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目つき

 元自衛隊のパイロットの方が仰っていた。パイロットには、パイロットの目つきがある。普通の人とは違うと。

ふむ、なるほど。周りがパイロットに囲まれて生活しているとあまり意識したことがないのだが、確かにそうかもしれない。基本的に緩んだ顔つきの人はいない。それと、パイロットがスイッチが入る瞬間の目つきは、一瞬鋭くなるのを僕は体感している。あの表情はパイロット以外見たことがない。突き刺すような目つきに一瞬なる。

僕の目つきは、どのように映っているのか分からないが、以前とは顔つきも目つきも変わった気がする。以前より鋭くなったと思う。それは、訓練で築いてきた。

目つきは、表情に表れ、全体のオーラとして表れる。

事業用操縦士試験の前に鹿児島空港に昼飯を食いに行った時のことだ。エスカレーターを降りながら、ふと横のガラス張りの自分の姿を見た。この時、瞬時に思った。

あぁ、こりゃ受かるな。

案の定、試験に受かった。自分を客観視した時に、そう感じ取っていたのだ。不思議なことに、試験が始まる前にその人が受かるかどうかだいたい分かる。そして、今まで外したことがない。これは、何もスピリチュアルな話ではなく、その人の表情、落ち着き具合、汗の量、等から総合的な雰囲気を読み取り、判断できるのだ。

そして、失敗例から学び、そうならない為に役を演じるのだ。試験に受かりたいなら、受かる為の役から入る。役は心を落ち着かせ、勝利に導くことができる。

訓練生に言われた。永瀬さんは、試験前なのに緊張していないように見えました。と。

そう、そう演じているからだ。緊張していると思ったら、あえて歩くペースを落とす。あえて周りを観察する。

だいたい、慌てふためいているキャプテンなんてどう思うか?僕ならそんなパイロットの飛行機には、乗りたくない。だったら、そうならないように対策を打てば良い。それは、自分で見つけていくものなのだ。じっくり観察しよう。そして、そこに落ちているものを感じ取ろう。