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陽だまりの粒 その(弐)

咲の日記

「演奏する場所がないと言うから場所を提供してやったらこのザマだ…お前ら世の中舐めすぎなんじゃないのか!!ふざけるなよ!!今日からお前らは全員出入り禁止だからバンド活動したかったら、別の場所を探しな」暴風雨を伴った、強烈な台風が通り過ぎた後のような、機材が散乱した会場の後片付けが終わり、楽器店の店長の強烈なイヤミを言われ、この日のLIVEは何もしないで終わった。「あーぁハードコアはこれがあるから一緒にやりたくないんだよ」と本日出場予定だったTUBEのコピーバンド【ラブミー】の誰かが吐き捨てるように言った。

何がハードコアとは一緒にやりたくないだ、【ラブミー】が演奏すると、フロアの客が一斉に外に出て、煙草タイムか、トークタイムになってしまうじゃないか。自己陶酔も甚だしい。
大体【ラブミー】なんてTUBEのコピーバンドが、ココで演奏しているのは、変だと私はいつも思っていた。誰がブッキングしてるのか知らないが、女子高生のバンドだってオリジナルの曲を演奏しているのに、何がTUBEだ!
ココでTUBEを聞いている人なんて、まずいないだろう。

(話を続けよう)
その声をダンボのような大きな耳で聞き、咄嗟に反応したのが、今日オープニングを務めた【ボディブロー】のボーカル山内さんで、山内さんは、周りを見渡しながらら「何だとコラぁー!今言ったの誰だ?」と凄んだ!
山内さんは、今でこそ、身なりが地味になったが、少し前までは、30センチはあるであろう、真っ赤なモヒカンを立てた身長180センチはあろうと思われる、武闘派の暴れん坊だった。
ただでさえ身長がデカいくせに、その身長に立てたモヒカンまで足したら、一体何センチになるんだろうか?どうもこうも、私はこの人と話をするのに顔を見上げなければならないので、首が疲れる。この人と話す時は、やはりキリンさんの首が欲しくなる。

「ヤマいいから、やめろォ」岩手のハードコア・パンクシーンの頂点にいるバンド【インパクト・ドリーム】の田路さんが山内さんを諌めた。田路さんも身長が180センチ位あるうえに、横にもデカいので、見た目ラグビー選手みたいなのだが、私は、彼のことをゴリラーマンと呼んでいる。

山内さんの心の導火線に怒りの火花が点火されたままで、誰も消火してくれないので、いずれ何処かで爆発すると思いヒヤヒヤしていたが、よりによってここで爆発するんかい!「雪野に責任取って貰わなければ、誰も納得しないんじゃないかァァァ!!」山内さんが雪野君を挑発するように睨んだ。え〜何で雪野君?雪野君全然悪くないし、雪野君今日は、バンドマンじゃなくて客だよ!客!悪いのは、先に挑発した【ラブミー】じゃん。

でも雪野君も勇気を出して、山内さんを睨み返し「今まで散々、LIVE会場を破壊するって言ってたのは、誰や?俺が4年前にココに来た時から教育会館最後の日とかナカサン最後の日とか言ってたのお前じゃん!散々悪い見本を当時中学校の子供に見せておいて、今さら正義ぶってんじゃねぇよコラぁ」「何だともう1回言ってみろやコラぁー」
全く血の気が多過ぎるコラコラ軍団だ、
山内さんか雪野君の胸ぐらを掴み
雪野君がそれに応戦した為に二人はぐちゃぐちゃの揉み合いになり、山内さんが雪野君をヘッドロックの形に捕らえた。雪野君頑張れ!雪野君負けるな!

