うんん

傘を提げて帰路につくと、いつもの地域猫がそこかしこに鎮座している。そのまま近づくと逃げていくわけですが、猫の前世の記憶に銃を提げた兵士の記憶があって、反射的に逃げてしまっていることとかを妄想して、後悔します。それにしても猫は態度が明るみに出て接しやすいので、毎度果敢に触れ合おうと挑戦できます。それが唯一の親しさであろうとさえします。
「わたしたちの関係をあなたに話すことが叶いません」とおもうことがまれにあります。あなたに話す義理はないし、説明できることばも持ち合わせていません。夏は汗をかいたりして自分の身体が一本の管だと思うのが良点なのであって、夜の街の露光の明るさや照度の高さに目眩を起こしている場合ではないこととか、植物は伸びようとする行いによって、また葉緑体の青さによって、その一本の管の生きざまをみたしていることだとかをいちいち説明できません。言葉を紡ぐことによってくちを噤むことになっては、本末転倒になってしまいます。いまそれを怖れています。

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