覚える表現は、決して忘れないものです。

同じオーナーに、"Can I"と"May I"の違いを教えてもらったこともあります。
私は、頻繁に"Can I"という表現を使って、「○○をしてもいいですか」と、相手に許可を求めていました。
丁寧に言わなければと思った時は、"Could I"という表現を使っていました。
ある日、彼女に、"Can I"でも全く問題無いのだけれど、"Can I"は、「私が○○を出来るかどうか」と、発言者を主体に聞いているのに対して、"May I"は、「私が○○することをあなたは許可してくれるか」と、決定権が完全に相手にあるという、相手を主体に聞いた表現になるので、"May I"の方がいいのよと言われました。
"Can I"を使う場合は、"Can I please ***?"や"Can I ***, please?"と、Pleaseを付ければ、より丁寧になるから、そうした方がいいわよともアドバイスしてくれました。

その家にステイしていた頃は、英語の表現が丁寧だと、他の人からも誉められたことがあります。そのオーナーのお陰です。
ただ、同世代には、時々、丁寧すぎると笑われたこともありました。
今では、許可を求めたり、頼みごとをする時に、なるべく"May I"を使うようにしながらも、時と場合や、誰を相手に話しているかで使い分けています。

英語の間違いを見つけても、それを直すきっかけを見つけることは、かなり難しいようです。
何ヶ月も一緒に暮らしたり、仲良くなったりした友達でもない限り、言い出せないようです。
自分の英語の間違いを直してもらいたいと思ったら、「直されやすい」環境作りを心がけて下さい。
それから、日本人同士でも、相手の英語の間違いに気付いたら、直してあげるべきだと思います。
お互いに英語が母国語で無い場合に、あなたは間違っていると断言する必要は無いかもしれませんが、少なくとも、間違っていると思うよとアドバイスしてあげることは必要だと思います。
また、直された側は、ちょっと不愉快な気分になったりするかも知れませんが、素直に、直してもらったことに感謝した方が、英語の上達は早まると思います。

日本人に英語を教えているという先生数人から、同じ質問を何度か受けたことがあります。
日本人の生徒さんは、英語の間違いを直して欲しいと思っているのかどうかという質問です。

比較的、日本人の生徒さんは、英語の授業中に静かだったり、他の国から来た学生さんたちに比べて、発言が少なかったりするそうです。
そんな時に、日本人の生徒さんの英語の間違いを直すと、より発言が減ってしまうのではないかと心配だというのです。
発言が減ってしまうぐらいなら、間違いは直さない方が良いと思っている先生も多いようです。

以前にも書いたかも知れませんが、「自分は、間違いを直してもらうことが平気だ」という人は、それを相手に伝えて、間違いを直してもらい易い環境を作ってみて下さい。

相手の立場に立ってみないと、分からないことも多いと思います。
日本語や英語、習慣や礼儀作法など、間違って覚えている人に気付いたら、上手な指摘の仕方、直すことを容易にさせてくれる雰囲気の作り方などを研究してみて、自分が直してもらう時の参考にしてみて下さい。

直してあげるだけでも、直してもらうだけでも駄目だと思います。
お互いに、直し直されて、それぞれの立場での相手の気持ちを理解しながら、みんなで間違いを減らしていきましょう!

今回の技は:

「間違いは、感謝を持って直してもらい、勇気を持って直しましょう!」



※この記事は、2003年に発行していた「下手英メールマガジン」で紹介していた「下手な英語を使うための技」に加筆修正を加えて、現在無料再掲載中のものです。令和版は、近日有料公開予定!

下手英メールマガジン発行から20年後、「2023年の後書き」:
今回のテーマは、何度も書いていることなんですが、何度でも繰り返しておきたいと思います。
言葉を学ぶ際には、最初から間違えないようにするのではなくて、間違えながら学ぶ方が、確実に早く上達します。
あ~でもない、こ~でもないと、考えている内に英語を使うチャンスを逃してしまうくらいなら、どうどうと間違った英語を使って、「私の英語、間違ってると思うんだけど、直してくれない?」と、周囲の人たちに直してもらいながら、徐々に正しい英語を使えるようになりましょう。


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