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初めての解離性同一性障害の本

【実録 解離性障害のちぐはぐな日々】Tokin[著]

『本当の私』はだれなの?

帯の文句に惹かれて手に取りました
私の中にも『本当の私』はだれなの?があったからでした

解離性同一性障害者の当事者が描いた
『多重』の世界のリアル


解離性同一性障害者なんだと診断されても
その病状がどういったものなのか
自分自身のことだけれど
風邪のように熱があるから、喉が痛いから、といった主だった症状が、解離性同一性障害だと何が症状なのかわからず

同じ『多重』の世界のリアルを知りたかった

本の中で描かれているTokinさんの体験は
私が体験したものと同じものがたくさんあった

いつも体のどこかが悪い
耳鳴りや、立ちくらみ、記憶障害、起き上がれない
吐き気がしたり、食べれない、食べすぎる

自分のことがわけがわからない状態

私も親に精神科に行きたいと言えていれば、また違った人生だったのかもしれないとも思えた

読んでいて、辛かったときの事を思い返し、涙がポロポロ溢れ出ていた


つらくなったら
自分と感情を切り離しちゃえばいいんだ

自分と感情を切り離す感覚は確かにあった

幼い頃から解離があり
自分の身に覚えのないことで怒られ
『私がしたことじゃない』と
耳をふさぎうずくまり、悲しい感情を切り離したことはよく覚えている

その感覚は、ふっとその場から意識が離れ
表面と内側がハッキリと別れていました
怒られている声は、遠く悲しい感覚も切り離され
フワフワとぼーっと、ただ表側の映像を眺めている感覚でした

親や大人の機嫌や顔色を伺いながら、その時に適した自分に切り替わっていくようにもなりました
そこから親の前での自分、学校での自分、友達の前での自分など、自分の気持ちは訳がわからなくなっていました

好きな男の子がいたかと思えば、女の子を好きになっていたり、恋愛に興味があるのかと思えば、ゲームに夢中になったり、勉強が出来ないのにテストの点はよかったりと、色々ありました

この本では、一当事者であるTokinさんの個人的な体験談が描かれているもの

自分にも身に覚えのある事がたくさんありました
これも症状なんだ、これは他の人にはないことなんだとたくさんのことを知ることが出来ました

自分の障害のことが、わかりやすい内容になっていました

ただこの本は、Tokinさんが体験したことであって
全ての症状が当てはまるというものではありません

読んでいて自分が今まで疑問に思っていたこと
どうして自分はこんななんだろう?
どうして自分は上手く生きれないんだろう?
その答えはこの本の中にありました

全ては病気だったから

疑問に感じていたこと、無意識に解離していたこと
自分を守る生き方として解離性同一性障害になっていたこと

理解して、私だけじゃなかった
同じ人がいたんだと救われました

本の中には死なずに生き延びるためのアイディアもあり

解説では精神科医・医学博士であり解離の本をいくつも出されている岡野憲一郎先生の話もあり

解離で苦しんでいる本人が読むだけじゃなく

その周りの人にも、少しでも理解してもらうためにも
わかりやすく書かれていました


実録 解離性障害のちぐはぐな日々を読んでみて

Tokinさんの体験談はとてもわかりやすく描かれていて、自分を重ねて涙するところが多々ありました

岡野憲一郎先生の解説もとてもわかりやすく、どう対処すればいいのか、どう向き合えばいいのか、周囲の手助けもとても大切なことで、周囲の人のためにもなると思いました

この本から解離性同一性障害という病気を理解して
、他の解離の本にも興味を持って読みすすめて、治療に役立てていければと思えました

解離で苦しんでいる人の手にこの本が届きますように


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