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バレンタインにプロテインバーを売るという実験

スナックミーでは、お菓子のダイレクトブランドとして、ユニークな体験を提供するという試みをしている。

2021年のバレンタインBOXはこちら

さて、ダイレクトブランドとして、自分達にしかできないことは何か、と考えた時に、バレンタインにプロテインバーを売る、というワクワクする(少し馬鹿げた)ことを思いついた。
なぜ少し馬鹿げてるかというと、バレンタインは菓子メーカーにとっては年に一度の書き入れ時なので、売上をしっかりと立てるべきイベントだから。

スナックミーにもとても質の高いチョコレート商品があるため、それをアソートにしてしっかりとしたパッケージをつけて販売すれば、それなりに売上を伸ばすことはできる。でもスナックミーのミッション「新しいおやつ体験を創造し、 おやつの時間を価値のあるものにする。」からすると、それでは新しい体験を創造できない。だからあえてバレンタインにプロテインバーを売る、という実験をすることにした。

そもそもの始まりは、バレンタインにチョコもらって本当に嬉しいのかな?という小さな疑問。
ということで、ネット調査で本当にバレンタインにチョコもらって嬉しいのかを調べてみた。

意外にも!?チョコレートをもらいたいと思っている男性が多くてびっくりしたのだけど、プロテインもらって嬉しい、と思っている人が10%くらいいた。この10%くらいというのがスタートアップ的にはちょうどよい割合。イノベーター理論では、イノベーターとアーリーアダプターを足すとだいたい16%くらいと言われており、このくらいの割合の人たちが欲しがるサービスやプロダクトがスタートアップである僕らが作るべき。大手にとっては小さすぎるというかリスクが高すぎるマーケット。

ということで、バレンタインにプロテインバーを売ってみることが決まった。(本当は調査なんてやる前から、やるって決めていたけど。。笑)
さらにポップアップ的にリアル店舗でも販売をすることにした。しかも、バイヤーの力で丸ビル1Fのバレンタインの催事に出店することができた。周りの店舗はもちろんチョコレートを扱っており、名だたるブランドばかり。そのなかでプロテインバーを売るというのはかなりチャレンジングに思えた。実際に、「プロテインバーいかがですか?」と道ゆく人に声をかけるのは勇気が必要だったけど、最初の数時間で感覚もマヒして楽しめるようになった。

そんな中でいくつか気づきがあったので備忘録的に書いておこうと思う。

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無名のリアル店舗販売でも指名買いが発生する

事前に上記のプロテインバー バレンタインのリリースを出していたこともあり、「バレンタイン プロテインバー」で検索すると、トップにリリースが表示され、それを見てくれた方が来店するという現象があった。「バレンタイン プロテインバー」で検索する人がそんなにいるとは想定していなかったのだけど、意外と多く、一直線に我々のブースに来ていただき、複数のセットを買っていただいた方もいらっしゃった。

やっぱり店舗で試してから買いたい人も多い

食品のような商品の場合は特に、実際に食べてみないと味がわからないこともあり、認知してから購入までにハードルがある。上記のリリースを見ていただいた場合、ネットでも直接購入できるのだけど、実際に店舗に来ていただいてから購入いただく方が多かった。逆に言うと、いままでネットでしか販売していなかったため、相当数のお客さまが興味を持っていただいているけど購入に至っていない可能性が大いにあるとも言える。

全く興味のなかった人たちも店舗があることで買ってくれる

指名買いのお客様よりも、そもそもバレンタインにプロテインバーなんて買う気のなかったお客さまのほうが圧倒的に多かった。「プロテインバーいかがですか?」と声を掛けると、だいたいリアクションはちょっとニヤっとされて、”いやいやチョコ買いに来てるのにプロテインバーって笑”
という心の声が聞こえてくる。

ここで諦めないのがうちの敏腕バイヤーで、「良質なプロテインをどうそ!」と試食を差し出すと多くの方が、こらえきれなくなって笑ってしまい、じゃあたべてみますよ、というような感じで試食していただける。

