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物語

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2020年8月の記事一覧

闇中航路

狂った猫のあとを追う 暗がりを抜けて 森の中 いつの間にか 夜 辺りは殺気だって ピンと張りつめている もう帰ろうと思ったら イキナリ 蛍光色のオレンジを着た老人が 4人出てきて なんだか生温い 風が吹いて そのままオレは 気づいたら ネコになっていた

呼吸の隙間

ブラウスに 春の風 教室に ムラサキのもや チョークの臭いで 何だかなあ ヒラヒラ揺れる 光の輪 たくさん傷つけた 肌色の肌 また逢おうかと 戸惑う 帰り際には 風のメロディー 2月7日 殺した 私の想い 窓の向こうで はしゃいでいたら 落ちてしまった 夢心地 暗くなる部屋 チャイムの鳴らない トイレの小さな 機関室 プール干からびたまま 私を写す しんきろうの鏡 実はあなたのこと 恨んでた 実は今朝も 妄想 殺す 妄想 宙を飛ぶハエ 風に負けて 地を這うだけ 身体の

四次元娘転送中

クーラーボックスに 閉じ込められた 夏の匂いを 追いかけて 追いかけて 空調の悪い 殺害現場へ 気怠い首を鳴らす 窓際に 蝉の死骸 ナンマイダ ナンマイダ… 風変わりな制服 ハイソックス 緑色のカラーコンタクト 刹那 街は黒く 一瞬死んだような 気 さようなら 指で書く 震える指が 「クシャッ」 問いかけた 家どこだ 水色のシューズはもう 雨に溶ける 重圧が程良く 踊れなくなる 白いイヤホン 爆竹みたく轟く 唸る うねる じゃあ行く 首謀者をかくまって 体の中 散切れる瞬間

FANTASY

シチューの中から 世界につながる 目まいのアトで 着いたラビリンス 鏡で埋めつくされた カベ テンジョウ ユカ 映らないものは 私以外のすべて あなたを探すファンタジー すぐに飽きてしまった 私をつむぐファンタジー すぐに見つけてしまった 形を変えた世界は 光に満ち溢れて 私はまぶしすぎて 目を開けなかった サヨナラ サヨナラ

永眠

悲しい事があるとすぐ眠る癖直せよ なんて彼に言われたから トンガリ口で宙を仰いで見る 透き通った青空に変な輪郭の雲 死ぬ間際の会話がこんな感じなら嬉しい 夢は1本のシネフィルのよう 様々な変化を先読みしても すぐに裏切られる 続きが見たくてまた眠る 時間の浪費を繰り返して また彼が笑う 死んでるみたいだな 死んでなんかない 夢を見てるんだ

PURE DANCE

埃を被った トウシューズ 私の 蜜を吸って 本末転倒 汚い過去 チケットを売ったり 買わせたり 醜い事だと思えば 罪 それ以外は 嘘 ベルが鳴って 肌が収縮したの わかった トラベルバッグはまだ 沼の底 いつでも笑える 酷く悲しんだ後でも 空に澄み渡る 紫色の雲 血がでる爪先 観ていただけ そう言うつもり ピスタチオの殻 飛ばしてた 競争しながら 勝てるわけなんかないわ 知ってた この世の最後はどうか 私にください

めずらしい犬

だれにもなつかない しっぽはふらない 舌ださない はしゃがない めずらしい犬 交尾はしたくない えさはあんまり要らない たまに噛みたい 殺したい めずらしい犬 知らない街に出て 迷い迷い夢の中 雨を凌げる屋根が あればいいがそれもない 虹が出たら見上げて たまに吠えたり鳴いたり だれにも聞こえない 声で 愛など見たくない 恋などしたくない 自分のことが わからない めずらしい犬

そうさ僕らは

天気は雨 外の暗がりに潜む影 戦気はなしで 立ち向かう鬼の住処 喜びが欲しくて 悲しみがジャマで 手を振る人たちに背を向けて 行く 換気はオーライ 街は今もまだから騒ぎ 天使のように 見下ろす気分はちょっとドライ 手招きされるままに 後ろ髪をほどくように 落ち着くふりをして目を覚ませ 今 ようやく僕ら 取り戻せたのかもって 間延びしたタイムレス 埋め合わすように 喋り出したら止まらない ちなみに僕は 気晴らしみたいな顔して そんな彼らをちょっと無視して 笑ってみたり