で、ここで、コラコラ軍団のコラコラ劇場、一体この人たちは、1日に何回コラと言うのだろう?
もしも雪野君と私が一緒に暮らしたら、私にもコラと言うのかな?絶対にそんな事はないな、全然そんなイメージ湧かないし。

「コラァお前らヤメェ」田路さんが二人の間に割って入り、【ボディブロー】と【インパクト・ドリーム】の他のメンバーが揉み合う二人を強引に引き離し、羽交い締めにした。「来いよコラぁー」「ふざけんなよ、このバカタレがぁ」二人は、バンドメンバーに別々に引き離されながら捨て台詞を吐き続けた。

いやいやあんたら、昔のプロレスラーかって話。
あんたら、タイガージェット・シンか上田馬之助かと思わず、突っ込み入れたくなったし。

まぁ何処にもイヤなヤツがいる訳なんだな。
そんな光景を醒めた目で見ながら「またハードコアの連中か!バカバカしい帰るぞ」と大学生のコピーバンド【ラブミー】のボーカル小成が醒めた表情で他のメンバーを促した。
「ハタチ過ぎたガキが、なにやってんのか、気狂いでクソみたいなバカだ」と【ラブミー】のドラマーの野村がハードコアの連中を小馬鹿にしたようにフロアに唾を吐き会場を去ろうとした。

それを、たまたま偶然に見かけた私は、腹が立って許せなくなった。そして【ラブミー】の前に立ちはだかり階段前の通路を塞ぎこうアジテートをした。
「またハードコア?またハードコアねぇ…
フーン…言えるものなら、あの人たちの目の前で、もういっぺん今の言葉を言って見たら…言えないくせに…しょうもないTUBEのコピーバンドの分際のくせにバカはお前らじゃん」
よく言った私、私だって岩手のPUNKシーンの一員だ!雪野君の弟子だ。

私に挑発されてムッとした表情になった小成は「ガキが帰る邪魔すんじゃねえょ!どけ
」と私を怒鳴ったが、私は負けない!
「今すぐ戻って謝ってよ、どうせ貴方達は、ハードコア・パンク無しでは、LIVEやる場所も客も来ない、頭数にも入らないバンドで、ただのサワヤカバカだ」とコピーバンドにバカにされた親友のバンド達の仇とばかりに私だって一生懸命に意地を張った。

私、この小成という人が、どうも苦手で気持ち悪い。何が気持ち悪いのか言葉に出来ないが、とにかく気持ち悪い。ココでLIVEがある時は、
何時も私の傍に立っていて、誰に対して言ってるのか分からないが、私の傍で常に「泣かしてやる」と言っている。私の身体を上から下まで舐め回すような視線が気持ち悪い。そう言えば彼は、LIVEが終わった後に、「打ち上げ行かない?」と毎回私をしつこく誘って来るのだ。
私は、雪野君が企画するマルトウ・ビル階段PUNK塾に参加してるよ、そっちの方が絶対楽しいもん!
そう言えば、私、雪野講師に質問しましたね〜
「先生は【ラブミー】についてどうお考えですか?」雪野先生の答えは「ラブミーは、小成の為のユニットだからバックは、カラオケでもいいわけよ。あくまで小成が気持ち良く歌うための手段だから」「小成はボス猿だから自分の権力を行使して自分の快楽・悦楽のためなら、人を犠牲にしても、自分の描いた目標は必ず達成させるから、君たちみたいな利用しやすい、女子高生は特に気をつけな」と答えてくれました。う〜む。

小成は、辺りを挙動不審気味に動き回り、キョロキョロと辺りを見渡し、今自分の立っている場所が会場の中から死角になっている事をキチンと完全に確認した上で、もうとにかく私を襲いたくて襲いたくて、たまらないようだ。
ひょつとしてコイツら、私を襲うためだけにバンドをやってるふりをして、私の隙を狙っていた?

小成のどうにも抑えが効かない脳ミソが性欲の塊で作った悪魔の強姦魔を召喚した。
「こいつ雪野の後を金魚のクソみたいに、追いかけてる女だぜ」と私を嘲笑い、野村が小成の言葉のあとに追うように「雪野は、オゾン層に穴が空いたって騒いでいるけど、俺からすれば、お前のアソコの穴が開いてるのかどうか、緊急に調査する方が大事だね」と言って更に大笑いした。

私を馬鹿にした笑いが響く中で「私そんなつもりで、いつもココに来てるんじゃない」と心の中で叫びながら、その場を立ち去ろうとしたが、4人の男にあっという間に周りを囲まれてしまい、逃げ道が無くなり怖くなってしまい、怖くて、しゃがみ込んで泣いてしまった。

