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忘れられない手紙

ここ最近の騒動で世相が暗いですね。こういう状況になると、一体何を書けばいいのかと手が止まってしまい間が空いてしまいました。

でも、ありがたいことに日々フォロワーさんが増え続けているので、気を取り直して新しい記事を書いていこうと思います。

それにあたって、自分なりに踏ん切りを付けるために、今日は忘れられない手紙の話をします。


2011年3月。

東日本大震災の起きた時。ちょうど「デザート」は校了の直前だったため、漫画家さんたちはみんな原稿の真っ只中でした。

「こんな状況で漫画を描いていていいのか」と戸惑う漫画家さんたちをどう励ましたらいいのか。何もかもが初めて直面することですから自分にも何も答えがありません。

でも、節電で薄暗い社内で、度重なる余震に震えながら朝を迎えた時。当たり前のように営業してるコンビニや、当たり前のように出社してきてくれた清掃スタッフの皆さんの笑顔に、僕は心底救われた気分になりました。

だから漫画家さんたちには「当たり前のように雑誌を届けよう」と伝えました。当たり前のように新しい号が届くだけでホッとする人たちもいるはずだと。

それが正解だったかは分かりません。

自分が本当にそう思ったからと伝えることしかできませんでした。


それから2か月後。

編集部に届いたファンレターの1通に目が釘付けになってしまいました。そのハガキは、宮城県の被害が激しかった地域から出されていたからです。

まだ仮設住宅も十分に出来ていない頃です。その住所を目にしただけで「よくこんな時に」とうるうるしてしまったのですが、さらにそのハガキにはこう書かれていました。

「新しい楽しみをありがとうございます。元気が出ました」


残念ながらその地域には新しい本が届くすべがない時期です。ハガキの送り主の方は、友達からの差し入れで手に入れて読んでくれたとのことでした。

「新しい楽しみをありがとうございます。」

とても重いその言葉に、むしろこちらが大きな勇気をもらったのを今でも鮮明に覚えています。


人は楽しみもないと生きていけない。

「新しい楽しみ」を届けて、少しでも元気が出る人が増えるように。

少しでも早く事態が終息することを願いながら日々の仕事に励みます。



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