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散歩の固有とは 2022年4月3日週次投稿

週のはじめの記述ストレッチ。週次投稿でございます。
今週は自分の中で宿題になっていた散歩についての話題と、他にも思いついたらという感じで。



さっそくですが、以前に投稿した記事で、
散歩の充実感はいつ感じ取られるか
ということを書いてみました。

おかげさまで沢山の方に読んでいただいて、ありがたく感じているのですが、間違っていた、と思っていることがあったりします。 

それは、この散歩の充実感はいつ感じ取られるかという問い(のようなもの)の設定の仕方です。

この問いかけでは、散歩のプロセスにおいて充実感を得る具体的なタイミングを問題にしました。
前回記事では問いかけへの応答を用意することさえできませんでした。

でも考えてみればそれは、歩いている最中に、楽しかったり、気分がいいな、と思うタイミングとしか言いようがなさそうに思えてくるのです。

ただそうすると、いつが宙ぶらりんになってしまう。
ややもすると偶然という話題に足を突っ込んでしまう。
そして偶然は、それ自身において扱われることを極端に嫌う考え方である気がします。
するすると滑り落ちて、とても手に負えない。

なので記事の内容に則してタイトルを設定し直すなら問いの形ではなく、
散歩の充実感が感じ取られるとき
くらいにしておくのが良かっただろう、と。



さて、だとしてもタダでは終わらせられません。

仮に散歩中の人間の思考、想起のプロセスで偶然に充実感が感じ取られたとして、それが散歩の充実感と呼びうるのはどんな場合だろうか、という別の問題が頭をもたげてきました。
(同時に、充実感を感じさせる偶然の出会いとはその内面にとって、どういうものなのか、という話題もありますが、これはまた別の機会に。。)

散歩中のある内面のプロセスで偶然に充実感が感じ取られる。
そこに散歩固有の充実感といえるものはあるだろうか、ということです。
頭にいろいろな考えが想起されてそれがどんどん切り替わっていく。言ってみれば散歩をしていなくてもそういうことが起こっているわけです。

入浴の充実感、スポーツの充実感、というものはその行為に固有のものが何となくイメージできますが、散歩の充実感となると少しむつかしい。

ここからが今日の本題です。
それは散歩の固有性とはどういうものか、ということです。
まずはこれを考えてみないことには散歩充実感も考えられないだろう、と。

まずは辞書をひいてみましょう。
辞書で片付けばそれに越したことはありません。

(行く先・道順などを特に決めることなく)気分転換・健康維持や軽い探索などのつもりで戸外に出て歩くこと。
新明解国語辞典 第七版 散歩

なるほどなるほど。面白いですね。
つもりで、というところが特に面白い。
達成されるかどうかはわからない目的でもって散歩を説明しているわけですね。
気分転換になるかも健康が維持されるかどうかもわからない。
でもそのつもりで戸外を歩く、と。

クラシックな考え方でいえば行為に目的がある場合、目的は行為の原因らしいので、それをもって積極的な説明と言えるのかもしれません。

でも何となくですが少し誤魔化しを感じてしまいます。
その違和感は、散歩ってそんなに特定の目的意識と結びついていたっけ、というものです。

辞書の説明に則して問いに立ち返ると、
散歩の充実感は例えば気分転換が成就したときに得られる、
というものになってかなり収まりがいいのですが、どうしても違和感が拭いきれない。

散歩は解放だ、ということを仰っている方も他の記事で見かけました。
すごくわかるし、それを期待することもある。
でも足りない。同じ違和感にぶつかってしまう。

なるほど、これは辞書の説明が自分の中のマイナーなものへのこだわりを前景化してくれたということになるのかもしれません。

マイナーな散歩の有り様。
散歩の固有のマイナー性。

そういうものがあるだろう、という意地を。

そういったマイナー性を巻き込んだ散歩の固有性を考えるという新たな宿題がでてきたところで今回はお終い。

今回も結論らしいまとまりを書くことができず読んでいただいた方にすこし申し訳なさを感じます。
えっちらおっちらでしか考えをすすめることができず。。



今日の散歩では、コナラやクヌギ等といった15メートルを超えるだろう高さの樹木が植生する林の中に、同じくらいの高さで花を咲かせているヤマザクラが目に止まりました。

街路樹の散っていくソメイヨシノとは別の高さから落ちてくる桜の花びらが、自分の頭上のずっと上に少しずつ芽吹き始めた木々の曖昧な緑の地にまじっているヤマザクラのものであるのに気づいて、しばらく見とれていました。

何がそこまで自分の心をうったのかわかりません。
来年も見られればいいという期待に重なる想像の場面に、そこに飛んでいたかもわからない鳥の地鳴きが響いています。

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