マガジンのカバー画像

物語

242
物語っぽいうたをまとめていきます。
運営しているクリエイター

2020年7月の記事一覧

図鑑の中で

忘れ去られないように 深く知ってもらいたい たまに思い出せるように 写真も入れてもらいたい ページが擦れて破れて 古文書みたくなるまで 穴が空くまでみて欲しい 穴が開いても捨てずに いて欲しい 名付けられた名前なんかは やがて意味のなくなるもの 顔や皮膚の姿形 そのすべてが輪郭なのだ 種類別に分けられて アイウエオで分けられて 僕らなんだか似ていない 緻密に書いてもらわなきゃ 困るさ

スーパームーン

うんこの出ない夜に あの子のことを思った スーパームーンが今夜 強く輝いていた 僕はゴムの手袋はめて 括約筋をさする 毎日がスーパームーンならいいのに さりげなく夜にとろけれるのに 毎日がスーパームーンになったときには 君の夜にもやさしみが降り注ぐでしょ

結婚してください

驚かないでほしい これは本当の話さ 昔話じゃない 事実さ あなたが今見ている 私の身体の中には ちょうどすっぽりおさまる悪魔が いる 鼻の穴からは目を 覗かせてあなたを見ている 尻の穴から出ては部屋を うろつく 文字や言葉などがなくても 意思の疎通が成立する 姿形を見たものは 闇の帳に葬られる 嫌だろ 不気味で こわいだろ 俺はそういう男だよ 一生キミを守るから 僕と結婚してください

あの人

ピクルス抜いたハンバーガー ロールアップ緩めのブルージーンズ ネコ水舐めてた芝公園 箸を落とした鰻屋さん 再放送の第7話 象さんジョーロ、ミニサボテン C級丸出しゾンビ映画 剥がさずふやけた絆創膏 あの人あの人あの人のこと あの日とあの日のあの人のこと 麻布パチンコ3連チャン アメリカンポリスなサングラス ジャリまで食べてた池の鯉 引っ越し祝い遮熱カーテン 星座の名前ネット検索 借りパクしてたブルースリー 高速インター合流ミス ニキビみつけた耳の裏 あの人あの人あの人の

髪は紫

好きよ いつまでも 髪は紫 人混みに 紛れても 見つけやすいでしょ 好きよ いつまでも 髪は紫 隠れても ううん無駄よ いつまでも一緒 ねえ 願い事は 夜空の星ほど ホクロの数だけ 叶えてね ねえ 奥歯抜いた 後みたいな 膨れたほっぺに キスしてね 好きよ いつまでも 髪は紫 色落ちを したつむじが 瞳みたいでしょ 好きよ いつまでも 髪は紫 ほろ苦い この痛みが 愛の証でしょ ねえ ネオンの赤 と煙の中だと あっちの世界が 見えるのね ねえ 焦げ茶色の カサブタ剥が

愛を食べて

朝昼晩 空腹を満たすだけじゃ 足りない 愛の威力 みくびると 仕事に響く ビートルズが 愛を歌うより早く この世では 万物を創り上げ 時に壊し合った そんな宇宙論的な 銀河系的な ことばかり あなたがいないせいで 考えてる メシも喉を通らない! 青くて青過ぎる 私は子供よりコドモなんだ いくら駄々こねても あなたの変な癖も 妙なボケも 謎なぞも もういない 滝のように 嵐のように 流した涙+α どこにも行けない 顔も洗えないよ 鏡越しに あなたが化けて出そうで 増え

潮騒

海の匂いがする彼女の 耳の穴、潮騒。 葬式帰りの路上で、 クシャミをしていた。 素っ気ないんだかどうだか、 お経がまだ残ってる、でも なんとなくだけどあの現場、 笑っていた?まさかね。 だけど吃驚したのよ、 校舎裏の草叢、 あんな姿であなたが、 発見されるなんて。 あなたの掌、海の砂 手をつないだ、一度だけ 吃驚したのよ。 私のせいじゃないよね。 海の匂いがした彼女 耳の穴、潮騒。 葬式帰りの路上で、 クシャミをしました、私。

母の小窓

ご飯をつくって夜眠る 猫を静めて朝が来る 洗濯物はもうないの? このシャツアイロンかけないよ 騒がしいニュース露しらず テニスウェアに着替えます とても大変 お母さんって とても大変なお仕事ね とてもイビツな生き物よ お母さんってUMAみたい 真夜中過ぎに目が覚める 牛乳飲んでまた眠る 土日は夕飯食べないの? エアコン点けっ放してたよ クロスワードの穴埋める 犬のCMで笑います とても哀しい お母さんって とても哀しい生き物よ さよならなんて言わないわ 笑ってばかりお疲