サービス券

無性にスーラータンメンが食べたくなって、

街の中華料理屋さんに入ったのね。

そしたらいきなり、中国人らしき女性の店員さんに、

「イラッサイマセ!餃子ノサービス券ハ持ッテマスカ?」

って聞かれたのね。

どうやらこの店は来店したお客さん全員にサービス券を1枚配ってるらしく、

それを次回渡せば、餃子2個を無料でもらえるらしいのよ。

でも初めて入った店だから俺がそれを持ってるはずもなく、

「持ってないです。」

って答えたのね。

でもなんか餃子も食べたくなっちゃって、

スーラータンメンと一緒に、餃子1皿(3個)も単品で注文したのね。

それで、

先にきたスータータンメンと無料で付いてくるライスを食べてたら、

しばらくして餃子が来たんだけど、

2個なのね。

俺は単品で注文してるから3個のはずなのに、

2個なのね。

うわ~これ完全にサービス券を持ってる人と間違われてるわ~。

1個足りねえわ~。

と思ったんだけど、

もうスーラータンメンとライスで十分お腹いっぱいだったし、

餃子1個足りないくらいで、

「餃子が1個足りねえじゃねえか!!どうしてくれるんだ!!」

と騒ぎ立てるのも微妙じゃん。

だからもう餃子が1個足りないことには特に触れずに、

その2個を普通に食べたんだけど、

お会計のとき、

さっきの店員さんが伝票を見て、

餃子の数を間違えたことに気付いちゃったのね。

「アッ…アッ…スミマセン。餃子1個少ナカッタデスヨネ!ホント!ゴメンナサイ!!」

店内に響き渡る大声で謝り出したのね。

いやいやっ待て待て、

ちょっと逆の立場になって考えてみてほしいんだけど、

もし俺が餃子をもう1個食べられてこられてきててたとしたら絶対に認められてたと思いますか?

………ドウイウ意味デスカ?

………。

うん、まあとにかくね、

そんな餃子が1個少なかったことくらい気にしてないから!気付いたのに言わなかったのは俺だしね。

料金も普通に払うしそんなことで謝らなくていいから。

って言ったら、

「アリガトウゴザイマス!アリガトウゴザイマス!」

って、

まるで命でも助けたかくらいに大袈裟なお礼を言われて、

「スミマセンデシタ」と、

レジ横にあった餃子2個が無料になる例のサービス券を、

雑にゴソッと右手に掴んで、

15枚、

俺にくれたのね。

本来1枚のところを15枚くれたのね。

………。

いやいやいやいや、

ソレを15枚渡されたところで、

1回で1枚までしか使えないんでしょ。

次、来てそれ使ったとしても、

俺の持ちサービス券は永遠に15枚のままだからね。

1枚使って1枚もらって、エンドレス15枚だからね。

と思ったけど、

それを突っ込みだしたらなんかまた面倒くさいことになりそうだったので、

「あっ、どうも」って15枚のサービス券をもらって帰りました。

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