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違いを楽しむためにできること

written by 小池恭久

新型コロナの感染拡大が始まってから一年が経ちました。私は中国上海に駐在していますが、多くの日本人駐在員が一年以上一時帰国することもできない状況が続いており、家族に会えずストレスがたまっているという方が多くいらっしゃいます。

コロナ禍でさまざまな規制や変化に直面し、世界中の多くの人々が、これまで経験したことのないほどのストレスを経験しているのではないでしょうか。

そのような状況下、日系企業の駐在員の方から、改めて次のような相談を受けることが多くなりました。

- 中国人社員のモチベーションの上げ方がわからず悩んでいる
- 自部門のことだけ考え、責任逃れをする部下とのやり取りに疲れている
- 文化的背景が違うことは理解しているが、それをどこまで許容すべきなのか迷っている

これまで以上にストレスを抱える生活の中で、改めてこういった課題を強く感じるようになる人が増えているのかもしれません。

何のためにコミュニケーションをとるのか

駐在歴8年の私や、私の部下である中国人コーチはさまざまな質問を受けますが、最終的に聞かれるのは、次の事です。

「一般的に中国の方はどう考えるのでしょうか?」

「人前で叱ることはしない方がいい」、「カタカナはあまり使わない方がいい」「発展空間こそが重要である」など、中国人と働くにあたって一般的に言われることは数多くあります。

そうしたアドバイスをしようと思えばできますが、じっくりと話を聞いていくと、中国人とのコミュニケーションが上手くいかずストレスを感じている方が多いという事実が浮かび上がってきます。言語の問題もあるでしょうが、日本では以心伝心、阿吽の呼吸で進んでいたことが、同じようには進まずにストレスを感じているようです。

一人ひとりとどれくらいコミュニケーションの時間を取っているのかを尋ねると、みなさんコミュニケーションはとっているとおっしゃいます。

続いて、部下の方々について、

- なぜこの会社に入ったのか?
- どのような家族構成か?
- 一番の自慢話は?
- どのようなキャリアを歩みたいと思っているのか?
- といったことを尋ねてみると、

「そこまで知らないですね・・・」

と絶句される方が多い。

一人ひとりと、仕事の話はするものの、その人自身について知るための時間を十分に取れていないことが多いようです。

以心伝心は、お互いが同じコンテクストを持ち合わせているからこそ成り立つもの。

お互いがどんなコンテクストをもっているかを知るため、あるいは創り出していくための対話なしには、以心伝心など成り立たずストレスがたまる、という負のスパイラルに陥るだけでしょう。

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【参考資料】
高橋徳著『オキシトシン健康法』(アスコム)、2016年

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筆者情報: 小池恭久
高起企业管理咨询(上海)有限公司(中国現地法人)総経理
自身の経験を活かした多角的経営視点にたったコーチングを得意とし、現在は上海にて日本人駐在員の異文化マネジメント力向上や、次世代幹部候補のリーダー開発、組織横断コミュニケーションをテーマに、複数の日系企業組織変革プロジェクトをマネジメントしている。「生まれながらのリーダーはいない」を信条とし、クライアントが固定観念や先入観を自己認識し、ダイバーシティを受け入れることで、業績の決め手となる現場を動かすリーダーを輩出することを目指したコーチングを実施。

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