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私たちが目指す訪問看護~ていねいさ~


私たち『は~とふる多摩センター』がモットーである『地域に根差したあんしんケア』の精神をカタチにするために、大切にしている「目指す姿」が以下のとおりです。

やさしさ
ていねいさ
わかりやすさ

今回の記事では、原則のふたつめ「ていねいさ」について、少し詳しめにお伝えできればと思います。端的にいうと「日常の所作について、同じことをするならば雑にするより品よくできるように頑張りたい」ということになります。


所作における「ていねいさ」

たとえば、物を置く動作を雑にしてしまうと、ガタッと硬く強い音がします。レストランでホールスタッフがお水を差しだす時に雑にテーブルに置かれて驚いた経験はありませんか。在宅療養で日常をごゆっくりお過ごしの方や精神的に不安をお持ちの方であればなおさら。一部の方がお使いの補聴器も品質によってはこのような硬質な音を敏感に拾ってしまうことがあるそうです。

切ったテープを近くの椅子のヘリにペタペタと貼り付けてしまう。容器に水を注ぐ時、勢いよくジャバジャバと跳ねる水滴をまき散らしながら入れてしまう。ご利用者様の頬にかかった数本の髪の毛に気付かない、または気付けないなど…普段の生活での何気ない行動の中には、振り返って一度考えると、少しの見直しで大幅に改善できる所作が意外に多いものです。

シンプルに考えれば「冷たさより温かさ」「硬さより柔らかさ」「暗さより温かさ」「強さより優しさ」「下品より上品」などのように、物事を二択に捉えれば、どちらが療養者に対する所作としてふさわしいか明らかです。しかし、支援する私たちはそれなりに元気に日常を過ごせているせいか、静寂のありがたみをつい忘れてしまったり、多少のエラーが出ても結果を出すことが優先されがちな世界に生きているために、所作の「ていねいさ」に鈍感になってしまいがちです。「中の人」である私自身が一番気を付けなければならないのではないかと思うくらい、未熟さを痛感せざるを得ません。


言葉づかいにおける「ていねいさ」

所作のほかにもうひとつ「ていねいさ」を心掛けたいと考えるのは、言葉づかいについてです。

医療・介護の業界は、他の業種と比較して接遇における言葉づかいについての成熟が少し遅れているように感じています。なかでも気になるのは、支援者が利用者様に対して発するいわゆる友達口調、俗にいうタメグチです。

他業種から参入した私自身、看護師さんもヘルパーさんも、支援を生活の糧とされている方々は皆さまとても真面目で誠実だと痛感しています。目の前の利用者様に対して心から健康と安定を願いながら、時にはご自分の損得を顧みずひたむきにお仕事をされている様子を何度も目にしています。結果として、そこに親しみやすい空間が作られ、お付き合いが長くなるなかでご利用者様の満足度も高まり、相互で絆が深まりケアの質が高まることになります。

一方で、そのフレンドリーさの延長線上で、支援者のなかには「敬語は堅苦しいので」と、ある意味親しみの表れとして、つい友達口調になってしまう方もいらっしゃるようです。在宅療養者の多くはご高齢者。皆さまとても謙虚で、なかには子や孫のように若い支援者の来訪を心待ちにしておられる方も多く、友達口調容認の空気が作られやすいことは確かに間違いありません。しかし、私たちはご利用料金をいただいて提供しているサービスであるということや、すべてのご高齢者様がフランクな対応を歓迎しておられるとは断言できないことを考えると、所作同様、品の良い、感じの良い接し方が望ましいと考えております。


なぜ、「ていねいさ」が大切なのか

確かに、「目の前のご利用者様が喜んで受け入れてくださっているんだから、どんな接遇をしていても、現に親しんでもらえているからいいじゃないか」という主張も存在するかもしれません。

しかし、は~とふる多摩センターの立場としては、私たちは世間から許認可をいただいている「社会集団」であり、地域の「社会資源」であると見据えています。利用者と支援者との間のみで許されることでも、少し遠巻きの距離から様子を見ている周辺のご家族やご関係者、多職種等の目に、その光景をどう映るかを想像する力が必要だと考えます。

フランクな対応が許されるのは、そのケアがいつでもミスなく完璧にこなされている場合のみです。何かの誤解でその関係性に影が落とされた場合、それまでのなれなれしさにも似た対応ゆえに、修復不可能な事態にまで発展する可能性だってあります。今風な言い方をすると「蛙化現象」と表現すればいいでしょうか。そうなったら、健康と安全、安楽を願うケアどころではなくなってしまいます。

余談です。私は毒蝮三太夫さんが大好きなのですが、あの方は毒舌キャラクターが世間に容認されているからこそ、その裏にある相手への尊敬が際立ち、老人ホーム慰問での一見失礼とも思えるビックリ発言を、高齢者様たちはむしろ期待し、喜び、笑い、「いやーおかげで元気になった、マムシさん来年も来てね!」とおっしゃるのだと想像します。あれはあの方の素晴らしい「特殊能力」なのだと思っていますし、一般にはあの境地を目指すべきではないのだろうなとも思います。

「中の人」である代表シバタも、プライベートでは、実家で父親が訪問看護を利用しており、さしづめ私は利用者家族です。提供側、利用者側のダブルスタンダードを大切に、事業所が進むべき道をいつでも深く考えていきたいと思っています。


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