しゃがみ込んだ私の後を追うように、4人の男も私の回りを囲むように一緒にしゃがみ込んで髪の毛を撫でながら「お前、泣いてる顔も可愛いなぁ」「お前の下の口をグチュグチュ舐め回したいな~」「今から4人の息子をお前の下の口に、お邪魔させるからもっともっと泣いて歓迎しろよ!」「雪野は、エコとか言ってカッコつけてるけど、俺たちの子種も溜まりすぎて大変な事になってるから、お前の中で射精したいなぁ」「俺もうガマン出来ないから!姦っちまえ」【ラブミー】のメンバーに私の身体は無理やり押し倒された

このあとに起こった事は、時間にして、ほんの10分程度の事だが私には永久に終わらない地獄の時間のような時間だった。

私の記憶にあるのは、1人の男の手が私の口を塞ぎ、叫び声が出せない。助けを求めたくても声が出せない。男の手を噛み付いたら顔を張られ「殺すぞ」と脅され、首を締められた。男が私の顔を舐めようとして顔を近づけて来たために、男の顔に唾を吐いたら、顔を2回往復で張られた。耳がキーンと鳴って音が聞き取り難い。ヤツの荒い息。ヤツのすえた体臭の臭い。太ももから股間をまさぐるヤツの手。雪野君から誕生日のプレゼントに貰った、大切なTシャツの上から胸を触るヤツの手。Tシャツを捲ってブラを取ろうとするヤツの手。ブラを捲りあげ乳首を吸われそうになったので、ヤツの顔を引っ掻いてやったら、また往復の平手打ちでひっぱたかれた。スカートの中にヤツの顔が入って来た。ハーハー荒い呼吸で股間の匂いを嗅いでいる。凄く気持ち悪いので両膝の内側で小成の耳の辺りを思いっきり挟んだら、今度は左の目をグーパンチで殴られた。スカートの下に履いている、スパッツの中にヤツの手が入って来る。ヤツの手が下着の中に手を入れようとする。ヤツがスパッツを脱がそうとするので、それに抵抗したら、左目の辺りをグーパンチで2回殴られた。殴られた箇所がアザになってたら親になんて言えばいいんだろう?アザになったら明日学校に行けるかな?

雪野先生が言うように、確かに【ラブミー】は、小成が全てだ。小成の為に他のメンバーが小成が私を犯すためにお膳立てをしている。
私は小成に犯されなければ、顔を殴られただけで、何とか貞操を失わずに、このままで逃げられる。ここは密室ではない。小成から私が逃げるには、長期戦を覚悟する事。他のメンバーは、私を犯せない。小成は私を犯して射精したら、直ぐに逃げるだろう。2番手からは、ココで私を犯す時間はない。
時間が経てば必ず誰かがここを通る。

「こいつ絶対処女だぞ、初体験の相手が俺でお前は幸せだな」「俺は、避妊なんてしない中出し専門だ、もし初体験で俺の子供を妊娠したらお前は幸せだな」小成のそんな自分勝手な声が耳に入って来た。
冗談じゃない、私の初体験の相手はもう決めてんだ!
こんなヤツに姦通されるのなら、もうさっさと殺してくれよ。

さっき雪野君に飲みかけのジュースを上げたのが、遥か昔のような気がするな…
私、雪野君と間接キスしたんだ…一瞬に過ぎた夢のような時間だったな…一瞬であっても、もの凄く幸せだったな時間だった…
もし、私がコイツらに輪姦されたら、雪野君は、どうするのかな?離れて行くのかな?

童顔でまるでスナフキンのようで、優しくて、真面目で、物凄く照れ屋なクセに、照れ隠しにわざと仏頂面をしている。
そんな雪野君が大好き。
お願い、雪野君私を助けに来て…
もう頑張れない。もう心が折れそうだよ…

Tシャツを剥ぎ取られ、ブラも取られた。
「コイツ胸が小さいな!」小成が私の胸を見て大笑いした。「小成さんと毎日SEXすると巨乳になるぜ」と周りのヤツも腹を抱えて笑った。
ヤツらに隙が出来た。チャンスは1度だけ。
雪野君に教わった通りに、キーの高い声で叫ぶぞ…届け私の叫び。「雪野君、咲を助けに来て~〜ぇ」「雪野君、咲を助けて〜」
しめた、ヤツらが動揺した、ラストチャンス。走るぞ〜…。

