“チーム急ぎ足” 考

今朝、家を出て暫く歩いて曲がり角を曲がったら、前方にお爺さんが荷物で膨らんだリュックを背負って歩いているのが見えた。

その少し後で、お婆さんがトートーバッグと、更に斜め掛けのバッグを持って歩いていた。

お爺さんとお婆さんで、勝手にこの二人は夫婦だと推測してしまったが他人かもしれない。

何故なら二人とも無言で、横に並んで歩いていない。ただただ駅の方へと向かっている。
私も遅刻しそうだったので、はや歩きで追いかけた。

私と二人の無言具合は、まるでベテラン職人のようだった。

「駅の方向へ歩くのに集中している時は、余計なお喋りは致しません。」

そういう、この道何十年かのベテラン急ぎ足職人みたいだった。

私とお爺さんとお婆さんの妄想上の急ぎ足チーム…、“チーム急ぎ足” はしかし、後ろから来た自動車で離ればなれになってしまった。
お爺さんとお婆さんは足を止めて自動車が通り過ぎるのを待っていたが、私はあろう事か車の通れない狭い道まで小走りで掛けてしまったのだ。

後ろをチラリと振り向いてみたけど、二人の姿は無かった。
こうして “チーム急ぎ足” は、方向性の違いにより解散しました。

解散後ソロで活動というか、普通に歩いていた私は駅に着いてホームで、いつもより増量中の汗を拭きながら電車を待っていた。

中央線なので、早目に来てもやっぱり遅れていて人がギュウギュウだったのでこの電車は見送った。
ホームにいるのは私だけになったが、直ぐに階段を上って来た人達で増えていった。
暑いせいか、皆ヨロヨロ歩いているように見えた。

その中に、さっき解散した “チーム急ぎ足” のメンバーがいた。
お爺さんの後ろをお婆さんが歩いている。やっぱり会話をしていない。
二人も中央線に乗るのだな。

そしてやっぱ、夫婦だよね？旅行だよね？東京駅まで行くのかな？ 荷物が少ないから、近場の旅行かな？ それか、美術館巡りとか？か、シャンシャンさんを見に行くのかな？？

二人は先頭車両の方に行ってしまったので、“チーム急ぎ足” の再結成は叶わなかった。
しかし “チーム急ぎ足” はメンバーそれぞれが夢に向かって頑張っています。
これからも応援宜しくね。
嘘です。