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【告知】辻風の巷へ。2/2谷底演劇「野良犬/北区桶狭間」

奈良以来1500年にも渡ろう辻芸の身体。現代にも大道芸の方々は豊富にいらっしゃいますがそれはそれ。田楽は初め専門職ではなく農事の合間に農民自身が遊んだものだったといいます。芸能とは巷間理解されているよりもっと生活そのものだったのではあるまいかと思っています。戊辰後の無聊を慰めるように生まれた壮士芝居や大道演歌、見世物の撃剣などはまだしも記録に残っている(し、私の世代はギリギリその名残りを見届けてもいる)。問題はまるで残らなかったあまたの暮らしです。今なお、見る見る失われつつあるあまたの芸。その幻を、ごく幻のようにお見せしてみたい。これが今回の谷底演劇です。

「野良犬」は何年か前に鈴鹿の女子中学生が本当に起こした大根100本盗難事件を元に書きました。どうやって運んだかも分からないに、あまっさえ彼女はそれを道路に並べて車に轢かせて毀れる様の音や香りを身に受けていたという。それはいったいどんな詩なのか、計り知れるものではありません。「北区桶狭間」は上野彰義隊の後方支援軍として実在した田無と飯能の別動隊を描いています。新政府軍の実力を見誤りあえなく全滅しその戦果も思想も後世に伝えられることのなかった一群のさぶらいども。今回7人の出演者が演じますはことごとくが愚か者。歴史のひだに埋没して忘れられるに決まってる人たちです。

王子駅前の谷底で行います。JRの北口出まして左に行きますと親水公園口。出るとすぐもう谷です。両岸に舗道がありますが、駅を背に「左側」(右岸)の小道を進んでいただきますと、大きく谷がカーブしたすぐ先でやっております。2/2の13:00からです。前説もなく始まります。演者は谷底におりますが、警察などとのアクシデントに巻き込まれるおそれがありますのでお客様は谷のへりから見下ろす感じでご観劇ください。雨天雪天決行です。

1時間ほどしますと会場移動です。あまりひとところにいてはまずいのが辻芸、奈良の昔から取締りの対象です。左岸伝いに音無川(石神井川)放水路を10分ほど遡り最初の橋を渡りますと右岸に旧流路の蛇行部を利用しました音無さくら緑地というほぼ無人のエリアがございます。都会の真ん中によくぞ残った深閑とした一角です(ここへの道行きは先導いたします)。ここにて両演目の大詰めを。こちらは通報のおそれが少ないため演者と同一平面でご覧になって大丈夫です(写真)。以上、移動を含め2時間超えになりましょうか。終演とともに俳優は消え去り、後説も面会もございません。ただ空間だけが残ります。


平原演劇祭2020第2部谷底演劇「野良犬/北区桶狭間」

2/2(日)13:00-15:00

王子駅前某谷底(途中会場移動あり)

観劇無料、悪天決行

出演:空風ナギ、石村奈緒、伊波悠希、くわたさとみ、すぎうら、ひなた、武田さや

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