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イッキューパイセン #2

噂を聞きつけた豪商がパイセンを食事に招待した。

豪勢な膳の中には蓋をした汁物らしき器が。
「当家自慢の汁物です、風味が損なわれますので、蓋を開けずにお召し上がりを」

いつものやつだ。
察したパイセンは汁物に目もくれず他の料理を食べ続ける。
「おやどうなされました?」
自慢の知恵も働かぬかと豪商の口元に笑み!

しかしパイセンは器を手に取ると豪商にこう言った。
「冷めた、よそい直せ」
「えっ」
「もちろん蓋を取らずにな!」
「さ、冷めても美味い汁物ですので…」
「暖かい状態で出したという事はそのほうがより美味いのだろう、さっさと換えろ」

慌てて厨房へ引っ込む豪商。
こっそりと器ごと入れ換えを企むが驚愕!
パイセンの差し出した器には『イッキュー』の直筆サイン!

ならばと中身をよそい直そうと蓋を開けたそのときだ!
豪商の腰に両腕が帯めいて巻き付きヘソの真下でクラッチを握る!
「俺を試したな?」
パイセンの高角度バックドロップだ!

【終わり】

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