記事一覧

稚内

メルカリで送った荷物が宙ぶらりんになって3日、心配で通知を待っていたら、どうやら稚内に届いたのだという エアコンの効いた自室で怠けながら眺めていた画面から、遠い…

木通
6日前
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向かいの塀が百日紅の薄暗い桃色を湛えている日暮れを抱えている

木通
3週間前
1

眠たくても、この眠気を抱えて眠っても、朝起きた時のことを容易に想像できて、それに飽きてしまって眠れないし、その眠れなさにもほとほと飽きてしまった。ご飯にも同じことが言えて、性欲にも同じことが言えて、三大欲求に限界を感じる
第四の道が要る、人間でなさが今とてつもない

木通
1か月前
2

形式主義的なきらいがあるといわれ、全然そんなことなくて心外だった
心外というのは、主義思想を端的に表そうとする心胆を跳ね除けたくて活動をしているのに、隣人がその忌むべき存在であった驚きから由来しているのだ

木通
3か月前
2

みえないあなたにささやく音の礫が遠くから風に乗ってこちらへやってくるのを翻訳して伝えている

木通
3か月前

神さまに一番近かった時は、あんまり楽しくなかった
人は神さまをすぐに見出すことができるから手玉に取りやすくて、不衛生

木通
4か月前

文化における中立進化(端書き)

人は、技能や習慣といった諸般の情報を認知し継承できる。 完全な模倣ではないにしろその手つきを常に続けようとする力は、文化を展延させようとするはたらきをもつ。情報…

木通
4か月前
1

口夏従腹冬迄

なんでもやってみるものだわね。ぐつぐつ人を恨むのも、たかを括って見くだすのも、へぇ、意外で感心するのも、やったー!嬉しくてつい報告しちゃうのも、元気で手が悴まな…

木通
7か月前
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木通
1年前
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糊が谷

手に持ちながら揺れると零れる。好きな三人称で自称する。生きた道具を一本痛める。欲しいものを書きだす。お茶を送ったら麦酒が返ってくる。家を出る時間に手紙を認めはじ…

木通
1年前
4

ありがとうの鐵風

(其迄から是迄に、もろもろがあり、中略) ここまで書いてきて不適当な表言がない部分がなかったので省略する。 言葉なんておぼえるんじゃなかった。 さかのぼること13日…

木通
1年前

うんん

傘を提げて帰路につくと、いつもの地域猫がそこかしこに鎮座している。そのまま近づくと逃げていくわけですが、猫の前世の記憶に銃を提げた兵士の記憶があって、反射的に逃…

木通
2年前
3

傾斜のある町の傾斜のない家で

 祖父母とはそういうものなのかもしれないが、わたしの祖父母は物持ちのいいほうだと思う。きょう、海外旅行の免税店で買ってきたというコニャックを引っ張り出してくれた…

木通
2年前
1

豆苗は幼子のように伸びる

いつもいったり来たりしている。身体はもっと遠くまで伸びやかになる。 塩素水に手を浸すと皮膚が融けて温かくなる。花を炙り、締め、いのちを延ばすようなことをしている…

木通
2年前
4

わたしたちはあなたたちのことを知らないけれど、あなたたちのことを感じている

住み慣れたシェアハウスをはなれ、家をかえた。いまの僕の家に日照りはないが、少しばかり陽が差し込む。 越してきた当初、家は僕を見、インストールした。昼はうすぐらく…

木通
3年前
4

윤슬のためのエチュード

「水面に映る光は湖の光」ということばを3年前にふと思いついて、そのときからずっと”そこ”にいくことを夢にしている。 "その場所に地面があるのか、 空があるのか、光…

木通
3年前
4

稚内

メルカリで送った荷物が宙ぶらりんになって3日、心配で通知を待っていたら、どうやら稚内に届いたのだという
エアコンの効いた自室で怠けながら眺めていた画面から、遠い土地へ品物が無事届いた旨の連絡が飛び込んでくる。お節介で購入物の雰囲気に合うほかの作家をおすすめしたことも良く受け入れてくださったようだ
稚内は日本最北の宗谷岬や北海道立宗谷ふれあい公園などのある土地で、飛行機で直接降りたてるらしい。まさか

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向かいの塀が百日紅の薄暗い桃色を湛えている日暮れを抱えている

眠たくても、この眠気を抱えて眠っても、朝起きた時のことを容易に想像できて、それに飽きてしまって眠れないし、その眠れなさにもほとほと飽きてしまった。ご飯にも同じことが言えて、性欲にも同じことが言えて、三大欲求に限界を感じる
第四の道が要る、人間でなさが今とてつもない

形式主義的なきらいがあるといわれ、全然そんなことなくて心外だった
心外というのは、主義思想を端的に表そうとする心胆を跳ね除けたくて活動をしているのに、隣人がその忌むべき存在であった驚きから由来しているのだ

