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上げが止まらない米国株 3主要株価指数は市場最高値を更新

マネックス証券 チーフ外国株コンサルタント

岡元兵八郎  

11月の1ヵ月間で10.8%上昇したS&P500指数ですが、12月に入ってもそのモメンタムを継続しています。S&P500 指数は12月最初の4日間で2.1%上げ、12月4日金曜日には3699ポイントと史上最高値を更新しました。ダウ工業株価指数とナスダック総合指数も同日共に史上最高値を更新しています。

  今のマーケットには新型コロナウィルスワクチン接種が12月11日にも始まるだろうとの期待感もあり、市場は暗闇のトンネルの先の経済回復を強く意識をし始めています。
8月には成立されるだろうと言われており今まで実施されなかった追加経済対策についても、先週になってペロシ民主党下院議長とマコネル共和党院内総務が協議を再開しているとの報道が流れ、早期の成立が期待されたことにも市場は好感しました。

  そんなマーケットでは、市場の上昇をサポートするエビデンスが散見できます。
先ずは、市場の裾野が広がっていることです。
ニューヨーク証券取引所に上場している銘柄のうち200日移動平均線を超えている銘柄の割合が現在86%と非常に高いレベルに達しています。これは10月末の48%から比べると38%ポイントほど上昇、限られた銘柄だけが上昇している訳でなく、多くの銘柄が上昇、マーケットのすそ野が広がっていることが確認できます。

  次に、市場ではセクターのローテーションが起き、リーダーシップの交代が起きつつあることです。リータシップの交代とは、グロース銘柄からバリュー銘柄へのシフトのことです。
11月に入ってからバリュー株指数がグロース株指数をアウトパフォームしていますが、12月の入ってからもその流れは変わっていません。
12月最初の4日間でS&P500は2.1%上昇しましたが、その間S&P500グロース指数が1.7%上昇する一方、同バリュー指数は2.9%上昇しています。2007年から長期に渡って続いてきたグロース株のアウトパフォーマンスですが、今回大きな転換点を迎えたのかもしれません。
  S&P500指数のグロース指数とバリュー指数の大きな違いですが、グロース指数は情報技術セクターのウエイトが高く、バリュー指数は金融とヘルスケア、資源セクターのウエイトが高いのが特徴となっています。先週の銀行株や資源株の上昇などがバリュー株指数を押し上げています。 

  今年の米国株市場の上げについての懸念の一つは、GAFAM銘柄が市場を牽引し、市場全体に占めるGAFAM銘柄の割合が高すぎないかというものでした。最近の市場全体の上げで、GAFAM銘柄が下がっているかと言いますと、決してそういう訳ではありません。12月に入ってアルファベット(GOOGL)は4%の上げ、アップル(AAPL)は2.7%とS&P500をアウトパフォームしています。
  そもそもコロナ禍に置いて、GAFAM銘柄は市場全体の収益の伸びを超える成長があるから買われた訳です。では、今後バリュー銘柄の収益が伸びるからGAFAM銘柄の収益が落ちこむのかというとそういう意味ではありません。GAFAM銘柄が引き続き長期的に成長するという成長ストーリーに変わりはないと思います。よって、今後GAFAM銘柄の株価が調整するような局面があれば、長期投資家にとって、そこは長期投資用のポジションを作る絶好の買場だと考えています。

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