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日本を代表する“ラムヲタ”である国樹由香(漫画家/DJ)によるRAMMSTEIN最新作『Rammstein』最速全曲レビュー!!

文◎国樹由香(漫画家/DJ)

RAMMSTEIN『Rammstein』

2019年5月17日発売

ユニバーサル ミュージック


10年ぶりのRAMMSTEINの新譜。期待が大き過ぎるぶん不安も大きかったのは否めない。だが、彼らはそんな私をあざ笑うかのように、最高で最強のアルバムを作り上げてくれていたのだ。ヘビロテ必至。待ち望んでいたファンはもちろんのこと、RAMMSTEIN初心者の方々にこそ味わって欲しい。極上のRAMMSTEINを!

1. Deutschland / ドイチュラント(ドイツ)

いきなり心臓を鷲掴まれるスリリングなイントロ。今までと違う曲調に驚くが、ティルの声が聴こえた途端RAMMSTEIN節に。先行公開MVの凄まじさにKOされたRAMMSTEINビギナーさま多数。アルバムの最初を飾るにふさわしい名曲。


2. Radio / ラディオ(ラジオ)

人気曲「Links 2-3-4」(3rd『Mutter』収録)を思わせる小気味良いリフと軽快なキーボードに自然と体が動いてしまう。すぐ一緒に歌えるキャッチーなサビもさすが。だが歌詞は東西ドイツ分裂時代がテーマで、とても考えさせられる。


3. Zeig Dich / ツァイク ディッヒ(姿を見せろ)

オペラのようにドラマティックな始まり。美しいコーラスに続いて、ギターやドラムがどんどん重なっていきワクワクする。ティル・リンデマン(Vo)の囁くような歌い方に引き込まれるうち、力強く訴えかけてくるサビへ。実に演劇的。

4. Ausländer / アウスレンダー(異邦人)

新作はフラケ・ロレンツ(Key)が大活躍。こちらも印象的なキーボードで始まる。展開がとても面白く、耳に楽しい。数ヵ国語をアクセントに取り入れている歌詞も興味深い。ソロ活動で表現の幅が広がっているティルに酔いしれた。

5. Sex / セックス

静かで綺麗な旋律が流れたのちのタイトなドラムが気持ちいい。挑戦的なタイトルに対し、聴きやすいメロディ。サビの巧みさが、まさにRAMMSTEIN。知らず我々はタイトルを共にコールしてしまうだろう。

6. Puppe / プッペ(操り人形)

ギターの優しい音色。ティルは語り部のごとく囁くように歌う。この静けさがとても恐ろしい。激しく曲調が変化し、RAMMSTEINお得意の不安感があおられる旋律と、叫ぶような歌声。是非歌詞を読みつつ味わって欲しい。

7. Was Ich Liebe / ヴァス イッヒ リーベ(俺が愛するもの)

ゆっくりとしたリズムに美しいメロディ。人は静かな音だと耳を澄ますもの。じっくりと曲世界に浸っていると怒濤のサビがやってくる。暗さと美しさが同居した一曲。タイトルに「愛するもの」と入っても甘くないのがRAMMSTEIN。

8. Diamant / ディアマント(ダイヤモンド) 

「Ohne Dich」(4th『Reise, Reise』収録)的な曲だが、ティルの表現力の豊かさときたら。明らかに昔より増している。彼の声に身を委ねているだけでいい。音の海をゆらゆらと小舟でたゆたう我々は、気が付くと岸辺に辿り着いている……そんな曲。

9. Weit Weg / ヴァイト ヴェック(遠く離れて)

近未来のサウンドのよう。RAMMSTEINは本当に今回いろんな面を見せてくれる。かつてのような速さは抑えめだが、じっくり聴かせてくれて飽きさせない。演奏陣はそれぞれいいが、キーボードの唯一無二さが際立つ。

10. Tattoo / タトゥー

彼ららしいザクザクしたギターリフが嬉しい。アルバムを通して感じるが、一筋縄ではいかない複数の顔を持つ曲がとても多く、これもそのひとつ。リズム隊がカッコよく、高揚感溢れる展開がクセになることうけあいだ。

11. Hallomann / ハローマン

恐怖とエモーショナルが交互にやってくるような、この展開は一体。煌めくように美しいメロディを繰り出すと思いきや、深読みしたくなる歌詞がたまらない。アルバムのシメにここまで壮大な曲を。すごいの一言。


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