みえないあなたにささやく音の礫が遠くから風に乗ってこちらへやってくるのを翻訳して伝えている

神さまに一番近かった時は、あんまり楽しくなかった
人は神さまをすぐに見出すことができるから手玉に取りやすくて、不衛生

文化における中立進化(端書き)

人は、技能や習慣といった諸般の情報を認知し継承できる。

完全な模倣ではないにしろその手つきを常に続けようとする力は、文化を展延させようとするはたらきをもつ。情報の模倣をミームとするとき、個人内で起こる情報淘汰の最中ではいろんなことが起こる。数多のミームたちは記憶や習慣の定着のために互いを食いあって生き残ろうとする。単に一方が他方を淘汰することもあれば、情報同士が共鳴や研鑽を生じさせ、複雑に相互作

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口夏従腹冬迄

なんでもやってみるものだわね。ぐつぐつ人を恨むのも、たかを括って見くだすのも、へぇ、意外で感心するのも、やったー!嬉しくてつい報告しちゃうのも、元気で手が悴まないうちにやってみるといい。
このところは幸福で、幸福であると日記なんかつかないのであるが、それでは過ぎた日々がたやすく削り粉になってしまいそう、実際に忘れっぽくなっているので、うんうん思い出しましょう。

今は友だちの弾いている音を聴きなが

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呼び水

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糊が谷

手に持ちながら揺れると零れる。好きな三人称で自称する。生きた道具を一本痛める。欲しいものを書きだす。お茶を送ったら麦酒が返ってくる。家を出る時間に手紙を認めはじめる。言葉がないように思える。身体が冬にあう。絵を懐かしむ。標語を褒められる。遺書を笑ってもらえる。遺書を気持ち悪がられる。自慢したくて自慢する。崩れた家が光る。

暖まりながら冷やしている。古くて嵩張っていると暑くなる。山で途絶えていたの

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ありがとうの鐵風

(其迄から是迄に、もろもろがあり、中略)

ここまで書いてきて不適当な表言がない部分がなかったので省略する。
言葉なんておぼえるんじゃなかった。

さかのぼること13日、家屋の周辺から路表にまで延びてきた観葉植物は半ば公共てきになり、園芸を通して人柄を推しはかる心に傾いたり、なぜこんなにも展開するのだろう、その経緯はといった勘案に没頭してしまう。開かれたものの開放さにまつわる思いを掬いあげ、眼にと

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うんん

傘を提げて帰路につくと、いつもの地域猫がそこかしこに鎮座している。そのまま近づくと逃げていくわけですが、猫の前世の記憶に銃を提げた兵士の記憶があって、反射的に逃げてしまっていることとかを妄想して、後悔します。それにしても猫は態度が明るみに出て接しやすいので、毎度果敢に触れ合おうと挑戦できます。それが唯一の親しさであろうとさえします。
「わたしたちの関係をあなたに話すことが叶いません」とおもうことが

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傾斜のある町の傾斜のない家で

傾斜のある町の傾斜のない家で

 祖父母とはそういうものなのかもしれないが、わたしの祖父母は物持ちのいいほうだと思う。きょう、海外旅行の免税店で買ってきたというコニャックを引っ張り出してくれた。角という角がとれて、川底の石のように口あたりの丸いお酒をいただいた。角という角がとれるには、いったいどれだけの年月がひつようなのだろう。

 私よりも年上のお酒は、比喩ともとれない甚く大まじめなそぶりで、命の水のようだった。のみながら、祖

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豆苗は幼子のように伸びる

いつもいったり来たりしている。身体はもっと遠くまで伸びやかになる。
塩素水に手を浸すと皮膚が融けて温かくなる。花を炙り、締め、いのちを延ばすようなことをしている。延びないとは分かっているので、じつは花に火を入れる口実にしている。行けるようになったからもっと目まぐるしくなって、その分やすんで、夏は川へいく。

言い淀んでよかったことがある。大きさのちがうホウキとちりとりでなんとかきれいにするのは楽し

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わたしたちはあなたたちのことを知らないけれど、あなたたちのことを感じている

住み慣れたシェアハウスをはなれ、家をかえた。いまの僕の家に日照りはないが、少しばかり陽が差し込む。

越してきた当初、家は僕を見、インストールした。昼はうすぐらく、夜になると黒くなる。裏手は墓地で、かれらも僕をみていた。

それからしばらくたって、僕が家をみる番になった。家の近くに、二人の天使像があることに、気がついた。

弱さとは、群れることではなく、また逆に、なにものかを拒むことでもない。弱さ

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윤슬のためのエチュード

「水面に映る光は湖の光」ということばを3年前にふと思いついて、そのときからずっと”そこ”にいくことを夢にしている。

"その場所に地面があるのか、
空があるのか、光が届くのかは
分からない、見当もつかないけど
僕はそこに行きたいし、
そこに行くための人生なのだ
と感じている
そのことで頭をいっぱいに
している" 

-2020/12/29の手記より

すべての素材は僕がそこにいくための道具であり、

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