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小説家・漫画家にとっての編集者とは? よい編集者の見極め方は?【創作者がぶっちゃけ気になるコトを、編集者にぶつけてみた(3)】

 覆面編集者ツッツーにインタビューする企画の第3弾。小説、漫画などの作家志望者が気になるもののひとつに「編集者」という存在があるのでは? 編集者の役割や、編集者から見た作家、さらには作家から見た編集者の見極め方も! 一部有料にて紹介します。有料部分は、もしかしたら業界初!? の<編集者を見極めるフローチャート>が付いています。(取材・執筆:とっちー)

作家志望者は、知り合いに作品を読んでもらった方がいい?

――作家志望の人には、基本的に編集者が付いていません。知り合いに読んでもらい意見をもらうことについて、どう思いますか?

 うーん、どうでしょう……。常に肯定してくれる人や、前向きな人ならいいと思いますよ。「あなたの書くものが好き!」「すごく面白いよ」「いつも楽しみしている」と言ってくれる人ですね。逆に批評好きな知人には注意が必要です。基本的にはプロではないと思うので、そういった方に批評家的な意見を聞くと、創作上悪い影響を受けてしまう可能性があります。とはいえ、読んでもらうときに「必ず褒めて」と言うわけにはいかないので若干リスクがありますよね。

 つまりは、信頼できる人に見てもらうことが大事、ということ。例えば、デビュー前の作家志望者がオフ会で集まって読み合うような場合は、批判も多いのであまりおすすめしません。そんなリスクを負うくらいなら、たくさんの人の目に留まる投稿サイトの方がロジカルな分析が出来るので良いでしょう。

 小説や漫画を書く(描く)って、大変な作業です。集中力や精神力がすごく必要なので、それを否定されるととてもじゃないけどパワーが続かない。だから、やる気を削がないように、間違いなく「面白い!」と言ってくれる人がいいと思います。

編集者は、才能を見極める力があるの?

――編集者は、作家志望の人の才能をどのように見極めるのですか?

 投稿サイトなどでは人気がわかりやすいのですが、それで済むなら誰でもできます。だから、編集者には見極める能力があり、それを磨かなくてはならないと思っています。

 基本的には、作家志望者の才能は会って判断することが多いです。人間に対して興味がある人がいいですね。編集者は作家と結婚するつもりで相対します。作品は結婚した結果生み出された子どものようなもの。子どもが成功するかどうかは、お互いの生死に関わるわけです。だから、作家の人間性を見ます。

 また、強い内発的動機があること。「何かをやりたい」「表現したい」という思い。それは「大ヒットさせてお金を儲けたい」でもいいんです。それほど強いものを持っていないと、小説1冊分の10万文字という文章は書けません。漫画も同じ。例えば小説家志望の人で、10万文字を書き上げたことのある人は1割もいないんじゃないかと思います。

 会わずに作品だけで判断する場合には、表現するのは難しいですが「センス」を見ていると言えるかもしれません。文章力や日本語力は育てられますが、センスは人生が反映されます。ただ、編集者が担当している領域(ジャンル)でないと見極めは難しいでしょう。書店に棚がどれだけあるか考えればわかると思いますが、編集者がそれをすべて判断できるわけではないんです。

 僕がぐっとくるのは、発想力ですね。いろんなタイプがありますが、キャラクター造形力や、構成の順番などでしょうか。具体的に? そうですね、ドラマの例で恐縮ですが最近いいと思ったキャラクターは「過保護のカホコ」。過保護という切り口で、世間知らずな女の子という強烈なキャラクターを描いていくと、その周りの人物像も自然と固まってくるんです。

もしデビューできたら! どんな作家になればいい? どんな編集者についていけばいい?

――デビュー後のこともお聞きしたいです。編集者にとって、魅力的な作家はどんな人ですか?

 これも難しいですね。個性が強い方が求められますが、素直さも欲しい。貪欲な人がいい、とも言えます。極端に言うと、作家は「やりたいこと」を追求して、編集者は「受けること(売れること)」を追求します。それを両端で引っ張り合っているような感じ。作家が自分に引き寄せてばかりいるのもよくないし、編集者のいいなりになるのもよくない。「ここだけは曲げられない」という部分を持ちながら、相手の意見も聞けると理想的です。

――逆にお伺いします。作家から見たときのよい編集者の見極め方はありますか?

 作家同士で話していると、「編集者のアタリ/ハズレ」という話題がよく出るようです。

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