このあとはバイヤーの商品紹介トークで、全く買うつもりのなかったお客さまが興味を持っていただき、友達で筋トレをしていたり、健康に気を使っている方へのプレゼントとして意外とありかも!と感じていただいたり、ご自分用に購入いただける方もいらっしゃった。良いものが見つかった!と喜んでいただけるお客さまも多く嬉しい限り。

逆に、プロテインバーをプレゼントすると、筋トレしろよ、と圧力をかけてしまっているようで買うのがはばかられる、という方もいて、なるほど、そういう考え方もあるのか、と学びもあった。

今回のような催事での販売は、いわゆるインスタやフェイスブックのソーシャル広告に近くて、フィードに流れてきた広告が気になって(プロテインバーいかがですか?という声が気になって)、思わずクリックしてみて(思わず試食してみて)、商品紹介の説明を聞いているうちに(LPを読んでいるうちに)、興味を持っていただき、ご購入いただく、という感じでオンラインでもオフラインでもやっていること自体は変わらないってことが改めてわかった。

そう考えるとLPとかも今風のデザインがカッコイものよりも、コンテンツがしっかりしていて、人に話しかけられているようなもののほうがCVR自体は上がるのかもしれない。ブランディングとのバランスは考えないといけないけれど。

CVR的には圧倒的にオンラインの方が高く、最初にオフラインで商品を買っていただいた方も次回以降はネットで商品を購入していただける可能性もある。そう考えると店舗単体での収益を上げるのではなく、オンラインを前提で入り口として店舗を活用するという可能性も十分にあるかと思った。

バレンタインにプロテインバーを買うこと自体に体験価値がある

今回は、プロテインバー4本セットの1SKUのみを展開した。これも他の店舗さんとは明らかに異なっており、ディスプレイもブランドのイメージを伝えることに注力した。(パネルなどは数日前にラクスルさんで注文したのだけど、クオリティ高くて助かった。)

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基本はプレゼント用を想定していたため、今回のプロテインバーセットを買っていただくお客さまへの今回の提供価値は
・少し変わった商品をプレゼントをすることで、相手の方からセンスが良いと思っていただく事
・健康に気を使っているということを相手の方に伝えられる事
・バレンタインにプロテインバーって!という話題のネタ
というような想定であったので、SKUはそもそもあまり必要なく、4本セットの1SKUにしてしまった。そのため、ディスプレイなんかもセンスよくする必要があり、デザイナーも巻き込み試行錯誤しながら設計した。お隣の成○石○さんは逆に多くのSKUをディスプレイされていたのでその対比も面白かった。

やっぱりオフラインのタッチポイントって大事

以前のnoteで多くのタッチポイントを持つことで顧客の体験価値を設計することが大事なんじゃないか(「D2Cってモデルじゃなくて思想なんじゃないかという仮説」)ということを書いたけれど、今回自分自身で売り場にも立ってみて、改めてオフラインのタッチポイントの重要さを感じた。

実際にその場で商品に対するフィードバックなどももらえることも多く、また、響くワードなんかも後半になるにつれてわかるようになってきた。

こちら側もお客さまのことをいろいろと知ることができるし、お客さまからしても実際に試食もできるし、よりストーリーについても詳しく知ることができる。この点についてはもっといろいろな取組ができたなという反省もあるので今後の取組みに活かしたい。

実験の結果はどうだったのかと言うと、
期間中にラジオに取材していただいたことなどもあり、オンラインは締切日前に完売。丸ビル店舗も最終日はお昼すぎに売り切れてしまった。その後、急いで追加分を作ってもらい、オフィスから丸ビルまでタクシーで運んでもらい、追加で販売した。それでも夕方ころには売り切れてしまい(催事は21時まで)、その後にお越しいただいた何名かのお客さまにはご提供することができず、申し訳ないことをしてしまったと反省もした。

結構チャレンジングな数字目標だったにもかかわらず、バイヤーの力もあって完売できた。それと共に学びもありオフラインの接点の大切さと活用方法についても気づきがあった。来年はどんな価値を提供できるか、今から楽しみだ。(催事出るって言うとバイヤーは嫌がりそうだけど。。。)



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