見出し画像

ウクライナのフィメールラッパー、alyona alyona(The New York Timesより和訳)

※いちおう投げ銭できるようになっていますが、無料で最後まで読めます

 こちらの記事の上から2番目に取り上げられているウクライナのラッパー、alyona alyonaの紹介の拙訳になります。肝っ玉母さんてな雰囲気からゴリゴリのラップをかますインパクトが強烈でかっこよくて最近よく聴いてます。紹介をグーグル翻訳ベースで表現を修正したり意訳したりキリル文字表記を追加したりしました。といってもグーグル翻訳ベースなので、誤りなどあればご指摘ください。。。

------------------------------------------------------------------------


alyona alyona - Azealia Banksのファン向け!

 2018年10月、彼女の初のミュージック・ビデオがYouTubeでバイラルヒットしていた頃、alyona alyonaはキエフ郊外の幼稚園の園長先生であった(ビデオには彼女がジェットスキーに乗りながらをラップするシーンが収められている)。
 その2ヵ月後に彼女は仕事を辞める。
 今年4月、彼女はデビューアルバム「Пушка(Pushka)」をリリースした。

 ウクライナの数少ない女性ラッパーの1人である彼女は、畳み掛けるような高速フローでラップをスピットする。

 彼女の最初のヒット曲「Рибки(Ribky)」は表面的には魚のことを歌っているが、それは疎外感を感じている女性のメタファーであると彼女は電話インタビューで語った。
 彼女は寛容と受容についてもラップしており、それはウクライナの進歩的な若者の間にも彼女の支持を広げた。


「ウクライナのラップミュージックに、彼女のようなビッグな新人はこれまでいなかった」と、ウクライナの人気歌手、Іван Дорн(Ivan Dorn)は語る。

 alyona alyonaの初期のMV(いくつかはYouTubeで数百万回再生されている)は、雪景色やグラフィティだらけの風景でラップする彼女の姿を撮っている。クオリティは素朴で、着用しているものもたいていジャージとスニーカーだ。


 ロシア語のラップもウクライナで非常に人気があるが、alyona alyonaは母国語でラップすることを選んだ。(どちらの言語も旧ソ連諸国で話されるが、ウクライナ語は2013年のユーロマイダンの抗議運動以来より広く話されている。)

 彼女にとって、ウクライナ語でラップすることは自らの国の文化を称えることなのだ。
"私は自分の言語で、自分の日常生活についてラップしたい"


Written by JOSIE THADDEUS-JOHNS

------------------------------------------------------------------------


 現在のウクライナの事情を考えると、"私は自分の言語で、自分の日常生活についてラップしたい"という言語ナショナリズムの発露についても、寛容についてラップすることについても、普通のことのようで重たい意味を持っているように感じます。ウクライナはソ連時代にロシア語化が進み、独立後にウクライナ語が象徴として推進されるという経緯をたどっていますし、現在も対露関係は現実的な侵略との戦いです。

2022/2/24追記 本格的に侵略が始まることとなってしまいました。こちらのalyona alyonaの別のインタビューでもは、言語政治とラップについてもう少し長く紙幅が割かれています。


 日本でもアメリカでも多様なルーツのラッパーがいて、それぞれのルーツの言葉をリリックに織り込んだりしていますが、やはりベースは日本語英語であり、ラップする言語を選ぶことがそのまま国内の言語対立上でのナショナルアイデンティティと直結するという事情はなかなか見られないかもしれません(日本語ラップのオリジネーターの人々にとっては日本語で歌うかどうか自体が問題であった時期があるかと思いますが、事情が異なるかと思います)。

 この記事はもともとロシアのIC3PEAKを目当てで読んでおり、そちらも拙訳を公開しています。こちらはまさにロシア当局に目をつけられている側の最高にかっこいいアーティストです。

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?