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月が砕け落ちた午後に(第3回)

沖合いからゴォ~という音と共に地鳴りが近ずいて来たと感じたら、結構デカい地震がやって来た。'ガダガダガタガタ' 横揺れの地震でコタツの上に置いてある空のコップと何も乗っていない食器がカタカタ揺れ動いてコタツの上から落ちた。

「ごめん夢花テレビをNHKに変えて」母はそう言って外に通じる部屋の戸を開けて避難路を確保してから、ビックリして泣き出した葵の所に駆けつけた。
少しして地震は止んだがテレビは全国番組からローカル番組に切り替わり地震の情報を伝え始めた。
「お母さん津波注意報が出た!」
「夢花慌てないでいいから、防災バックを準備しておいてね」
「あぃあぃさあ~」夢花は納戸を開け防災バックである家族五人分のリュックサックから二つだけ取り出して中身を確認してみた。
ペットボトルの水が2本、カロリーメイト3箱、ホッカイロ、ビスコ2箱、ポケットティッシュ、懐中電灯、生理用品、軍手。
これだけ入っていたら何とかなるのか?
夢花は、イマイチしっくりしなかったが楽天的に考えて玄関先にリュックサックを置いた。

夢花がリビングに入ると母は携帯で誰かと話をしていた。
葵がアンパンマンのパズルを持って来てひっくり返したので夢花も葵と一緒にパズルを始めた
夢花は自分が先走り過ぎると葵が楽しめなくなると思いワザと出来ない振りをして葵に遊ばせた。
「夢花姉ちゃんよりいっぱい出来た」と葵は母の所に報告に行った。

家の前を走る消防団の消防車が高台に避難を呼びかけている。
防災無線が高台に避難するように呼びかけている。
夢花はコタツで横になっているうちに眠ってしまっていた。

気がつくと夢花は知らないショッピングモールの中を一人で歩いていた。
B.Bクィーンズのおどるポンポコリンが鳴り響く店内に違和感を感じながら。
書店に寄ってCUTIEを眺めていたら、雑誌が古いのだ1991年7月号と書かれた雑誌を少し眺めながら
「古い」と一人呟き雑誌を置いて書店を後にした。
平日の午後のショッピングモールは店の中が閑散としていて、若い人がいなくその雰囲気に我慢出来なくなった
夢花は携帯を取り出して友達を呼び出そうと電話をかけてみたが誰にも繋がらない。
「何だか訳が分からない」少し寂しくなった夢花は、フードコートでソフトクリームを食べている、カップルの所に近づいて行った。

「ねえ」夢花が声をかける前に向こうの女が「カワイイ」と夢花の頭を撫で始めた。
「迷子かな~」男が女に確認すると女が夢花に「お父さんとお母さんは?」と聞いてきた。
何言ってんだコイツらはと思って夢花はこのカップルに文句を言おうとした時、
自分の体が小さいなっているのを始めて気がついた。
えっ何で私こんなに小さくなってんだ?
あり得ない事に遭遇して、どう対処していいのか分からない夢花はこの二人に相談しようと思ったが

「もう学校止めてもいいから赤ちゃんが欲しいよ」と女が男に言っている。
「今日は私の誕生日なんだから、朝まで付き合ってね」夢花はこのラブラブな男女をじっと見ていたら、
ある瞬間にこの二人が両親である事に気がついた。

「お母さん!、貴方は雪野咲さんですよね!」夢花がそう言うと夢花の身体が暖かい光に包まれて、母であるこの女の身体に吸い込まれて行った

『お母さん今から行くのでヨロシクね』

#小説 #エッセイ   #コラム #ラノベ

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