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陽だまりの粒(捌)

和彦と咲が二人だけで車に乗ってから早いもので6時間以上が過ぎていた。
今時刻にして15時30分、先程まで晴天だった空の色がいきなり暗くなって遠くから雷鳴が轟き
灰色に覆われた空に稲妻が光ると同時にいきなり土砂降りの大粒の雨が落ちてきた。
海が見たいと言う咲のリクエストで和彦は国道45号線を南へ何下していた。

さっきまで和彦をいじって爆笑していた咲が急に静かになったのであれっと思った和彦が横を 見ると初デートの記念にと買ったペアリングを大切そうに見つめていた。

咲が和彦の視線に気づくと上目遣いの今にもとろけそうな顔つきで和彦の顔をじっと見つめた。
咲と目を合わせた和彦は自分の事を本気で愛してくれる咲のことが本当に愛おしいしくて仕方なかった。

車を道の駅の駐車場に止めてサイドブレーキを引いた。
相変わらず雨は土砂降りのままで車のワイパーもあまり役に立たなかった。
和彦がシートベルトを外したら、咲もシートベルトを外した。
互いの思いは同じながらも、ここから次の展開にどう持って行けば良いのかよくわからずに
二人は視線を合わせたままで中々動けなかった。

カーステレオからグレイト リッチーズの曲が流れていたが「キメている表向き白夜のオナニー 女に優しいお前はなんだ」と聞こえてきた。
会話が途切れた車の中で咲が口を開いた「ねぇ和君はオナニーをする時は何をネタにしてるの?」あまりにも唐突すぎる質問に和彦は苦笑いしながら少し間を開けて「それはね…咲の写真を見ながら…」咲が真っ赤になり下を向いたが、「Kissして…」と小さく呟くと顔を上げて目を閉じた、二人の心臓の鼓動が大きく鳴り響いた。


夜よりも暗い場所にいて
君が独りで泣いてたら
飛んでいって抱いてあげる
飛んでいって抱いてあげる

海よりも寒い人に会い
君が壊れそうになったら
飛んでいって抱いてあげる
飛んでいって抱いてあげる

暖かい雨が降りだすのを知ってる
愛に飢えた愚か者達に降り注ぐ
柔らかい風が吹くことを知ってる
欲を持たぬ賢者たちの街に


カーステレオのスイッチを切ると、
「咲好きだよ」和彦はそう呟くと咲の唇に自分の唇を優しく触れるように重ねた。
一度目のKissは挨拶がわりの軽く触れあう感じで唇を離しお互いの顔を見つめ合い再度気持ちを確認し合った。

二度目の口づけで咲は和彦の腕に抱かれながら
Kissの気持ちよさに夢心地になっていた。
心と身体の中がトロトロに溶けだすような初めて体験する不思議な感覚を味わいながらこのまま時が止まらないかなと心の底から思った。
二人の密接に重なり合った唇が和彦と咲の身体を一つにして心臓の鼓動も重なり合い、言葉などもう必要ないくらいに熱く愛し合った。

「ん、んっ」咲は長いKissの最中に何度か声を漏らした。
和彦が唇を離すと「ダメ、離さないで」と言い「和君とKissしてると自分が無くなっちゃうの…気持ちいいから、胸まで触っていいよ」と自分から和彦の唇に唇を重ねてきた。

三度目の口づけはさっきまでのKissとは違いお互いの肉体を求めるように深く激しいKissになった。
咲と和彦が重なり合った唇の中を和彦の舌が咲の唇を通過して二人の舌が絡み合い繋がり合った。
咲が「あぁ、んっ」と小さな甘い喘ぎ声を漏らし和彦の背中に回した手の指が和彦の背中を引っ掻くようにギュと力が入った。
咲の中で時が完全に溶けて行った、和彦の唇は咲の首筋を滑るように這って行く。
二人の荒い呼吸は車外の豪雨と落雷に全てかき消された。