うわぁぁぁ体力がなくなり、思ったように走れない。うわぁぁぁ、小成が腰に手を回してくっついてきた。こいつしつこいなぁ。
私の股間を手でまさぐる。
背後から押し倒される。体力がなくて抵抗出来ない…
スパッツを降ろされた。仰向けにされた。
手で防御してるが、下着も脱がされそうだ。
え~ん雪野く~ん助けて…

小成の身体が私の身体から離れたと思ったら、そこに蒼白い光を放つ、雪野君が立っていた。園子さんと泉ちゃんが私の傍について、【CATS EYE】の敬子さんが着ていた革ジャンを、素っ裸にされた私に羽織ってくれた。
美彩と智美と里香が回りを囲ってくれる。
みんなありがとう…

雪野君は、小成の顔に黒のラッカースプレーを吹きつけ、みぞおちに1発パンチを入れたら、小成が「ぐへっ」と声にならない、音を吐きながら雪野君の足下に這いつくばった。
雪野君が足下に這いつくばった小成の顔を足蹴にしてる。

えっ…もう終わり!うわぁぁぁ雪野君!強えぇぇ!
周りから雪野コールが響き始めたよ!
次の野村は!みぞおちに後ろ蹴りをして、膝裏にローキックしたら、カンタンにひっくり返ったよ。早々に戦意喪失じゃん。私が虚ろにボーッとしている間に2人もノックアウトした雪野君!ありがとう。君は強えぇぇよ。

身体が震え、腰がぬけて立てなくなった私を泉ちゃんが手伝い、園子さんが背中におんぶしてくれて、私は外に逃げ出した。
園子さんの背中におぶさりながら、階段を降る手前でふと横を見たら、雪野君が私の身体をさんざん触りまくった、忌々しい小成の顔をラッカースプレーの缶の裏で餅つきをするように、ガシガシ叩いていた。雪野君、私を助けてくれてありがとう…

ここから、私の時計の針が再び動き出した。
階段の一番下の所で【ラブミー】の取り巻きの女が6人メンソールの煙草を吹かしながら、談笑していた。
そこに【CATS EYE】の真由美さんと、美和さんが今ココに遊びに来て、私の所にやって来た。
バスケ上がりで、身長が180センチはあるから、身長が160センチに満たない、私から見るとガリバーみたいだ
園子さんが事情を話すと、二人共私を優しく抱きしめてくれた。二人はそのままメンソール女の所に行き、口論になった。やがて、親友の理香と智美も下に降りてきて口論に加わった。

メンソール女は、駆け足で階段を上がると同時に駆け足で階段を降りてきて、そのまま何処かに行ってしまった。
園子さんに飲み物を買ってきてもらい、階段の下に座って飲んでいたら、二人分のズボンとパンツが階段の上から降ってきた。気持ち悪いので真由美さんに遠くに蹴っ飛ばしてもらった。

私の大好きな雪野君が階段を降りて来た。
めちゃくちゃ強くて頼もしかった。
雪野君は、「階段下は危ないからそこを退いて」と私の手を優しく引いて、座る場所を移した。雪野君が私の顔を覗き込んで、「ゴメン…助けるのが遅くなって…」と目に涙を浮かべながら謝ってきた。

階段の上からまた二人分のズボンとパンツが降って来て、その後直ぐに4人分の上着が降って来た。

雪野君と泉ちゃんが漫画【リングにかけろ】の話をしている。泉ちゃんが「今度は、階段上から人が降って来るんじゃないかい?ギャラクティカ・ファントム」と冗談半分で言ったら、そのすぐあとに階段の上からドドドドドドーン凄い音がして、全裸の男が本当に階段を滑るように、滑り落ちて来た。

「誰だこれ?」「強姦魔!」皆が、汚物でも見るように、階段下から離れて行った。
私はその男の顔を見たら、急に吐き気が襲って来た。皆に気づかれないように、隠れて嘔吐してたらそれに気付いた泉ちゃんが背中を優しくさすってくれた。
私は凄く悔しがこみあげてきて、また涙が溢れて来た。園子さんが優しく私を抱きしめてくれて、園子さんの胸でまた大声を出して思いっきり泣いた。

続く

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