Hayato Kumagai

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Hayato Kumagai

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最近の記事

闇から光へ、光から闇へ

光のなかで闇を見つめている。 この一年を振り返り始めるとき、自分がいま置かれている状態について、まずそう考えた。 ✳︎ 自分が未だ光の中にある、というさも疑わしい言葉をそれでも綴ることができてしまうのは、それだけの出来事が自分を駆け巡ったから、というほかにない。途方もなく無条件的な愛(真に人が人を無条件に愛せるかどうかにはまだ確証がないから、このように書く)を授かるということが、生きることをこうもあざやかにするのだという驚きは、どんなに怠惰が日常を覆うときであっても、やは

    • 散歩に還る

      「私たちが最後に帰るべき場所は、一体どこにあるだろう?」 大学の卒業制作でつくった映像で、最後に流したその言葉のことを今でもよく憶えている。 なぜあの時、そんな言葉を使いたくなってしまったのか。 “最後”というのは、一体いつの、生きているうちの最後なのか、それとも死してなお続くかもしれない永く大きな営みの、その終わりを思ったのだろうか? 帰ることを考えたとき、その気持ちはいつもなんとなく新潟へ往く。 自分が小中高と暮らした町の、田と田のあいだに蛇みたくうねる道のことや、夕闇

      • 制作ノート 2022.11.07-09

        2022.11.07-09制作の灯がふたたびともった。それにしたがい、ふたたび制作ノートをつけはじめることにする。 一昨日は、邑里さんとふたりで描き始める。パステルとクレヨンから描き始めて、点、線、面を重ねていく。 一見飽和したような中にあって感じるのは、やはり面の強さ。何も考えずに描いていくと全体を均一に埋め尽くしてしまう癖。そこに一石投じるように、色面をつくる。そこからまた世界が生まれていく。 何度か二人で描いてから、今度は個々で描いてみる。それぞれにあつかう色が違っ

        • 覚書 2019-2022

          覚書がわりにTwitterに残してきた言葉たちを、自分なりにまとめてみました。(2019.01〜2022.05まで) 救い 誰も救ってくれない領域が人生にはちゃんと用意されている 2019年2月14日 09:11 救われるためにも報われるためにも生きていない、と気づいてから、この人生は少し楽になったような気がする 2020年7月2日 21:36 癒し、人生に必要なもの 救い、人生に切実なもの 2022年1月12日 16:28 歩く 家にずっといたので、夜の公

        闇から光へ、光から闇へ

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        • 制作ノート
          7本

        記事

          制作ノート 2021.09.18-09.19

          18(土)、19(日)にかけて、十勝・幕別町にあるMakura Showcaseという場所で公開制作を行った。 今回の制作は10/23(土)に開催される十勝の野外フェス“LAMP LIGHT FESTIVAL”で行うライブペインティングに向けたもので、ここで描いたものたちを、野外フェス当日にコラージュ用の素材として使う予定だった。 (以下、写真の一部はLAMP LIGHT FESTIVAL公式アカウントより引用しています。) 会場では野外フェスのポップアップストアが開催されて

          制作ノート 2021.09.18-09.19

          制作ノート 2021.09.14

          自粛期間の最終日。 二週間近い制作の日々が終わろうとしている。 午前中、三木成夫の「生命形態学序説」の続きを読む。 植物と動物の体制における双極性など、非常に興味深い内容。一度整理してまとめておきたい。 もう一度、相称性(シンメトリ)ということに立ち返ってみる。 放射相称と左右相称、どちらをも絵のなかに取り込むことで、そこに生命の様相が立ち込めるのを見つけようとする。 絵具をつかって展開しようとするが失敗。左右の均衡が不自然になると、自然のリズムは途端に力を失ってしまう

          制作ノート 2021.09.14

          制作ノート 2021.09.13

          午後、絵筆を手に取る。 思い切っていろんな色をまぜてみた。 きれいかどうか、ではなく、描き続けることで生じる、しこりのようなものを取りたかった。 それでもやっぱり塗りつぶしたくなる。 塗りつぶして、ナユタをさがす。 作品までの道のり。 たとえばこの子を切りとって、この子が居心地よいような色彩の紙をつくり、その上に適切に配置する。位置が決まったら、糊で貼る。それで作品と呼べるものにはいちおうなるのかもしれない。 けれどそのプロセスをする前にまだ何かが目覚めそうな気がして、作

          制作ノート 2021.09.13

          制作ノート 2021.09.10 - 09.12

          9/10(金) 自主的に休みをとる。久しぶりに外の空気を吸いたくて、車で長距離運転(往復6時間)して誰もいない岬へ。道中小さなスケッチをしたためる。これは切り絵でかたちにしようと思っている。 翼と根を共にもつこと、そのための手立てとして、"羽根"を手にとること。 9/11(土) 絵を描くことはほとんどせず、つい読書に精が出てしまう。 読んでいるのは三木成夫の「生命形態学序説」、クラーゲスの「リズムの本質」、パウル・クレーの「造形思考 上」。いずれも自分なりの造形論を考えるう

          制作ノート 2021.09.10 - 09.12

          制作ノート 2021.09.09

          点…絵のなかにおいて、点をうがつ、するとそれは目になり、目から顔が生じ、顔から首が生え胴が生え四肢が生え尾が生え、 点描…鉛筆のときと同様、筆で点描を試みる。点が群れをなす、かたちがやがて見出される(丸、三角、視覚、石、火、水、葉、羽根)、少しずつ結んでいく(ここでも線ではなく点のみで行う、かたちのあいまいさを保つこと)、やがて線をひきたい衝動にかられる、内か外かえらぶ、線の太さは線の動きは、ドローイングする(骨格であったり皮であったりするだろう)、線の外側に何か物足り

          制作ノート 2021.09.09

          制作ノート 2021.09.08

          午前、まずはじめに昨日までなんとなくコラージュしていた鹿と、牛の頭部を組み合わせて壁にコラージュしてみる。 「鹿は牛になる夢を見て花を咲かせる」という言葉が思い浮かぶ。 形はあえてラフに構成する。インパクトが強いせいか、視界に入るだけで思考を持っていかれそうになる。 その後、なんとなく牛や植物、土などのモチーフをイメージしながら、紙に気ままに筆を走らせてみる。とにかく量を、と思いながら進めてみると、ずいぶん稚拙なイメージたちが生まれた。筆をほぼ一種類しか使わなかったせい

          制作ノート 2021.09.08