和彦の手が咲のTシャツの上から小さな胸にそっと触れ空いている右手で咲のTシャツを胸の上まで優しく捲りあげた。
唇は咲の唇と激しく合わせながら和彦の右手が咲のブルーのブラジャーの中に滑り混んだ。
咲の胸を手のひらで優しく包むと乳房を揉みながら咲の耳元で「愛してるよ」と囁いた。

外でドォーンと落雷が海に落ちる音がしたが
もうこの二人には関係なかった。

和彦の右手が人差し指と中指で咲の右の乳首を優しく撫で、左の乳首は和彦の唇に溶けるように吸い込まれて行き舌で優しく乳首を転がされた。
「あっあっ」と咲が甘い声を押し殺しながら喘ぎ和彦の背中に回した手が快楽と同時にぎゅっと和彦にしがみついた。
「あぁ和君気持ちいい~」咲の喘ぎに和彦も興奮してさっきよりも咲の乳首に強く吸い付いた。

再び和彦と咲の唇が激しく重なり合った後で二人は唇を一緒に離した。
このまま続けたら行き着く所まで行ってしまう、二人はそんな気がしたのだ。

咲はこの続きに性交という行為が待っているなら二人の身体が一つになれたら、それはどんなに気持ち良いのだろうと不思議な思いに耽った。
和彦が約束を守って下半身に一切触れなかった事も嬉しかった。

咲は満足そうな顔で和彦を見ると、和彦はニッコリ微笑んで咲のおでこにKissをした。
「えへへー」とイタズラぽく咲は笑うと「和君のエッチ」と言ってまた笑った。
咲が笑っているのは、和彦の股間の盛り上がりらしい。
普段性欲がなさそうな和彦が股間を盛り上げているのも人間ぽくていいナ〜と咲は思った。

「来週ねぇ私の所のお祭りなんだけど、和君は来れる?」と咲は甘えた仕草で和彦に迫りこの場で返事が欲しいと言った顔で和彦を見つめた。「予定がないから、呼ばれたら行くけど両親に挨拶とかないよね?」
少し間が空いて「アハハハハ」と咲は可笑しいと笑いながら和彦の左の肩を叩くと「大丈夫だから両親は集まりに行くんで心配すんなって」と言うとさらに続けて「和君にご飯作って上げる」と胸を張って言った。
「咲のクラス環境食物科だっけか?」
「うん!!調理師とか栄養士の免許が取れるの、和君には取って置きのスペシャルメニューを作ってあげるね」と咲は和彦に小指を差し出すと和彦も小指を出して約束の指切りをした。

雨が小降りになり「そろそろ帰るか?」と和彦に言われた咲は「うん」と頷いた。

止まない雨がないように
たとえ日か沈んでも
明けない夜はない
労働者の和君にも
農高生の私にも
必ず朝がやって来る
霧が晴れるように
私の心の悪夢も
何処に行くといいナ
好きな人と触れあうのが
こんなに気持ちいいなんて
今まで知らなかった
「咲、離さないからな」
こんな言葉で魔法かけてくれるの
和君だけだよ。

今まで沢山泣いたから
今からは笑って過ごしたいな
今日の夜からぐっすり眠れますように
今日は凄く楽しかった
来週またいじって遊んであげるから
1週間元気でね

君のため - THE BLUE HARTS

もう泣かないで 月がとてもきれい
こんな素敵な夜なのに 涙なんていらない

もう抱きしめて 二度と離しはしない
たとえ地球が砕けても 金がなくても

すがりつく 腕が欲しいなら
僕のこの腕で そうして欲しいずっと
Baby Baby

ああ君のため 僕がしてあげられることは
それぐらいしか 今は出来ないけれど

「好きです 誰よりも 何よりも 大好きです。
ごめんなさい 神様よりも 好きです」

頬うずめる 肩が 欲しいなら
僕のこの肩で そうして欲しいずっと
Baby Baby

ああ君のため 僕がしてあげられることは
それぐらいしか 今はできないけれど

#小説 #エッセイ #恋愛 #ラノベ #初デート
#ファーストキス

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