見出し画像

新型コロナウイルス感染拡大に伴うイベント自粛に思うアレコレ

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、日本政府は大規模イベントの自粛要請を発表。以降、沢山のミュージシャンのコンサート、ライブの中止が発表された。

要請のタイミングの話だとか、そもそもウイルス蔓延に対する対応の甘さだとか、確かに思うことは山のようにあるが、そういうことをこの場で論じるのも何か違う気がするので割愛する。

ただ思うのは、中止になったコンテンツには沢山の人が関わり、其々が其々の思いを持って臨んでいたということである。

たとえば、今日東京ドームで開催されるハズだったPerfumeの公演。今回の彼女達のツアーは、結成20周年、デビュー15周年を記念する節目のツアーだった。ベスト盤を携えた、彼女達のオールタイム、そしてこの先の未来を想うツアーだった。更に今日は本来であれば千秋楽。ツアーファイナルとなるはずのライブだったのだ。

あるいは、土曜日にZepp Tokyoで開催される予定だった打首獄門同好会のライブ。47都道府県ツアーを経た打首獄門同好会初のワンマンツアーのファイナル公演となるはずだったライブも中止となった。彼らにとっては珍しいワンマンツアー。そのファイナル公演も今回の要請をキッカケに中止となってしまった。

04 Limited Sazabyzの「MYSTERY TOUR」の仙台、東京、広島、福岡公演も中止が決定した。この「MYSTERY TOUR」は各会場それぞれ、当日まで対バン相手のバンドが分からないという奇抜なツアーだ。つまりこのツアーが中止になったことで、仙台、東京、広島、福岡公演に本来出演予定だったバンドは人知れぬまま中止となってしまうこととなった。

他にも、今日開催予定だったEXILE、ファンクラブ公演となるはずだった星野源、米津玄師、back number、E-Girls、福山雅治、浜崎あゆみ、UVERworld、MAN WITH THE MISSION、Da-iCE、サカナクション、ORANGE RANGE、WACK、Fear,and Louthing in Las Vegas、ザ・チャレンジ…他にもここに書ききれないほどのミュージシャンやバンドが今回の感染拡大と要請を理由にライブを中止、もしくは延期の発表となった。

それぞれミュージシャンも、そして参加予定だったファンも、強い思いを持って公演に臨もうとしていたことは言うまでもない。皆、1回1回の公演に全力なのだ。

そして、これらのライブ中止、延期に伴う補償は無いとされる。全てミュージシャンの所属する事務所による負担だろう。

先日放送された「ワイドナショー」でも指原莉乃が感染症による中止・延期に対して保証は下りないと話していた。

指原莉乃のこの話を今回のケースに当てはめれば、今回のケースで保険は下りないのだろう。

当然、ライブがキャンセルになろうと費用は発生する。会場のレンタル代、機材のレンタル代、広告費に既に制作済のグッズ代。そして人件費。たった1日のライブ中止だけで、事務所は多大なる損失を喰らうことになる、ということは想像に容易い。

先日、コロナウイルスによるインバウンド減を受けた愛知の旅館が経営破綻したとの報道もあった。

インバウンドを見込んでいたこの旅館と、芸能事務所では境遇こそ違えど、この状況が続くのであれば、ミュージシャンの所属事務所も他人事ではない。大手事務所ならともかく、規模の小さい事務所であれば尚更である。

「音楽」は「娯楽」だ。空気や飲み物、食べ物とは違って、無くても生きていける。だから今回のような自粛の要請は、同じく密室で長い時間を共有する「受験」やパーソナルスペースが自然と近くなる「電車」のような、生活インフラやその後の生活に密接に関わるモノよりも真っ先にやってくる。この国は「娯楽」を軽視していると僕は常々思っているが、今回に関してはやむを得ない部分もあると思う。

しかし、それでも。僕や、僕だけでない沢山の人達が「娯楽」に支えられて生きている。音楽だけじゃない。沢山の「娯楽」が人々の心を勇気づけて、それが日々の暮らしの糧に、支えになっている人がこの国には沢山いる。

だからこそ、この国のエラい人は「娯楽」を舐めないでほしいし、救ってほしいとも思う。少しでも良いから今回の中止・延期に対して補償をしてあげてほしい。演者だけじゃなくて、その後ろに居る幾多もの裏で動いている人達も含めてなんらかの救済措置を与えてほしい。ただ自粛を要請しただけで何の責任も取らないんじゃなくて、ほんの少しでも良いから「娯楽」がこれからの日本でも在り続けるような手を打ってほしい。誰かが不利益を被るような形で済ませないでほしい。じゃないと、本当に今回の一件を契機にこの国のカルチャーやコンテンツが共倒れになってしまう。

「娯楽」の先には、その「娯楽」で飯を食っている人がいる。ウイルスを防ぐためにその人たちが飯を食えなくなって死んでしまうならば、それは本末転倒なんじゃないのか。

音楽に、カルチャーに、「娯楽」に携わるすべての人が幸せになれる社会で在ってほしい。今日は、そう願うばかりの1日だった。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

社会人の傍ら、ライターを目指して奮闘中。サポート頂けたら励みになります。ライター活動の資金にさせていただきます。