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部外者「誰よその女」

アメリカに来たばかりの私はthanksgivingという文化に馴染みがなく、なんなら存在すら認知していなかった。教えてもらったのはイベントの1ヶ月前。こっちに来て知り合った優しいおじいちゃん先生がThanksgivingとは何たるかを教えてくださり、さらには私をパーティーに招いてくれた。私はもちろんその日予定などなかったのでパーティーにお邪魔することになった

Thanksgiving とは

アメリカでは11月の第3木曜日に行われる。ほとんどの店が閉まり、学校も休みになる。祝日が少ないアメリカだからこそ国全体がお祝いムードに包まれる一年一度のビッグイベント。

私そんな重要なパーティーにお呼ばれしちゃったの?!大丈夫!?と思いつつも、滅多にない機会でワクワクを抑えきれない。一般的にThanksgivingではターキーやパイを出すらしく、それも私をワクワクさせる一因になった。実を言うと私はそのようなものを食べたことがない。母はアメリカンな食事をあまり好まないため食卓に出てきたことがなかったのだ。

ターキーを丸一匹出す。そしてアップルパイもホールで用意してるよと言われた時、これは新しいことに挑戦できるチャンスだと思った

当日、手土産を持って先生宅へ。家には私よりも年上のお孫さんがいた。マッチョでタトゥーも入っていたが顔はとても優しそうな方だった。親交を深めようと話のネタを考えているところにチャイムが鳴る。笑顔で玄関に向かうお孫さん。
おっ、親戚の方かしら。しゃんとしなくちゃ

来たのはお孫さんの彼女とその母親だった


!!???!?!?!

メンバーをまとめると

  • R 夫妻: 私をパーティーに誘ってくれた老夫婦

  • お孫さん: R夫妻の孫で、彼女持ち。Thanksgivingに彼女とその母親を家に招いている

  • 彼女: R夫妻の孫の彼女。

  • 彼女の母: 英語は喋らないそう。彼女の母とMs. Rは国籍が同じなのでとても仲が良い

こんなことある?恋人とその家族同士が集まった席によく分からん日本人留学生は部外者過ぎないですか?なんでそんな席に私呼ばれてるの?!絶対お孫さんと彼女さんでイチャイチャしたほうがいいよ!!なんで私いるの!!??!

とパニックになったがメンバーは揃ってしまった。乗り切るしかないと腹を括って席に着く。こちとらコミュ障ですよ。気まづ、吐きそう…….

美味しそうな豪華な料理が机の上に並べられていく。すると

「やつくん、日本には食べる時のお祈りがあったよね?やってみる?」

おじいちゃん先生が言う。海外には「いただきます」などの食事前の言葉がないとばかり思っていたからびっくりした。それとも私に合わせてくれたのか?そんなことを思っていたら彼らがやったのはもっとガチなものだった。

みんなが机の上で祈りを捧げるように手を組み、唱える。

Lord God, Heavenly Father, bless us and these Thy gifts which we receive from Thy bountiful goodness, through Jesus Christ, our Lord. Amen." 』

アッこれ!どっかで見たことある!

私は何かのゲームでそれを聞いたことがあったため祈りの言葉であると察せたが、それがなかったら分からなかったかもしれない。(恐らくバイオで得た知識)

とはいえ、少し見た程度の知識。やり方もあまり詳しくない私は皆で言うはずのAmenを言いそびれた。

……

食事が始まり、人生初のターキーを食べた。環境も相まってとても美味しかった。貴重な体験に感謝しつつ、場を見る。

あまり、、みんな喋らないな、、

これは私がいるからなのか、それともいつもそうなのか。気まづい空気に気づかないふりをして肉を頬張る。いやこの卓で私は絶対に出しゃばる存在ではないだろ。。。

するとおじいちゃん先生が急に私に話題を振ってきた。
「CA Disney って行ったことある?ディズニーって、確か日本にもあったよね」
「日本にはDisney以外のテーマパークはあるの?」

めっちゃ答えやすい話を振ってくれたありがたい!!

「CA Disneyには行ったことないです。いつか友達と機会があったら行ってみたいと思ってます。」
「テーマパークですか。Disney意外だと日本には….」

待って、Uで始まるのあったよな。エルモとかいるやつ。。。
緊張もあってかここで完全に思考停止。席の視線は発言権を持つ私に集まっている。待って、あんまり見ないでくれ頭が沸騰する

しばらく考えたが思い出せない。でもこれ以上沈黙を作るのはまずい。Uで始まる何かなんだよ!言葉を言い始めたらぬるっと出てきてくれるかも。落ち着け。とりあえず何か言おう

「University!!」

………なんて?

「Universal Studios?」

通じた?!

めちゃくちゃ首を縦に振った。それです。ありがとうございます先生。


なんやかんやで食事終了。お孫さんとその彼女さんには悪いことしちゃったな。しかしとっても貴重な経験をさせてもらった。アメリカ式の家族パーティーだからこそ日本人の両親を持つ私には縁がなかったかもしれない体験。帰りの道は余韻に浸りながらゆっくりと帰った。


使わなかった↓

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