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上場後初の株主総会運営①~はじめに~

初めまして。
株式会社スペースマーケット・コーポレート部で法務・開示業務を担当しています宇根と言います。
弊社では、2020年3月に上場後初の株主総会を開催しました。そこでの経験を備忘録も兼ねて、つらつらと何回かに分けて書いていこうと思います。

1.記事を書こうと思ったきっかけ~現場レベルでの参考資料が少ない!~

私は前職で、大阪にある企業法務系の法律事務所で弁護士をしていました。同事務所においては、毎年、上場企業の株主総会指導を担当させていただき、株主総会対応については、一通りの経験はさせていただきました。
例えば、顧問弁護士として、招集通知の読み合わせを行ったり、リハや当日に事務局として出席して株主総会が法的なミスなく終結するようサポートしたりすることを経験しました。

しかし、実際に中の人(インハウス)として、いざ株主総会に携わろうとすると、全く何から手を付けていいか分からない状態に陥りました。
そして、何か調べようにも、今まで弁護士として参照してきたような文献では、説明義務の範囲や動議の処理の仕方など、法的な側面に着目した記載が主であり、「具体的に中の人が現場でどのように準備をすればよいのか」ということに参照できるものは多くありませんでした。また、インターネットにも、あまりそういった実務的な情報は落ちていませんでした。

そこで、これから上場後初の株主総会を迎える総務・法務担当者の方向けに、また、来年度の弊社株主総会に向けての備忘録として、何か一助となればと思い、この記事を執筆するに至りました。

2.対象読者

以上の次第なので、この記事は、
① これから上場後初の株主総会を迎える総務・法務担当者の方向け
に記載しています。
また、株主総会実務を分かりやすく解説することも目的としていますので、
 企業法務に興味のあるロースクール生や修習生
の方が読んでも有益となるような記事とできればと思っています(あわよくば、社内的にもコーポレートのお仕事の一端を知ってもらえる機会になればとも思っています)。

3.そもそも株主総会とは?

さて、内容に入る前に、そもそも株主総会って何なの?ってところを少し解説したいと思います。

株主総会とは、一言で言うと、会社の最高意思決定機関です。会社の意思決定機関は取締役会など他にもありますが、その頂点に位置するのが株主総会です。年に一度の開催義務があり【会社法296条1項】、年に一度開催される株主総会のことを定時株主総会と言います(反対に、必要に応じ不定期に開催される株主総会のことを臨時株主総会と言います)。
多くの会社では、毎年の定時株主総会において、少なくとも、①前年度の事業報告及び計算書類の内容の報告と②取締役の選任議案の決議あたりが行われます(ちなみに、弊社の上場後初の株主総会の内容も同じです)。

このように、株主総会は法律で開催が義務付けられている年に一度の会社の大きなイベントであり、法的なミス(瑕疵)なく開催することが重要です(法的なミスがあると、株主総会を開催したにもかかわらず、開催が無効となってしまったり効力が取り消されてしまったりすることがあります)。
そのため、多くのプレイヤーが関与し、きちんとスケジューリングをしたうえで、事前にしっかりと準備が行われるのです。

そこで、次回以降の記事では、株主総会にはどのようなプレイヤーが関与し、また、どのようなスケジュールで株主総会準備は進んでいくのかを書きたいと思います。

4.今後の予定

次回以降は、
・上場後初の株主総会運営②~関与するプレイヤー・スケジュール編~
・上場後初の株主総会運営③~各準備事項の留意点~
といった形で記事を書いていければと思います。

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※一連の記事は、執筆者個人の見解であり、執筆者が所属する団体とは一切関係がありません。

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